作:おかべりか 出版:童心社
お団子結びのお団子が、ある日突然、頭から飛び出した。
自分の意志であっちに行ったり、こっちに行ったり。
お団子が飛び出した理由とは?
あらすじ
いつも頭をお団子結びにしている女の子がいました。
とてもお団子の髪型が似合うので、みんなからおだんごちゃんと呼ばれています。
おだんごちゃんは、お団子結びが大好きで、いつもお団子結びにしていました。
ある日、いつも通りお団子結びで散歩に行くおだんごちゃん。
しかし、突然お団子が震えだしたのです。
そして、おだんごちゃんの頭から、ぽとりと落ちるお団子。
そのまま弾んで、池にいるカモの頭にくっついてしまいました。
おだんごちゃんは、お団子を取り返すため、カモを追いかけ池をぐるぐる回ります。
ですが、中々追いつけません。
そうこうしているうちに、お団子はカモの頭を飛び出し、イヌの頭へ。
さらにお祭りのパレードの中へと紛れ込んでしまいます。
パレードの中をどんどん弾んでいくお団子は、お店の中へと入っていきました。
そのお店は古道具屋さん。
おだんごちゃんは、お店の中でお団子を見つけましたが、自分が嫌われたのだと思い、泣き出してしまいました。
そんなお団子ちゃんを見て、店の外へ転がっていくお団子。
おだんごちゃんを誘うように、転がっていきます。
お団子はいったいどこへ向かっているのでしょう?
お団子は、おだんごちゃんの頭に戻ってくるのでしょうか?
『おだんごちゃん』の素敵なところ
- 自分の髪の毛を追いかけるまさかの展開
- 街を駆け巡る追いかけっこ
- まさかの理由と、それを受け止めるお団子ちゃんの優しさ
自分の髪の毛を追いかけるまさかの展開
この絵本のおもしろいところは、自分の髪の毛を追いかけるという、驚きの展開でしょう。
序盤でおだんごちゃんのお団子結びが大好きな気持ちや、お母さんにお団子結びをしてもらう姿が丁寧に描かれます。
お団子結びをして、どんなところに出かけ、どんなことが起こるのかと思っていた矢先。
お団子が頭を飛び出し家出するという、まさかの展開。
これには子どもたちも、「髪の毛なのに!?」とびっくり。
さらに、カモやイヌなど他の動物にくっつくお団子。
「くっついちゃった!」と驚きつつも、その不思議なシルエットに大笑い。
「お団子にお団子がくっついてる!」など、お団子の自由過ぎる動きを楽しんでいる様でした。
街を駆け巡る追いかけっこ
そんな追いかけっこのスケールが大きいのも、この絵本のおもしろいところです。
公園を周り、長いパレードを抜け、お店に入り、さらに街の大通りや路地を抜け・・・と、自分の髪の毛を追いかけているとは思えないほど、長い距離を追いかけます。
そのスケールだけでも、「どこまで行くんだろう?」「迷子にならないかな?」と、ハラハラドキドキが止まりません。
でも、おもしろいのはそれだけではありません。
町中にいる人たちの行動や、パレードのきらびやかな中身、お店の中にある不思議なものの数々など、追いかける中での発見もおもしろいのです。
さらに、その中をお団子の軌道を追いかけていく遊びは、まるで迷路をしているような楽しさがあります。
この描き込まれた町並みでの、追いかけっこもこの絵本のとてもおもしろいところなのです。
まさかの理由と、それを受け止めるお団子ちゃんの優しさ
さて、そんな逃走劇を繰り広げるお団子ですが、そこには理由がありました。
お団子ちゃんの髪の毛ゆえに抱えた悩みと希望。
それを聞いたおだんごちゃんは、その気持ちに共感し受け止めてくれます。
そして、一つの覚悟もするのです。
そこにはおだんごちゃんの優しさとともに、いつも一緒にいたお団子のことを大好きな気持ちがあらわれています。
まるで、友だちのような姉妹のような。
このおだんごちゃんとお団子の強い絆を感じさせてくれる最後の場面も、とても素敵なところです。
きっとお気に入りの髪型がある子が見たら、より自分の髪型を好きになるのではないでしょうか。
二言まとめ
自分の髪の毛と追いかけっこするという、まさかの展開がとても楽しい。
ずっと一緒だからこその悩みと絆を感じる、不思議で優しい絵本です。
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