絵・文:レイモンド・ブリッグズ 訳:松川真弓 出版:評論社
文のない、絵だけの絵本『スノーマン』。
その絵本に文でストーリーを加えた絵本です。
想像し感じ取る原作も素敵ですが、こちらは文があるためより小さい子でも読みやすくなっています。
あらすじ
男の子のジェームズが目を覚ますと雪が降っていた。
ジェームズはさっそく外に出て、雪だるまを作り始めた。
その夜、ベッドに入ったジェームズだったが、真夜中にベッドを抜け出し雪だるまのもとへ。
すると、突然雪だるまが動き出した。
ジェームズは雪だるまを家の中に招いた。
ゆきだるまは家にあるものに興味津々だ。
また庭に出ると、ゆきだるまはジェームズの手を取り駆け出した。
そしてそのまま空中へ。
二人は夜の街を飛び回った。
最後は庭に戻ってきて、二人はしっかりと抱き合った。
ジェームズはベッドへ、ゆきだるまは元の場所へと戻っていった。
また、翌朝も一緒に遊びたいと思いながら。
『ゆきだるま ストーリー・ブック』の素敵なところ
- 元々素敵な絵本がわかりやすくなっている
- ゆきだるまと遊びたいと言う思いが詰まっている
- 雪の儚さもしっかりと描かれている
文がなくても、元々完成されていた原作。
原作の絵からストーリーを思い描ける年代には、文がなくても十分楽しめます。
でも、文があることによって、まだそこまではいかない年代の子たちでも楽しむことが出来るようになっています。
ゆきだるまとの素敵で夢の溢れたひとときを、より小さい子でも楽しめるようにしてくれたこの絵本はとても素敵な企画だと思います。
ここからは原作に共通する部分になります。
このゆきだるまと一緒に遊ぶというのは、ゆきだるまを一度でも作ったことのある人なら夢見たことではないでしょうか。
特に、真夜中、両親が寝静まった後にこっそりというシチュエーションがなおさら子ども心をくすぐります。
ちょっとドキドキしながらゆきだるまと過ごす時間。
そして、大空を自由に飛び回る夢のようなひととき。
だけど、それと同時に溶けてしまう雪の儚さも描かれているのが、この絵本を名作にしている一つの要因だと思います。
これもゆきだるまを作ったことがある人なら、味わったことのある感覚ではないでしょうか。
少しずつ溶けて形が崩れていき、なくなっていく切なさや物悲しさ。
でも、それがあるからこそ雪遊びがよりキラキラと輝くのだと思います。
夢が詰まっていると同時に、ゆきだるまを作ったことがある人が抱く様々な感情まで表現している。
だからこそ心に響き、残る一冊です。
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