作:ひろかわさえこ 出版:アリス館
順番に山を越え、どこかへ出かける生き物たち。
そんな生き物たちへの「あの山越えてどこ行くの?」という、問答が楽しい絵本です。
あらすじ
アリさんが、山を越えてどこかに出かけます。
どこに行くのか聞いてみると、米粒を買いに行くみたい。
米粒を買ってどうするのか聞いてみると、
眠るための枕にするそうです。
ハチさんが山を越えてどこかに出かけます。
どこに行くのか聞いてみると、おはじきを買いに行くみたい。
おはじきを買ってどうするのか聞いてみると、
花粉団子にお皿にするそうです。
でんでん虫さんが、山を越えてどこかに出かけます。
どこに行くのか聞いてみると、ボタンを買いに行くみたい。
ボタンを買ってどうするのか聞いてみると、
頭に被り帽子にするそうです。
カエルさんが山を越えてどこかに出かけます。
どこに行くのか聞いてみると、ハモニカ買いに行くみたい。
ハモニカを買ってどうするのか聞いてみると、
オタマジャクシのおうちにするそうです。
ハトさんが、山を越えてどこかに出かけます。
どこに行くのか聞いてみると・・・。
『あのやまこえてどこいくの』の素敵なところ
- リズミカルな繰り返しの問答
- 人間とは違う道具のかわいい使い方
- 子どもとの問答遊びへも広がる
リズミカルな繰り返しの問答
この絵本のなにより楽しいところは、リズミカルな文章による、歌うような問答です。
「ありさん ありさん どこ いくの?」
「あのやま こえて こめつぶ かいに」
「こめつぶ かって どうするの?」
「ぐうぐう ねんねの まくらに するの」
という「どこ行くの?」と「どうするの?」の、決まり文句による繰り返しになっています。
この一問一答形式の繰り返しがおもしろく、どんな答えが返ってくるのかワクワクします。
また、節をつけやすく、歌うように読めるのもポイント。
読む人それぞれの歌を聞くだけでも楽しく、また、歌のリズムとともに気持ちも盛り上がり、よりこの絵本と読んでいる人が好きになってしまうのです。
人間とは違う道具のかわいい使い方
そんなリズミカルに買い物に行く生き物たち。
その姿を見ているだけでも楽しいのですが、買ったものの使い道が人間と違うのもおもしろいところです。
米粒を枕にしたり、おはじきをお皿にしたり、マスクをエプロンにしたり・・・。
体が小さいからこその発想に、かわいさを感じます。
反対に、体が大きい生き物ならではの使い方もあったりして、次はどんな使い方をするのかにもワクワクさせられます。
身近にある物の、その生き物らしい、新しい使い方のおもしろさも、この絵本のとても楽しいところです。
子どもとの問答遊びへも広がる
さて、生き物たちとの歌うような問答が楽しいこの絵本。
もちろん、絵本を飛び出して、子どもたちとの問答にも使えます。
絵本と同じリズムで、
「○○ちゃん ○○ちゃん どこ行くの?」
と聞いてみると、ちょっと恥ずかしそうに、笑顔で答えてくれる子どもたち。
すると、問答遊びが始まります。
一度始まったら、あとは発展していくだけ。
自分の言いたい言葉に合わせて、新たなリズムを作ったり、答え方を工夫したりと遊びが広がって行きます。
こんな風に、自然と生活の中に歌の楽しさを吹き込んでくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
色々な生き物たちとの、歌うように聞き、歌うように帰ってくる答えがとても楽しい。
自分も歌で問答がしたくなってくる、歌遊び絵本です。
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