ポレポレやまのぼり(4歳~)

絵本

文・絵:たしろちさと 出版:大日本図書

高く険しい山登り。

でも、頂上ではここでしか味わえない体験が待っています。

そんな、山登りの合言葉、それが「ポレポレ」。

あらすじ

あわてんぼうのヤギくん、お調子者のハリネズミくん、しっかりもののゾウくんの3人は、山登りに来ました。

今日は頂上で泊まる予定です。

登るのはたかいたかい山。

国で一番高い山です。

3人が森の中を歩いていると、楽しくなったハリネズミくんが「競争しよう」と言い出しました。

すると、それを見ていたサルおじさんが話しかけてきて「ポレポレ山登りだぜ」と言いました。

どういう意味か聞いてみると、「ポレポレ」とは「ゆっくり」ということだそう。

しばらく行くと草原にさしかかりました。

大荷物のヤギくんは大変そう。

ゾウくんとハリネズミくんの励ましもあり、「ポレポレ」と言いながら、なんとか斜面を登り切りました。

ところが、斜面の先に待っていたのは大きな岩の壁。

それを見て、ついにヤギくんは座り込んでしまいました。

今度は、励ましても動こうとしないヤギくん。

ゾウくんは、ヤギくんの荷物も持ってあげることにしました。

こうして、なんとか登り始めた3人。

岩の壁を登っていくと、いつの間にか雲の上まで来ています。

そして、ついに頂上へ。

頂上では、あちこちにテントが立ち、キャンプの準備が始まっています。

3人もテントを張り、キャンプの準備を始めます。

が、なにやら騒いでいるヤギくん。

持って来たコック帽がないというのです。

そこで、荷物を全部広げてみることに。

ヤギくんの大荷物には、一体何が入っているのでしょう?

コック帽も見つかるでしょうか?

『ポレポレやまのぼり』の素敵なところ

  • 本気で険しい山
  • 素敵な合言葉ポレポレ
  • 山頂キャンプの非日常的で特別な時間

本気で険しい山

この絵本の醍醐味は、なんといっても山登りです。

でも、ただの山ではありません。

国で一番高い山というだけあり、その険しさが本気過ぎるのです。

最初は登山道や尾根道のような、一般にイメージする山登りが続きます。

ひいこら言いながらも、頑張って登ることができています。

ですが、そこからがこの山のすごいところ。

まさかの目の前にそびえ立ったのは岩壁。

もう山登りではなく、崖登りの勢いです。

ハリネズミくんが登る姿なんて、完全にロッククライミング。

ヤギくんとともに、国で一番高い山をなめていたことに気付くでしょう。

さらに、この岩壁が序の口だったことに気付くのがさらに登って行った時。

雲を越えるあたりから、岩壁はほぼ垂直に。

落ちたら間違いなくひとたまりもありません。

そりゃ、頂上に着いた時の嬉しさや達成感はもの凄いことでしょう。

この苦しさと達成感を、3人と一緒に味わえるのは、この絵本のとても素敵で楽しいところです。

素敵な合言葉ポレポレ

そんな大変な山登りでは、乗り越えるための大切な合言葉が出てきます。

それが「ポレポレ」。

意味は「ゆっくり」ということ。

序盤でテンションが上がって、ペースを早めがちな山登りにぴったりの言葉です。

ハリネズミくんが競争しようとする姿などは、山登りの子ども(大人も)あるあるだったりします。

この言葉は、この絵本の大事なキーワード。

険しくてくじけそうになった時、何度も出てきます。

先が見えない傾斜の連続。

そんな時、大切なことは「ポレポレ」と登ること。

「ポレポレ」と登って行けば、いつかは山頂に辿り着きます。

疲れて足が止まりがちな山登りでは、一番大切な言葉であり、心構えかもしれません。

山の険しさと相まって、山登りの大変さをとてもリアルに感じさせてくれるのです。

家族で山登りに行く前などに読めば、きっと「ポレポレ」楽しい山登りになるのではないでしょうか。

山頂キャンプの非日常的で特別な時間

さて、「ポレポレ」と険しすぎる山を登ってきた3人は、ついに山頂に到着します。

山頂に着いた達成感はもちろんですが、3人には他にもお楽しみが待っています。

それが山頂でのテント泊。

テントを建てて、みんなで星空の下ご飯を食べるのです。

なんて素敵な時間なのでしょう。

しかも、ヤギくんの大荷物には、このテント泊をより楽しくする「内緒」が詰まっていました。

その「内緒」の結果、山頂でとても素敵な奇跡が起こります。

さらには、美味しく楽しい晩ごはんが終わった後のテントの中。

3人で一つのテントに入るのですが、こんなに楽しい空間はありません。

ただ眠るのではなく、まだまだ楽しい時間は続きます。

この山頂での時間が、山登りと同じくらい、楽しく充実したものになっているのも、この絵本の素敵なところ。

山頂という非日常的な空間、友だちとテントで一晩過ごすという楽しすぎる体験。

その全てが、子どものワクワク感を刺激します。

きっとこの絵本を読んだら、テントの中で夜までおしゃべりしたくなることでしょう。

二言まとめ

本当の山登りでも使える「ポレポレ」を合言葉に、山登りの厳しさと楽しさがこれでもかと詰まった。

山頂でのテント泊という、非日常的な体験にワクワクが止まらない、山登り絵本です。

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