文:石崎洋司 絵:北岸由美 出版:講談社
お散歩カーに乗っている赤ちゃんクラス。
それを羨ましがるのは3匹のネコたちでした。
ある日、先生に内緒でお散歩カーに乗り、保育園を抜け出して・・・。
あらすじ
ねこねこ保育園の大きいクラスに通っている3匹のネコ。
マルちゃん、ココちゃん、メイちゃんは、窓から小さいクラスの散歩を見ていました。
小さいクラスは、お散歩カーに乗っています。
羨ましくなった3匹は、ブルこ先生に見つからないように、こっそりお散歩カーを押し、保育園の外へ。
最初はマルちゃんが押していたのですが、坂道にさしかかったので、マルちゃんもお散歩カーに乗り坂道を降ることにしました。
しかし、だんだんと早くなっていくスピード。
その坂はとても急な坂だったのです。
勢いよく坂道を降り、3匹とお散歩カーは、カバおばさんの家にぶつかって止まりました。
急いでお散歩カーの中に隠れる3匹。
カバおばさんは3匹に気付いていません。
お散歩カーをカートだと思ったカバおばさんは、お散歩カーで買い物に行くことにしました。
カバおばさんがやってきたのはショッピングモール。
3匹は早速お散歩カーから抜け出し、自分が行きたいところに行ってしまいました。
ゲームコーナーに、時計売り場、写真スタジオにアイス屋さん。
色々な場所で遊びまわります。
と、そこに見慣れた姿が・・・。
ブルこ先生です。
どうやら3匹を探しに来たみたい。
マルちゃん、ココちゃん、メイちゃんは、ブルこ先生に見つからないように隠れますが・・・。
『ねこねこほいくえん~おさんぽカー』の素敵なところ
- やってみたいが詰まった3匹の行動
- ブルこ先生のプレッシャー
- お散歩カーならではの結末
やってみたいが詰まった3匹の行動
この絵本の楽しいところは、3匹のネコたちが、子どものやってみたいを叶えてくれることでしょう。
先生に見つからないように抜け出して、
車のおもちゃのようにお散歩カーに乗り、
ショッピングモールではいたずら放題、
好きな場所で好きなように遊びます。
まさに「いつもはダメと言われること」のオンパレード。
最初は「いけないんだ!」と言っている子どもたち。
でも、3匹の自由奔放な姿に段々と笑いがこみ上げ、「ぼくはおもちゃ屋さん行きたい!」など、すっかり3匹と意気投合してしまうのです。
「やってはいけないこと」けど「やってみたい」を叶えてくれるのが、この絵本のとても素敵なところです。
ブルこ先生のプレッシャー
そんないたずら放題の3匹ですが、それも長くは続きません。
ついにショッピングモールにブルこ先生が探しに来るのです。
そのプレッシャーがすごい。
さっきまでの楽しそうだった3匹が、急に真顔になり、汗をかきながら本気で逃げます。
「見つかったらガッツリ叱られる」という確信がひしひしと伝わってきます。
子どもたちもその空気感を感じて、
「ヤバイヤバイ!」
「見つかっちゃうよ!」
「絶対怒られる!」
と3匹と同じように焦ります。
きっと一心同体なのでしょう。
もちろん、隠れる時も本気です。
子どもが真剣に見てもわからない子がいるくらい、本気の隠れっぷりを見せてくれます。
このやりたい放題だった前半とうって変わった緊張感も、この絵本の素敵なところ。
ブルこ先生から波動のようなものが見えるくらいのプレッシャーと存在感なのです。
お散歩カーならではの結末
さて、もちろん逃げ切れるわけなどなく、あることがきっかけで見つかってしまいます。
そしてガッツリと叱られます。
それはしょうがないですね。
ぼくでもガッツリ叱ることでしょう。
でも、この絵本が素敵なのはその後です。
しっかりと叱った後は、笑えるオチが待っています。
これがなんとも、お散歩カーならではの「トホホ」な結末でおもしろい。
子どもたちも大笑いで楽しく終わるのです。
3匹はちょっと大変そうですが・・・。
二言まとめ
3匹のいたずらネコたちが、「やってはいけない」けど「やってみたい」を叶えてくれる。
3匹と一心同体でいたずらを楽しむことができるけど、もちろん一緒に叱られる絵本です。
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