フランクリンとルナ、本のなかへ(4歳~)

絵本

文:ジェン・キャンベル 絵:ケイティ・ハーネット 訳:横山和江 出版:BL出版

本好きのドラゴン。フランクリンシリーズの第3弾。

今回は、不思議な本の中に吸い込まれてしまいます。

本の中には、おとぎ話の世界が広がっていました。

あらすじ

優しいドラゴンと、友だちの女の子ルナは、本が大好きでした。

さて、今日はフランクリンの606歳の誕生日。

ルナは他のみんなと、フランクリンに内緒で、誕生日パーティーの準備をしていました。

そこで、ルナはフランクリンを街から離れた本屋さんに連れ出すことに。

その本屋さんは、女の人が1人でやっていて、ありとあらゆる本が並んでいるお店です。

その中に1冊、鎖鍵のかかったほこりだらけの本がありました。

それを見つけたカメのニール・アームストロング。

知りたがり屋の彼は、本を開いてみたくなったのです。

ニールがカギを壊して本を開くと・・・。

なんと、本の中に吸い込まれてしまったではありませんか。

それを見ていた、ルナとフランクリン。

ニールを助けるために、意を決して本の中へ飛び込みました。

気付くと2人は、深い森の中にいました。

紙とインクとおかゆの匂いがしています。

ニールは見当たらないので、ひとまず森の奥へ歩いていくことにしました。

すると、開けた場所で、3匹の子ブタを見つけました。

3匹はどうやら、ホテルを建てる相談をしているみたいです。

ニールのことを聞いてみると、3匹は知らないみたい。

「この本の中では見たことがない」と言います。

そこで、3匹の子ブタも一緒に探してくれることになりました。

ルナとフランクリンたちは、色んな人にニールを見かけなかったか聞きました。

3匹のクマや、糸車を抱えた魔女、大事な牛を魔法の豆と交換した男の子、ガラスの靴を売る店員・・・。

ですが、ニールは見つかりません。

でも、ニールのことを聞いたみんながついて来て、一緒にニールのことを探してくれました。

そんな時であったのがオオカミでした。

ルナは用心しながら「オオカミって悪くないの?」と聞きました。

それを聞いてオオカミはむっとしながら「本で読んだのをそのまま信じちゃいけないな。」と、悪いオオカミではなくなったことを、胸を張って答えます。

さらには、ニールの居場所まで教えてくれたのです。

オオカミの言うことを信じて、言われた方に歩いていくフランクリンとルナと本の中の住人達。

本当にニールはいるのでしょうか?

オオカミが言っていることは本当なのでしょうか?

『フランクリンとルナ、本のなかへ』の素敵なところ

  • 本の中ならではのおとぎ話が混ざった世界
  • 疑心暗鬼にさせられるオオカミ
  • ドキドキワクワクの本からの脱出

本の中ならではのおとぎ話が混ざった世界

この絵本のおもしろいところは、なんといっても本の中を冒険するところです。

厳重に保管された、どう考えても危険そうな本に吸い込まれてしまうルナ、フランクリン、ニール。

でも、そこに広がるのは、よく知っているおとぎ話が繋ぎ合わさった世界でした。

3匹の子ブタ、眠り姫、シンデレラ、ジャックと豆の木、ウサギとカメ・・・。

そんなよく知っているおとぎ話のキャラクターが次々と出てきます。

最初は、不安でドキドキしていた子どもたちも、3匹の子ブタを見た瞬間、緊張がほどけます。

それはまるで、よく知っている友だちにでもあったかのような安心した表情です。

さらに出てくるキャラクターを見て、

「クマがスープを飲むやつだ!」

「ガラスの靴!シンデレラだよ!」

と、すっかり本の中の世界に夢中になっていました。

また、おもしろいのが、どのキャラクターも「っぽいキャラクター」であることです。

絵本の中では、3匹の子ブタとも、眠り姫とも、ジャックと豆の木とも言われません。

3匹の子ブタは協力してホテルを作っているし、

眠り姫ではなく「糸車を持った魔女」、

ジャックではなく「大事な牛を魔法の豆と交換した男の子」、

シンデレラなんて、ガラスの靴を売っている店ですから。

決して、よく知っているあのおとぎ話のキャラクターなのかはわからないのです。

ただ、だからこそ、想像力が広がります。

「あのお話かな?「このお話かな?」と、考えさせてくれるのです。

このおとぎ話が混ざり合った、新しくも懐かしい世界を冒険させてくれるのが、この絵本のとても素敵なところです。

疑心暗鬼にさせられるオオカミ

そんな個性豊かなキャラクターたちの中、ひときわ目を引く、たくさんのおとぎ話に出てくるキャラクターが現れます。

それがオオカミです。

おとぎ話の定番中の定番。

悪者の代名詞的存在です。

今回も例にもれず、鋭い牙に、鋭い眼光、ニヤリとした笑い方。

どこから見ても悪者です。

けれど、今回のオオカミは悪者ではないと言ってきます。

それは絵本の中だけだと。

どうやら「野菜しか食べないし、ヨガも始めた」のだそう。

一体本当なのでしょうか?

それを聞いたルナやフランクリン、絵本の中の住人達はものすごく疑い警戒した表情。

それを見ている子どもたちもものすごく疑い警戒した表情。

「ほんとかな~?」

「嘘言って騙そうとしてるんじゃない?」

と信じてもらえません。

この登場人物と子どもたちの一体感がおもしろい。

オオカミに少し同情してしまいます。

そこからの、ニールを見たと言われて、めくるページの緊張感たるや。

後ろから襲われるのではないかという、子どもたちからの警戒心がひしひしと伝わってくるのです。

この疑心暗鬼の空気感も、おとぎ話をベースにしている、この絵本ならではのおもしろさだと思います。

ドキドキワクワクの本からの脱出

さて、そうこうして、ニールを見つけたルナとフランクリン。

喜ぶ一行ですが、緊急事態が訪れます。

なんと、本が閉じられようとしているのです。

閉じられる前に、外に出ないと本の中に閉じ込められてしまいます。

揺れる本。

おとぎ話のキャラクターの願い。

この急転直下の、緊急感や焦燥感がワクワクドキドキを加速させます。

これまで楽しそうにしゃべりながら見ていた子も、一気にこの緊張感に引き込まれ。

背筋が伸び、目を見開いて、ページに釘付けに。

まるで、映画のアクション映画のクライマックスを見ているかのような空気感が広がります。

この楽しい空気感からの、ジェットコースターのような緊張感と展開も、この絵本のとてもおもしろいところです。

もちろん、本から脱出した後の、素敵で夢の詰まった最後の場面も。

二言まとめ

本の中で、よく知っているおとぎ話のキャラクターと出会うことができる。

絵本が好きな子ほど、夢と想像力が無限に広がるワクワクドキドキの絵本です。

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