たまごサーカス(4歳~)

絵本

作:ふくだじゅんこ 出版:ほるぷ出版

繊細で割れやすい卵。

取り扱いの難しい卵。

そんな卵たちがアクロバティックなサーカスを始めたら一体どうなるのでしょう。

拍手喝采か!

はたまた地獄絵図か・・・

あらすじ

男の子はお母さんに卵を取ってくれと頼まれました。

しかし、昼間、広場で見たピエロの真似をして卵を割ってしまいました。

お母さんに叱られてベッドに入った男の子。

本物のサーカスを見に行きたいなと思いながら眠りにつきました。

夜中に誰かに起こされました。

それはなんとサーカス団の卵たちでした。

招待状をもらい、家の屋根裏へ。

そこでは卵たちのサーカスが開催されていました。

卵団長の言葉を皮切りにサーカスが始まります。

歌や出し物が続き、いよいよ最後の空中ブランコ。

別のブランコに飛び移ろうとしたその時!

つるりと滑ってしまったのです。

男の子がとっさに手を伸ばし、なんとかキャッチしブランコ乗りは手の中へ。

それを見てみんな心配しています。

ブランコ乗りの子どもたちも泣いています。

男の子がそーっと手を開くと・・・。

『たまごサーカス』の素敵なところ

  • 味と癖のある絵
  • 渾身の卵ギャグ
  • 脆いながらも頑張る卵たちの姿に卵を大切にしようと思う

初見では不気味とも思える独特の絵。

例えるならば、不思議の国のアリスのよう。

最初はとっつきにくいですが、読めば読むほど癖になる。

個性豊かな卵たちに、その豊かな表情。

見ているだけでも楽しくなってくるから不思議です。

癖が強いのは絵だけではありません。

お話のノリもかなり癖が強いです。

サーカス団の歌では割れやすい中、前を向く姿が歌われます。

ピエロがジャグリングするのは小さな卵たち。

卵ならではの緊張感がすごいです・・・。

その中でも飛び切りシュールかつ癖が強いのが、最後のオチ。

卵の特性を活かした渾身のオチはぜひ見て欲しいところです。

全体を通して、割れやすく、壊れやすい卵たちの前向きで、ひたむきな姿が描かれるこの絵本を読んでいると、日頃食べている卵にもなんだか愛着が湧いてきます。

読み終わった後、卵を持つときに心なしか持ち方が優しくなっている。

そんな絵本です。

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