かくれんぼ(3歳~)

絵本

作・絵:尾崎玄一郎、尾崎由紀奈 出版:ひさかたチャイルド

女の子がオバケたちとかくれんぼをすることに。

商店街に隠れるオバケたち。

オバケならではの、おもしろい隠れ方にきっと驚くことでしょう。

あらすじ

女の子が、6匹のオバケたちとかくれんぼをすることになった。

鬼は女の子がやることに。

唐傘、河童、ろくろ首、大入道、あずき洗い、あまのじゃくの6匹は、商店街の中にかくれることに。

10数えて探しに行くと、オバケの姿はどこにもありません。

商店街を歩いていくと、唐傘オバケを見つけました。

軒先に吊るしてある傘に混ざっています。

さらに先へ進んでいくと、あずき洗いも見つけました。

ベランダの布団と一緒に干されています。

さらにさらに行くと、河童も発見。

本屋さんの2階の壁に張り付いて隠れています。

これで見つけたオバケは半分です。

6匹全員見つけることができるでしょうか?

『かくれんぼ』の素敵なところ

  • かわいいオバケたちの本気の隠れ方
  • 昭和の商店街を歩く楽しさ
  • 商店街にはまだまだオバケがいっぱい

かわいいオバケたちの本気の隠れ方

この絵本の楽しいところは、かわいいオバケたちとかくれんぼを楽しめるところでしょう。

暗めのトーンで描かれつつも、明るく楽しそうなオバケたち。

大きくてつぶらな瞳の唐傘オバケや、いつも笑顔のろくろ首、雲のようにフワフワしていそうな大入道など、どれも悪さをしなさそうです。

そんなかわいいオバケたちとのかくれんぼだからこそ、怖がることなく一緒に遊べるのでしょう。

ただ、オバケだけあり、隠れ方が普通ではありません。

オバケの本気を見せてくれます。

傘の形や、首の長さ、体の大きさをこれでもかと活かしてくるのです。

なんなら飛んで隠れることもできてしまうので、高さも関係ありません。

町の人に姿も見えないので、民家の中に隠れることだってできてしまいます。

見た目はかわいいけれど、隠れ方は全力でオバケなところが、この絵本のとてもおもしろいところです。

昭和の商店街を歩く楽しさ

また、オバケを探していると、色んなものを一緒に見つけてしまうのも、この絵本の魅力的なところです。

かくれんぼの舞台は、昔ながらの商店街。

まさに「昭和の商店街」といった風景が広がっています。

駄菓子屋、自転車屋、模型店、ラーメン屋に、肉屋に、つくだ煮屋、書店に、肉屋、八百屋など色々な店が並びます。

そのどれもが大きなビルなどではなく、2階建ての一軒家。

1階でお店をやって、2階に住んでいるようなお店ばかり。

その店構えも、昔ながらの空気感が漂います。

なにより、お店の名前が印象的。

ケーキ・ミミ、くじゃく堂書店、サロンド・ジェン、やおはち、とんかつ屋かつ玄・・・。

など、まさに昭和のネーミングといった雰囲気。

しかも、それがただの張りぼてではなく、中で生活している人や、品物が細かく描かれているなど、まさに生きて動いているのです。

それが本当に商店街を歩いている気分にさせてくれるのでしょう。

子どもたちは、商店街を見る中で、

「あ、ケーキ屋さんある!」

「これはなんのお店かな?」

「駄菓子屋さん、おばあちゃんちでいったよ!」

など、オバケじゃないおもしろいものをたくさん発見していきます。

この発見が、昔の商店街の姿に興味を持つきっかけになったり、おじいちゃんの家で見た商店街と照らし合わせたりと、自分とは違う時代と触れる機会になっているようでした。

対して大人は、昔の風景を懐かしみつつ、子どもと昔話を共有する機会になってくれることでしょう。

楽しく商店街を見て回ることで、大人と子どもの時代を繋ぐ会話へと繋がっていくことも、この絵本のとても素敵なところです。

商店街にはまだまだオバケがいっぱい

さて、6匹のオバケを見つけ、かくれんぼが終わった後も、商店街には続きがありました。

それが裏見返しに描かれている商店街です。

きっと本編では行かなかった道の先に続いている商店街なのでしょう。

そこには、本編のオバケたちとはまた別のオバケがたくさん住み着いています。

屋根の上や家の中に普通にいます。

そんなオバケたちを見つけるのも、この絵本の楽しいところです。

中には、『おしいれじいさん』など、同じ作者の別絵本からのゲスト出演もあったりして、読んだことがあると「あ!おしいれじいさんがいる!」と嬉しい驚きも。

そして、人間たちははそれに気づかず普通に生活しています。

オバケたちは、特に悪さをするわけでもなく、商店街に自然に溶け込んでいるのです。

この当たり前のように同じ空間に暮らしている様子を見ていると、オバケがいるのが当たり前のことのように思えてきます。

見えないけれど、普通に周りに溶け込んでいる。

こんな感覚を味あわせてくれ、オバケたちをとても身近に感じさせてくれるところも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

昭和の商店街を舞台にした、かわいいオバケたちとの本気のかくれんぼがとても楽しい。

オバケたちを見つけるつもりが、いつの間にか商店街のおもしろさや魅力を見つけている絵本です。

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