ざしきぼっこ(4歳~)

絵本

作:武田美穂 出版:あすなろ書房

昔話で耳にする座敷童。

その話を聞いて、「少し怖いけど会ってみたいな」「仲良くできるんじゃないかな」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。

そんな思いに応えてくれる、双子の座敷童と男の子のお話です。

あらすじ

けんたは隣村のじいちゃんの家へ泊るため、山道を歩いていった。

手にお土産の団子を抱えながらだったので、山を越えるころには日が傾いていた。

村に続く一本道にさしかかると、向こうから小さな女の子が二人やってきた。

手には茶碗と箸を抱えている。

女の子はけんたの持っている団子の匂いを嗅いだ。

すると「ぐー」っとお腹がなった。

けんたは二人のお椀に団子を入れてやった。

二人はお礼を言ってけんたとは反対の方へ歩いて行った。

ふと、けんたが振り向くと、女の子は消えていた。

次の日、けんたはじいちゃんちのぶち馬と散歩に出かけた。

沼の道を歩いていくと、昨日会った二人の女の子がいた。

二人がぶち馬に乗りたいと言うので、けんたは乗せてやった。

そのまま沼のまわりをまわってやると、二人はとても喜んだ。

けんたが二人に話しかけようとぶち馬の背を見上げると、また二人は消えていた。

じいちゃんの家に帰りその話をすると、じいちゃんが「ざしきぼっこだ」と教えてくれた。

そして、昔ざしきぼっこが来て金持ちになったしょうえもんの話を聞かせてくれた。

しょうえもんは金持ちになった後、金に目がくらみあくどいこともやるようになり、ざしきぼっこが出ていったことで、貧乏になったことも教えてくれた。

けんたの会った二人のざしきぼっこ。二人は今度はどこの家に行くのでしょうか。

『ざしきぼっこ』の素敵なところ

  • 絵がとてもかわいくて見やすい
  • けんたとざしきぼっこのやり取りに心温まる
  • けんたの最後のリアクションがリアル

少し不思議だったり、不気味だったりする場面もありますが、このかわいい絵のおかげで怖がらずに見ることが出来ます。

もうちょっと怖い雰囲気の絵だったら、振り返るといない場面など、怖がりな子は目をつぶってしまうでしょう。

でも、どことなく不気味な雰囲気はしっかりと残っていて、怖い絵本入門編としてはすごく読みやすいと思います。

そんな不気味でかわいいざしきぼっこですが、けんたの優しい言葉に対する反応もとてもかわいいです。

このけんたの思いやりと、それに触れたざしきぼっこたちの喜ぶ姿を見ていると、とてもほっこりして心が温まります。

このままずっと幸せでいて欲しいと思います。

とっても優しいけんたですが、ざしきぼっこの正体を聞き、その後にざしきぼっこに会った時のリアクションはとってもリアル。

複雑な心境がにじみ出ています。

「座敷童と仲良くなれたら」そんな気持ちに応えてくれる、とっても優しくかわいい絵本です。

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