作:垂石眞子 出版:福音館書店
暑い日は、日影がオアシスのように感じます。
そんな日陰をやっと見つけたペンギンさん。
ですが、その日陰は・・・。
あらすじ
ある、砂漠のような暑い場所。
ペンギンが、「あついあつい」と涼しいところを探しています。
やっと日陰を見つけ、涼んでいると・・・。
その日影は、アザラシの影でした。
ペンギンはアザラシに怒られてしまいます。
ペンギンとアザラシは、涼しいところを探します。
やっと日陰を見つけ、涼んでいると・・・。
その日影は、カバの影でした。
ペンギンとアザラシは、カバに怒られてしまいます。
ペンギンとアザラシとカバは、涼しいところを探します。
すると、とても大きな日影が。
3匹が大きな日影で休んでいると・・・。
その日影は、ゾウの影でした。
ペンギンとアザラシとカバは、ゾウに怒られてしまいます。
ペンギンとアザラシとカバとゾウは、涼しいところを探します。
でも、ゾウのは入れる日陰なんて見つかるのでしょうか?
『あついあつい』の素敵なところ
- 人数が増え、影が大きくなっていく楽しい繰り返し
- ものすごく暑そうな動物たち
- とても涼しく気持ちいい結末
人数が増え、影が大きくなっていく楽しい繰り返し
この絵本の楽しいところは、少しずつ変化していく繰り返しでしょう。
影を見つけ、涼んでいたら怒られて、また涼しいところを探しに行く繰り返し。
そして、繰り返すごとに、暑い仲間が増え、見つける影も大きくなっていきます。
この変化がおもしろい。
人数が増えるごとに長くなっていく動物の列。
「次は誰の影かな?」というワクワク感。
次々と大きくなっていく動物・・・。
と、繰り返しならではのおもしろさが詰っているのです。
そこからの最後に繰り返しじゃない結末の解放感・・・。
この繰り返しのシンプルで王道なおもしろさが、この絵本のとても素敵なところです。
ものすごく暑そうな動物たち
また、この繰り返しをさらにおもしろくしてくれているのが、絵本全体から伝わってくる暑さです。
もう背景からして、砂漠のようでじりじりとした暑さが伝わってきます。
そこに汗をだらだら流す動物たち。
その歩き方からも「う~、暑い~」という、夏の炎天下を歩いている時の様な心の声が聞こえてくるようです。
けれど、それだけ暑そうだからこそ、日影を見つけた時の嬉しさが大きくなります。
動物たちと一緒に、見ている方も涼しくてほっとした気分になれるのです。
このメリハリがとてもおもしろいところ。
これは日陰以外の場面が全力で暑いからこそでしょう。
と同時に、日陰から出された時のがっかり感もひとしおです。
「涼しい」と「暑い」の行ったり来たり。
これが繰り返しに加わって、さらにおもしろく、気持ちを揺さぶるものとなっています。
そして、これは最後の場面の抜群の解放感へ繋がるための、重要な要素でもあるのです。
とても涼しく気持ちいい結末
さて、そんな物語の最後の結末は、繰り返しを抜けたものになっていました。
暑い繰り返しから解放され、まさに夏ならではといった気持ちよすぎる結末。
これには子どもたちも大満足。
「わー!気持ちよさそう!」
と心を開放して大喜び。
今すぐ動物たちと一緒に絵本の中へ行きたそうにしていました。
いや、きっと頭の中では絵本の中に飛び込んでいたことでしょう。
ページをめくった瞬間に飛び込んでくる気持ちよさと解放感。
これこそが、この絵本のとてもとても楽しすぎるところです。
二言まとめ
動物たちの姿や絵本全体を通して、心の底から暑さを感じる。
暑さを感じた分だけ、ものすごい気持ちよさと解放感を味わえる絵本です。
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