お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
今回は、子どもに約束やルールを守ってもらう上での大切なポイントについて、考えていきたいと思います。
みなさんは、子どもと約束をしたり、家庭・保育園内でルール作りをしていますか?
守ってくれる子、守ってくれない子、忘れてしまう子・・・。
色々いると思います。
ですが、その中でも、約束を健気に守ろうとする子は多いのではないでしょうか?
ただ、この約束やルールは大切である一方、使い方を間違えると非常に危険な一面も持っています。
例えば、大人に都合のいいルールばかり作り守らせていると、指示通りに動く子になってしまったり、自由に考えて行動ができなくなったり・・・。
そこで、この記事では約束やルール作りの時に考えなければいけないことや、守ってもらうためのポイント、成長に繋がる約束やルールの促し方について考えていきます。
- つい約束やルールを作り過ぎてしまう
- 最近、子どもが約束を守ってくれない
- いい約束やルールってなんだろう?
という思いを持っている方には、特に気付きのある内容になっていると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
また、見やすさを重視するため、約束とルールを以下本文内では「約束」に統一させていただきます。
では、いってみましょう!
約束とは契約
そもそも約束とはなんでしょう?
なぜ約束を守らなければならないのでしょう?
その本質は、対等な者同士の対等な契約だからです。
例えば、
- 友だちからお金を借りたら返す
- 互いに欲しいものを交換する
- みんなが映画に集中できるよう、映画館では静かにする
など、対等な立場で、互いに利益があるからこそ約束は成り立ちます。
では、この約束をどちらかが破ったらどうなるでしょう?
関係性が壊れたり、次は相手が約束を破っても文句が言えなくなります。
つまり、不利益が生じることになるのです。
「なぜ約束を守るのか?」
その答えは「守る利益があるから」と「破ると不利益があるから」の2点です。
これはもちろん物理的なものだけでなく、気持ちや信用など目に見えないものも含まれます。
約束を考えるうえで、この約束を守る・破ることのメリット・デメリットは非常に大切になってきます。
約束をする時に大切なこと
以上のことを踏まえて、子どもと約束をする時に大切なことを考えていきましょう。
そのベースとなるのは、
- 「その約束を守る子ども側のメリットはなにか?」
- 「その約束を破ると子ども側にどんなデメリットがあるのか?」
この2つです。
なぜなら、これらがないと、子どもに守る動機がなくなってしまうから。
そこは大人も子どもも同じです。
むしろ、子どもの方が本能に忠実な分、メリットがなければ守ることは難しいでしょう。
けれど、この2つがなく、大人本位になっている約束がけっこうあります。
宿題をすること、先生が話している間は静かにすること、こぼさずに食べること・・・。
これらの約束は、大人がスムーズに事を進めるために約束させられがちなものです。
子どもは納得せずに守らされていることも多いでしょう。
ただ、この約束自体がダメというわけではありません。
重要なのは、その約束の目的にあります。
「先生が話している間は静かにする」の目的が、「先生が話しやすいように」であれば、大人本位の約束になってしまいます。
反対に「みんなが先生の話をよく聞こえるように」「相手の話をまずはよく聞くように」という目的で、都度子どもたちにそれを伝えているのなら、子どもたちが守るメリットや動機になることでしょう。
宿題も、「わかっていることの反復」ならばやる意味を見出せないかもしれませんが、「わからなかったところを調べてくる」という形なら、動機に繋がるかもしれません。
こんな風に、子どもに守る動機があるのかが非常に大切なところなのです。
約束は守らせるものではなく、考えさせるもの
では、子どもにも守るメリットがある約束が出来たとして、その動機だけで子どもは約束を守るでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
子どもは衝動的に動いたり、約束を忘れてしまう生き物です。
鬼ごっこなどの遊びのルールですら、自分の負けたくない気持ちを優先させ破ってしまったりもします。
ですが、それを繰り返し、約束の大切さや必要性に気付いていくのです。
いわば、子ども時代は約束やルールを作る・守る練習期間。
と言うことは、この練習期間に大人が一方的な約束ばかりしていると、子どもは約束やルールの大切さや、互いに納得のいくルールの作り方を学ぶ機会を失ってしまいます。
では、どうやって守らせればいいのでしょうか?
重要なのは2点です。
- 1つ目は、「行動する前に約束の確認をし、守れたら認める」こと。
- 2つ目は、「約束を破った時に、不利益が生じたことを実感させること」です。
1つ目については、子どもが約束を破ることを前提にした考え方です。
約束を作ったばかりの頃に特に効果的です。
子どもは基本楽しいことがあれば、以前にした約束など忘れてしまいます。
なので、思い出す機会を作ってから、行動するという流れを作るのです。
こうすることで、約束を意識しやすくなりますし、守れても守れなくても、自分で決めたという事実が残りやすくなります。
大切なのは、約束を覚えている状態で、守るか破るかを自己決定することです。
その上で守れたら、守れたこと自体を認める言葉と、「遊ぶ時間がもっと増えた」などの守ったからこそのメリットを伝えてあげましょう。
反対に、守れなかった場合には、それによって生じたデメリットを実感させるようにしましょう。
例えば、片づけをしないで遊び続けていたら、楽しみにしているテレビの時間になってしまった場合。
テレビを見られないことが、約束の時間に片付けをしなかったデメリットとして実感されるでしょう。
もしかしたら、この日は泣いたりして片付けができず、最後までテレビが見られないかもしれません。
ただ、これはとても大きな学びとなります。
きっと、次回の片付けの時に「もうすぐテレビ始まっちゃうよ」という声掛けが、これ以上ないほど実感を伴ったものになっていることでしょう。
このように重要なことは、約束を守らせることではありません。
約束を守れたとしても、守れなかったとしても、自分で考えて決めることにあるのです。
子どもの成長に見合った約束になっているか?
ここで注意事項があります。
それは、「子どもの成長に見合った約束をしているか?」ということです。
子どもとの約束作りは、おそらく2歳ころから徐々に増えていくことが多いでしょう。
そこで、成長にそぐわない約束をしてしまうと、無駄な失敗体験を繰り返すことになってしまいます。
約束を守るためには、子どもに見通しを持つ力がついていることが前提です。
特に破った時のデメリットを実感させることを、子どもには難易度が高い約束でやらせていると、自信をなくし消極的になってしまったり、理不尽に強く反発するようになってしまいます。
おススメなのは、3歳くらいまでは約束ごっことして、簡単な約束をして守れたら認める言葉をかけ、守れなかった時にはフィードバックしない。
4歳くらいからは、約束をしたら、基本的には大人も子どもも、その約束に合わせて動く。
ただ、その中で子どもに無理があるものになっていないかは、しっかりと観察し、無理がありそうだったり、もう少し高度なものにできそうなら、子どもと相談して、約束を更新していく。
という流れが無理なくスムーズだと思っています。
要するに、一番やってはいけないことは、「子どもに無理な約束を突きつけ続けない」こと。
それをするくらいなら、約束など1つもしない方が、子どもの成長にとってプラスとなるでしょう。
使い方に注意が必要な禁止の約束
さて、ここまで子どもとの対等な約束について考えてきました。
ですが、もう一つ触れておかなければいけない約束の形式があります。
それが禁止の約束です。
これは「大人がいない時に火を使わない」「勝手に外に出ない」「登ってはいけない場所」などの守らないと危険がある約束を指します。
これらの約束には、対等な約束とは大きく違う面があります。
それは大人が守らせないといけない約束であることです。
対等な約束は破っても「なにかが出来なくなる」などの不利益がある程度です。
ですが、禁止の約束は最悪死んでしまうなど、取り返しのつかないことになる可能性があるので、守らせなければいけません。
同時に、大人の目線で約束を設定しないといけないので、あまり子どもの納得感を得られない約束でもあります。
禁止の約束は、厳しく守らせる必要がある約束です。
これは子どもが理不尽だと感じても、守らせましょう。
きっと大人になった時に、わかってくれるはずです。
ただ、禁止の約束にも注意点があります。
それは使い過ぎないこと。
意外とよくあるのが、そこまで危なくないことや、対等な約束でいいところまで禁止の約束にしてしまうこと。
これをすると、本当に大事な禁止の約束が薄れてしまいます。
すると、約束の優先順位がよくわからなくなります。
結果、子どもが危険な行動をしやすくなってしまうのです。
大切なのは、禁止の約束は最低限にすること。
「他はなにをしてもいいけど、これだけは守って!」ということにのみ使いましょう。
ほとんどのことは対等の約束で十分なはずなので。
約束を通して、自分と周囲を客観的・論理的に見る習慣が身についていく
ここまで、約束の作り方・守らせ方について考えてきました。
最後に、約束をすることが、子どもにとってどんな意味を持つのか?どんな育ちを促すのかについて考えて終わろうと思います。
約束が子どもに及ぼす影響。
それは、客観的・論理的な考え方に繋がっていくということです。
約束というのは、自分の考え方と相手の考え方をすり合わせるものです。
簡単に言うと「私も守るから、あなたも守ってね。そうすれば、楽しいし暮らしやすいでしょ?」ということ。
つまり、相手の考え方が自分に入ってくるということです。
もちろん、子どもには最初からそんなことわかりません。
大人と約束して、それができたらなんだか相手が喜んだり認めてくれる。
そんな感覚でしょう。
ただ、その段階でも他者の行動や反応は意識しています。
他者は自分とは違うということを考え始めるのです。
さらに成長が進んでいくと、「約束を破ったら友だちが怒った」など、自分のしたいことをしていたら相手が怒ったり泣いたりする出来事に出会っていくでしょう。
すると、相手の気持ちを考える機会になっていきます。
これは客観的な視点へと繋がります。
同時に、自分の行動と相手の行動の因果関係に気付くきっかけにもなるでしょう。
これはまさに論理的思考に繋がっていくものです。
当然、これらは約束に関係なく、日常の様々な出来事の中で身についていくものでもあります。
けれど、約束には大きなメリットがあるのです。
それが「わかりやすさ」。
約束を守ったからこうなった→互いに気持ちがいい。
破ったからこうなった→こうなったからには、どうにかしないといけない→どうにかする方法を考える→次は守った方がいいかも。
といったように、約束に沿って考えることで、方向性がまとまりやすく、解決策なども出てきやすくなります。
すると、問題解決の機会や、考える機会が増えることにもなります。
いわば、約束は考えたり、相手と考え方をすりあわせるためのガイドラインのような役割をしてくれるのです。
そして、それは自然と物事を論理的に考えたり、他者の気持ちを客観的に考える習慣に繋がっていくでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は約束を作る時に、考えなければいけないことについて見ていきました。
約束は大切ですが、使い方によって毒にも薬にもなります。
対等な約束であれば、物事を考える機会に。
一方的な約束であれば、それは約束の皮をかぶった押さえつけとなり、指示待ち人間を作る機会にも繋がるでしょう。
子どもたちは、約束をし、守り、破り、考える経験を積み重ねていくことで、いずれ自分たちで約束を作れるようになっていきます。
約束を作るということは、互いの考えをすり合わせ、妥協点を見つけたり、発展させたりして、より生きやすくしていくことです。
互いの意見を聞き、それを踏まえて、みんながより生きやすい約束を作る。
これはまさに民主主義の考え方そのものでもあります。
そんな子どもたちに、どんな約束を作れるようになって欲しいのかを、考える機会になれば嬉しく思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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