ねこざかな(3歳~)

絵本

作・絵:わたなべゆういち 出版:フレーベル館

ネコが釣り上げた魚を食べようとしたら、反対に食べられた!

でも、魚の中で暮らすのも、中々悪くない。

2匹はねこざかなとして、一緒に暮らすことにしたのでした。

あらすじ

ある日、食いしん坊のネコが、魚釣りをしていました。

すると、大きな魚がかかり、ネコはさっそく食べることに。

しかし、魚はネコよりも大きく口を開け、ネコのことを丸呑みしてしまいました。

魚はネコを飲み込んだまま、海へと飛び込んでしまうのでした。

魚はご機嫌で、海を歌いながら泳ぎました。

すると、それに釣られて、ネコも魚の口から顔を出し、歌いながら泳ぎます。

ネコも魚も楽しくなってきました。

そこへ、いきなりサメが現れました。

が、ねこざかなを見ると、目が四つに、口が二つついているなんて気味が悪いと、すぐに逃げていったのでした。

それを見た魚がネコに2人で暮らそうかと提案します。

ネコもうなずき、2人はねこざかなとして暮らすことになりました。

波乗りしたり、昼寝をしたり、木登りから飛び込みをしたり・・・。

2人は仲良く楽しく過ごしていきました。

ところがある日、ネコが目の前を泳ぐ魚を食べてしまいました。

魚を食べるなんてひどいとねこざかなは怒ります。

しかし、ネコは悪びれもせず、さらにもう一匹魚を食べました。

その瞬間・・・。

ねこざかなの関係はどうなってしまうのでしょう?

『ねこざかな』の素敵なところ

  • 食べられても仲良しな2人
  • ねこざかなならではの楽しい日々
  • ケンカもするけどやっぱり仲良し

食べられても仲良しな2人

この絵本のなによりおもしろいところは、食べられたネコが、魚の中で暮らし始めることでしょう。

しかも、不安を感じるどころか、その生活を楽しみ、自分たちで「ねこざかな」と名乗ってしまいます。

これには子どもたちも、

「えー!?生きてるの!?」

「そんなのあり!?」

と、まさか過ぎる展開にビックリ仰天。

ネコと魚の適応力が高すぎます。

しかも、そのフォルムがなんとも言えず、魚の口からネコの顔だけ見えていて、4本の足も生えています。

その他の部分は魚そのものという、なんとも不思議なデザインで、ねこざかなと呼ぶ他ありません。

まさに、ネコが魚の着ぐるみを着ているようなデザインが、「食べられたらこんな感じになるよね」という、妙な納得感を生み、「ねこざかな」を自然に受け入れてしまうのです。

ねこざかなならではの楽しい日々

そんなねこざかなは、毎日を楽しく過ごします。

その楽しみ方が、ねこざかなならではなのも、この絵本のおもしろいところです。

足があるので陸地でフラダンスをしたり、

魚に入っているので、自由に海に浮かんだり、

果ては、ネコの力で木登りし、そこから魚の力で飛び込むなんていう、合体技まで編み出します。

ネコだけ、魚だけでは実現できない充実した毎日が待っているのです。

この楽しそうな姿に、

「ねこざかないいね~」

「こんな風に、海に浮かびた~い」

と、子どもたちも羨ましそうに見ていました。

もうすっかり、元は食べられたということは忘れているみたいです。

この、ネコと魚の力を合わせた楽しそうな日々も、この絵本ならではの素敵なところです。

ケンカもするけどやっぱり仲良し

ですが、ねこざかなになっても、中身はやっぱりネコはネコで、魚は魚。

そのせいでケンカすることも、もちろんあります。

ネコが目の前の小魚を食べてしまったのです。

魚はネコの大好物。

ですが、魚は仲間を食べられて、見過ごすことは出来ません。

悪びれずに食べるネコ。

怒る魚。

やっぱり、ねこざかなも大変かもしれないと思ったその時、事件が起こります。

これでねこざかなも、ネコと魚にお別れか・・・と思いきや、結局仲良しなねこざかな。

なんだかんだ言っても、2人での生活は気に入っているみたいで、ネコと魚という越えられない壁はあありつつも、似た者同士で、気が合うのが感じられます。

このケンカしても、事件があっても、結局ねこざかなに戻ってくる安心感も、この絵本の魅力の一つです。

二言まとめ

魚がネコに食べられるだけでも驚きなのに、さらに一心同体のねこざかなになるという、さらなる驚きが待っている。

ネコと魚が合体したからこその、楽しみやおもしろさが詰った絵本です。

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