作・絵:わたなべゆういち 出版:フレーベル館
ネコが釣り上げた魚を食べようとしたら、反対に食べられた!
でも、魚の中で暮らすのも、中々悪くない。
2匹はねこざかなとして、一緒に暮らすことにしたのでした。
あらすじ
ある日、食いしん坊のネコが、魚釣りをしていました。
すると、大きな魚がかかり、ネコはさっそく食べることに。
しかし、魚はネコよりも大きく口を開け、ネコのことを丸呑みしてしまいました。
魚はネコを飲み込んだまま、海へと飛び込んでしまうのでした。
魚はご機嫌で、海を歌いながら泳ぎました。
すると、それに釣られて、ネコも魚の口から顔を出し、歌いながら泳ぎます。
ネコも魚も楽しくなってきました。
そこへ、いきなりサメが現れました。
が、ねこざかなを見ると、目が四つに、口が二つついているなんて気味が悪いと、すぐに逃げていったのでした。
それを見た魚がネコに2人で暮らそうかと提案します。
ネコもうなずき、2人はねこざかなとして暮らすことになりました。
波乗りしたり、昼寝をしたり、木登りから飛び込みをしたり・・・。
2人は仲良く楽しく過ごしていきました。
ところがある日、ネコが目の前を泳ぐ魚を食べてしまいました。
魚を食べるなんてひどいとねこざかなは怒ります。
しかし、ネコは悪びれもせず、さらにもう一匹魚を食べました。
その瞬間・・・。
ねこざかなの関係はどうなってしまうのでしょう?
『ねこざかな』の素敵なところ
- 食べられても仲良しな2人
- ねこざかなならではの楽しい日々
- ケンカもするけどやっぱり仲良し
食べられても仲良しな2人
この絵本のなによりおもしろいところは、食べられたネコが、魚の中で暮らし始めることでしょう。
しかも、不安を感じるどころか、その生活を楽しみ、自分たちで「ねこざかな」と名乗ってしまいます。
これには子どもたちも、
「えー!?生きてるの!?」
「そんなのあり!?」
と、まさか過ぎる展開にビックリ仰天。
ネコと魚の適応力が高すぎます。
しかも、そのフォルムがなんとも言えず、魚の口からネコの顔だけ見えていて、4本の足も生えています。
その他の部分は魚そのものという、なんとも不思議なデザインで、ねこざかなと呼ぶ他ありません。
まさに、ネコが魚の着ぐるみを着ているようなデザインが、「食べられたらこんな感じになるよね」という、妙な納得感を生み、「ねこざかな」を自然に受け入れてしまうのです。
ねこざかなならではの楽しい日々
そんなねこざかなは、毎日を楽しく過ごします。
その楽しみ方が、ねこざかなならではなのも、この絵本のおもしろいところです。
足があるので陸地でフラダンスをしたり、
魚に入っているので、自由に海に浮かんだり、
果ては、ネコの力で木登りし、そこから魚の力で飛び込むなんていう、合体技まで編み出します。
ネコだけ、魚だけでは実現できない充実した毎日が待っているのです。
この楽しそうな姿に、
「ねこざかないいね~」
「こんな風に、海に浮かびた~い」
と、子どもたちも羨ましそうに見ていました。
もうすっかり、元は食べられたということは忘れているみたいです。
この、ネコと魚の力を合わせた楽しそうな日々も、この絵本ならではの素敵なところです。
ケンカもするけどやっぱり仲良し
ですが、ねこざかなになっても、中身はやっぱりネコはネコで、魚は魚。
そのせいでケンカすることも、もちろんあります。
ネコが目の前の小魚を食べてしまったのです。
魚はネコの大好物。
ですが、魚は仲間を食べられて、見過ごすことは出来ません。
悪びれずに食べるネコ。
怒る魚。
やっぱり、ねこざかなも大変かもしれないと思ったその時、事件が起こります。
これでねこざかなも、ネコと魚にお別れか・・・と思いきや、結局仲良しなねこざかな。
なんだかんだ言っても、2人での生活は気に入っているみたいで、ネコと魚という越えられない壁はあありつつも、似た者同士で、気が合うのが感じられます。
このケンカしても、事件があっても、結局ねこざかなに戻ってくる安心感も、この絵本の魅力の一つです。
二言まとめ
魚がネコに食べられるだけでも驚きなのに、さらに一心同体のねこざかなになるという、さらなる驚きが待っている。
ネコと魚が合体したからこその、楽しみやおもしろさが詰った絵本です。
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