写真・文:ケン・ロビンズ 訳:千葉茂樹 出版:BL出版
ハロウィンに欠かせないパンプキン。
そんなパンプキンが、種からランタンになるまでを、実写で描いた物語です。
あらすじ
大地が落ち葉で色とりどりになり、ガンが南へ渡り始める頃。
あちこちで見られるのがパンプキン。
けれど、パンプキンの物語が始まるのは、種のまかれる春。
10日もすると、小さな葉っぱが顔をのぞかせ、数週間でツルが伸び、花のつぼみが現れる。
花が咲き、花の根元が膨らんで、色がどんどん変わっていく。
夏の間、パンプキンはすくすく育ち、夏が過ぎてツルが刈り取られると、畑一面にパンプキンが顔を出す。
パンプキンは形も大きさも様々。
手のひらサイズから、巨大なものまで。
パンプキンの大きさコンテストもあり、大きなものは450キロを超える。
農場に出かけると、たくさんのパンプキンが売られている。
好きなものを買って帰ろう。
パンプキンと言えばハロウィンのオバケランタン。
ペンで顔の下書きをし、のこぎりかナイフでふたを切り取る。
ふたが開いたら中の綿と種を取り出し、目や口や鼻を切る。
出来上がったら、ろうそくを灯し、玄関先や窓辺に飾る。
これで準備万端。
いよいよハロウィンのパレードが始まった・・・。
『パンプキン』の素敵なところ
- 種からオバケランタンまでの物語
- 写真で見られるオバケランタンの作り方
- ハロウィンの後も巡る命
種からオバケランタンまでの物語
この絵本のおもしろいところは、ハロウィンの物語であると同時に、パンプキンの物語でもあるということです。
ハロウィンに欠かせないパンプキンですが、ハロウィンになったからポンと出てくるわけではありません。
お店に並ぶまでには、長い時間をかけ育てています。
それを最初の種から描いているのが、この絵本の素敵なところ。
種をまき、葉が出て、ツルを伸ばし、つぼみが出来て花が咲く。
そして、少しずつ大きくなっていく実。
これらのすべてを写真を使い丁寧に描いているのです。
きっと、この絵本でカボチャの花を初めて見る子もいるでしょう。
よく見る形になるまでに、こんなにもたくさんの時間と行程が必要なことに驚く子もいるかもしれません。
そんな風に、ハロウィンのオバケランタンのことだけではなく、パンプキンの物語も詳しく実物の写真を見ながら知ることができるのです。
それに、パンプキンができるまでを見ることは、ハロウィンの収穫祭という本来の意味と繋がるように思えます。
長い時間かけ苦労して育て、それをハロウィンに使う。
この絵本は、そんなハロウィン本来の喜びを体現しているように思うのです。
写真で見られるオバケランタンの作り方
こうして、カボチャがたくさん実った後は、ハロウィンの準備へと物語が移り変わっていきます。
このオバケランタンができるまでも、実写で丁寧に描かれているのも、この絵本の楽しいところ。
日本に住んでいると、作り物のオバケランタンを目にすることはあっても、本当にカボチャで作ったものは見たことがないのではないでしょうか?
ましてや、作るところを見る機会なんてめったにないでしょう。
カボチャ上部のふたを切り取り、中身を出して、顔を切り抜く。
その一つひとつを、この絵本では実写で見ることができるのです。
これには子どもたちも、
「こんな風に作ってるんだ!」
「たしかにふたを切らないとろうそく入れられないもんね。」
「固そうなのに切れるんだ!」
と、驚いたり、感心したり、納得したり。
慣れ親しんだものが、どうやってできるのかに興味津々な様子でした。
この知っている様で知らないオバケランタンの作り方を、実写で見られるのも、この絵本の素敵なところです。
ハロウィンの後も巡る命
いよいよ、ランタンも完成し、ハロウィンのパレードが始まる町。
パンプキンの物語も、いよいよこれで終わり・・・にはなりません。
なぜなら、ここで終わってしまっては、来年のハロウィンへと繋がらないからです。
この絵本のとても素敵なところは、ハロウィンの後、来年へと巡る命についても描かれていること。
とても短く、簡潔に。
ですが、確実に来年の春を思い起こさせ、次のハロウィンを楽しみにさせてくれます。
さらにはその次のハロウィンまでも。
季節とともに、命も種から果実、また種へと巡っていることが自然と感じ取れるのです。
こんな風に、ハロウィンを通して、収穫の喜びや、命が巡っていることを感じさせてくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
パンプキンが種から育ち、オバケランタンになるまでが、実写で丁寧に描かれた。
本物のオバケランタンの作り方や、その姿を見ることができるハロウィン絵本です。
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