ふしぎふしぎ(4歳~)

絵本

文:片山令子 絵:長新太 出版:国土社

気持ちのいいお日さまの光。

そんな光がジュースになってしまいました。

イライラしている人も、悲しい人も、これを飲んだら・・・。

あらすじ

久しぶりに晴れた気持ちのいい朝。

女の子ミチコは、陽の光を浴びながら、思わず空に「おいしい光」と言いました。

すると、空から「もっとおいしい光をあげるから、入れ物を持っておいで」という声が。

入れ物を持ってくると、眩しい手が伸びてきて、入れ物においしい光を入れてくれました。

ミチコは瓶を持って散歩に出かけました。

歩いていると、ミチコはキツネに足をかけられ、転んでしまいました。

そして、キツネはおいしい光をよこせと言ってきました。

ミチコが半分こをしないか聞くと、キツネは半分こと全部どっちの方が多いのかと聞いてきました。

ミチコは2人ともおいしい半分この方が多いと答えると、キツネは納得。

キツネが持って来たコップにおいしい光を入れてあげ、おいしい光を飲みました。

不思議なことに、瓶の中の光は全然減りませんでした。

キツネがおいしい光の正体を知りたがったので、丘へいけばわかると伝え、一緒におかまで行くことになりました。

ミチコとキツネが歩いていくと、太ったウサギがニンジンを食べながら泣いていました。

どうやら悲しくて、ニンジンを食べ過ぎてしまうようでした。

ミチコはコップを持ってくるよう言い、おいしい光をわけてあげました。

やっぱり、瓶の光は減りません。

ウサギはおいしい光を飲むとすっかり泣き止んで、おいしい光の正体を知りたがりました。

ミチコが丘に行けばわかると言うと、ウサギも一緒に行くことになりました。

ミチコとキツネとウサギが歩いていくと、ミチコは突然、クマに腕を掴まれました。

クマはミチコがクマの家に入ったと怒っています。

でも、ミチコはクマの家の影に入っただけでした。

ミチコがおいしい光をあげるから手を放すよう言いました。

クマはおいしい光を半分こではなく、全部欲しがったので、ミチコは瓶を渡して丘へ向かいました。

クマが瓶を真っ暗な家の中に持っていくと、瓶の中のおいしい光はクマが飲む前にすっかり消えてしまったのでした。

ミチコとキツネとウサギは、気を取り直し丘に向かって走り出しました。

後ろからは、こっそりクマがついて来ています。

そしていよいよ丘に着き・・・。

『ふしぎふしぎ』の素敵なところ

  • お日さまから降り注ぐおいしい光
  • おいしい光の不思議な力
  • 外に飛び出しおいしい光を味わいたくなる

お日さまから降り注ぐおいしい光

この絵本の、とても素敵なところは、お日さまの光の気持ちよさを、とてもわかりやすく感じさせてくれることでしょう。

日頃なんとなく感じている、お日さまを浴びた時の心地よさ。

でも、当たり前すぎて、あまり気に留めることはないかもしれません。

ミチコだって、もしかしたら久しぶりに晴れたからこそ、気付いたのかもしれません。

その気持ちよさを、この絵本では飲めるようにし、「おいしい」というとても実感しやすい形で見せてくれます。

ジュースのような見た目で、とても美味しそうに視覚化してくれているのです。

子どもたちも、

「オレンジジュースみたいな味かな?」

「はちみつ味かも!」

と、味の想像が膨らみます。

散歩など、実際に陽の光を浴びたあとだと、

「甘い味がしたよ!」

「あったかい味がした!」

など、お日さまの味を思い出している子もいて、お日さまの光の気持ちよさを味として表現している様でした。

この、いつもなんとなく感じているお日さまの気持ちよさを、おいしさとしてよりわかりやすく感じさせてくれたり、表現しやすくしてくれているのが、この絵本のとても素敵なところです。

おいしい光の不思議な力

そんなおいしい光には、人々の心を温かくしてくれる力があります。

イライラして、足を引っかけてくるキツネ。

悲しくて、ニンジンを食べ過ぎてしまうウサギ。

そのどちらも、おいしい光を飲むと、その美味しさにすっかり笑顔になってしまうのです。

これはまさにお日さまの光と同じ力。

心を温かく解きほぐしてくれる力でしょう。

イライラした時や、悲しい時は、お日さまの光を味わうのが一番だと、キツネやウサギの姿から伝わってくるようです。

さらには、クマの姿からも・・・。

イライラした時、悲しい時、不安な時・・・。

そんな時の、とても身近で手軽な特効薬の存在を優しく教えてくれるところも、この絵本のとても素敵なところです。

自分がそんな気持ちの時は外に出て、周りの人がそんな気持ちの時は、外に連れ出してあげたいものですね。

外に飛び出しおいしい光を味わいたくなる

さて、たくさんの効用があるおいしい光。

実は瓶やコップなどなくても味わえます。

丘の上に行った時、それがわかるのです。

その味わい方を知ったら、いつでもどこでもおいしい光が味わえてしまいます。

丘の上で、思いっきり味わうミチコたち。

その姿を見ていると、すぐに自分も外に出て、おいしい光を味わいたくなってしまいます。

この自分でも味わいたいと思わせてくれるのも、この絵本の素敵なところ。

きっとその気持ちで外に出たら、いつものお日さまの光が、おいしい光になっていることでしょう。

そして、いつもよりもお日さまの光を近くに、心地よく感じることでしょう。

そんな風に、この絵本を読むと、外に出たいという気持ちや、晴れた日の気持ちよさを感じることに、自然と繋がっていくのです。

ぜひ、読んだ後は外で寝そべり、おいしい光を実際に味わってほしいところです。

二言まとめ

いつもは無意識に感じているお日さまの気持ちよさを、飲んで味わえるようにしてくれた。

読めば自分も外に出て、陽の光を浴び、おいしい光を味わいたくなる絵本です。

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