みどりのがけのふるいいえ(4歳~)

絵本

作:なかの真実 出版:世界文化社

緑の崖の古い家にネコが住んでいました。

ある日、急に地面が揺れ、窓辺には不思議な石が。

その石は次第に大きくなっていき・・・。

あらすじ

高い草生した崖の上に、一軒の古い家がありました。

そこでは一匹のネコと、お隣さんの一羽のニワトリが、仲良く暮らしてしました。

ある日の朝、急に地面が揺れ、ネコは驚いて目が覚めました。

すぐに窓からニワトリの様子も見に行きましたが、元気そうです。

ネコが安心して窓を閉めようとすると、窓辺に色とりどりに輝く小さな石のようなものが置いてあることに気付きました。

その大きさはネコの手のひらに収まるくらいの大きさです。

ネコは、さっきの揺れで落ちてきたのだと思いました。

気を取り直して、ネコは朝ごはんの支度にとりかかります。

試しにさっきの石でキノコを切ってみるといい感じ。

包丁として石を使い料理が完成した頃、不思議なことに、石がさっきよりも大きくなっているではありませんか。

ちょうどいいので石をお皿にして、朝ごはんを食べました。

朝ごはんを食べ終わると、石はさらに大きくなっていました。

外に置いてみるとテーブルにちょうどいいサイズ。

ニワトリを誘い、石のテーブルでキイチゴジュースを飲みました。

2人がおしゃべりに夢中になっていると、空が急に真っ暗に。

朝の地震もあったので、ネコはニワトリを家に招き入れ、一緒に過ごすことに。

その間も、石はぐんぐん大きくなり、ベッドにちょうどいいサイズ。

ネコはニワトリと石のベッドで眠りました。

外は雨が降り出し、風がうなり声をあげています。

と、突然のニワトリの大声で、ネコは目を覚ましました。

部屋の中には大量の水が溢れ、今にも沈みそうになっていたのです。

水の勢いでベッドがひっくり返り、ネコとニワトリは水の中へ・・・。

意識を失いかけたその時、部屋の窓が開いて、すごい速さで気が伸びてきて、ネコとニワトリを水からすくいあげました。

そして、目を開けると目の前にいたのは緑の崖・・・ではなく、大きなトロルでした。

トロルが語る、これまでの不思議な出来事の真相とは?

『みどりのがけのふるいいえ』の素敵なところ

  • とても綺麗で不思議な石
  • 崖の上でののんびりとした素敵な暮らし
  • 不思議な出来事の切ない真相

とても綺麗で不思議な石

この絵本の中で特徴的なものが、綺麗で不思議な石でしょう。

青を基調に色とりどりに輝く石は、まるで海が固まったような深みのある美しさ。

見たら、しばらくページをめくらず、じっくり見続けたくなる吸い込まれるような魅力があります。

子どもたちも、

「きれい・・・」

「こんな石欲しい!」

「ステンドグラスみたい」

と、あっという間にその美しさのとりこになってしまいます。

さらにきれいなだけじゃなく、この石はどんどん大きくなっていきます。

ご飯を作っている間、食べている間・・・と、手のひらサイズから、あっという間にベッドほどまで。

その変化が速くて大きく、ページをめくるごとに「また大きくなってる!」「家に入らなくなっちゃうよ!」と驚かされます。

でも、どれだけ大きくなっても美しさは変わらずに、とても魅力的。

むしろ大きくなることで、より魅力を増しているかもしれません。

この石の不思議さと美しさが、この絵本に欠かせない魅力です。

崖の上でののんびりとした素敵な暮らし

また、そんな石を使っての、ネコとニワトリの素敵な暮らしもこの絵本のとても素敵なところです。

見晴らしのいい崖の上で、ニワトリと仲良く暮らすネコ。

朝ごはんには、キノコを炒め、パンに挟んだ美味しそうなサンドイッチを頬張り、

食後は、原っぱでニワトリとおしゃべりをしながらキイチゴジュース。

ロケーションも素敵だし、時間にも縛られず、のんびりと暮らしていることが伝わってきます。

仲のいい友だちと、その日その日を楽しく生きる姿が、とても楽しそうなのです。

しかも、物語の最後には、さらに嬉しいことも起き、この暮らしがさらに楽しそうになるのもポイント。

ここでしか味わえない、穏やかで楽しそうな仲間と暮らしに、緑の崖へ行きたくなってしまうのです。

これには美しく、どこか幻想的な風景の描写も関係しているのでしょう。

果てしなく続く空、どこまでも続く平原の緑など、寝転びたくなるような、走り出したくなるような素敵なローケーションが続きます。

この自然と一緒にのんびり暮らす心地よさを、心から感じさせてくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。

不思議な出来事の切ない真相

さて、この日は朝から不思議なことが起こり続けます。

地震、不思議な石、謎の影、大雨と洪水。

これらの鍵を握るのは、目の前に現れた大きなトロルでした。

大きくなっていく石の秘密に、たくさんの自然現象。

それらが、すべてトロルのある気持ちから来ていることが、物語の最後で明かされます。

その理由や行動が、どれも切ないのです。

長い間ずっと、緑の崖として、ネコとニワトリを見守ってきたトロルだからこその理由です。

そして、それを聞いたネコとニワトリの行動がとても優しく素敵なのがこの絵本のとても素敵なところです。

これまでも素敵な生活だったのが、より素敵で楽しくなることが伝わってくる結末です。

また、この結末を知ってから物語を読み返すと、トロルの気持ちがより伝わってくるので、ぜひ2回目以降の物語も楽しんでみてください。

二言まとめ

緑の崖に起こる、美しくて、不思議で、恐ろしい出来事に目が離せない。

その切ない真相と、ネコとニワトリの行動に、とても優しい気持ちになれる絵本です。

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