カラフルなひとりごと(5歳~)

絵本

作:種村有希子 出版:ほるぷ出版

みんな心の中でしゃっべってる。

色んなことを思ってる。

そんなひとりごとってどんな色?

あらすじ

夏に落ち葉を踏んだ女の子。

あることに気が付いた。

「発見!夏の落ち葉って柔らかいんだ~」と黄緑色のひとりごと。

公園で遊んでいる女の子。

歯がずっとグラグラしている・・・。

「あ!ないない!歯が抜けた!」と赤いひとりごと。

保育園のお誕生日会で、みんなでケーキを食べる女の子。

こぼしてしまったケーキを、床に払い落としたら、他の子に見つかってしまった。

「どうしよう、どうしよう、見つかっちゃった」とオレンジ色のひとりごと。

家で留守番をしている女の子。

台所にあるレタスにアリがたかっているのを見つけ驚いた。

とっさに庭に投げ捨てたけれど・・・。

「あー、これ絶対怒られる・・・」と紫色のひとりごと。

次の子にも、その次の子にも、それぞれいろんな色のなひとりごとがあるみたい。

『カラフルなひとりごと』の素敵なところ

  • ひとりごとを色で表すおもしろさ
  • さり気なく次の子へと繋がっていくバトンタッチ
  • 自分のひとりごとも色で表現したくなる

ひとりごとを色で表すおもしろさ

この絵本のなによりおもしろいところは、色々なひとりごとが色で表現されていることでしょう。

それぞれの子が、それぞれの場面で考えている心の声。

それに色を付けると、どんな気持ちなのかがとてもわかりやすくなります。

子どもたちも、

「びっくりした赤かな?」

「血の味がするから赤なんじゃない?」

「涼しいと水色だよね~」

と、その色の気持ちを考えたり、共感したりと、色になっているからこそ、その子の気持ちをさらに一歩踏み込んで考えている様でした。

また、気持ちを言葉以外で表す方法に気付かせてくれるのも、素敵なところ。

言葉や文字だけでなく、色でも表せるし、音でも表せると、表現方法の多様性に、さり気なく気付かせてくれるのです。

さり気なく次の子へと繋がっていくバトンタッチ

1人の子がそんなひとりごとを言った後、この絵本では、他の子へと移り変わっていきます。

その時の、バトンタッチがさり気なく繋がっているのも、この絵本のおもしろいところです。

落ち葉を発見する子がクローズアップされ、ひとりごとを言うと、画面は遠景へと移ります。

その遠景では、落ち葉をお母さんに見せる女の子の姿と同時に、隣の公園で次に出てくる女の子が遊んでいます。

今度は公園で遊んでいる子がクローズアップされ・・・。

と、どんどん次の子へと繋がっていくのです。

これのおもしろいところは、ひとりごとのその後になっているところ。

歯が抜けた子なら、周りの友だちに知らせ、友だちが見に来たり、拍手してもらっている様子が描かれ、

ケーキを落としていたのが見つかった子は、遊びの時間になった後も、一人いすに座りしょんぼりしている。

というように、次の子へバトンタッチするだけでなく、物語に深みを与えてくれているのです。

きっと、その後の場面では別のひとりごとが、心の中にあるでしょう。

この絵を見ながら、新たなひとりごとを考えてみるのも、この絵本のおもしろい遊びです。

自分のひとりごとも色で表現したくなる

さて、そんな風に、色々な子のひとりごとと色を見ていた、新たな気持ちの表現方法を知ったなら、試したくなるのが子どもです。

「遊んでるときは〈楽しい~♪〉の黄色!」

「泣いてるときは青い気持ちかも」

「ケンカしてるときは〈このやろー!〉の赤!」

など、自分が普段、どんなひとりごとを言っているか考え、それに色を付け始めます。

普段はひとりごとなんて意識していませんが、改めて考えてみると、色々なひとりごとを言っていることに気付く子どもたち。

布団に入る時の気持ちよさ。

なにかを食べた時の美味しさ。

など、実は多くのひとりごとを言っているのです。

そんなことに気付き、考えさせ、そこに色をつけていく楽しさを味あわせてくれるのは、この絵本ならではのものだと思います。

色々な子のひとりごとと色を見る中で、自分のひとりごとにも気付き、どんな色かを考えるきっかけをくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

色々な子が日頃考えているひとりごとを見て、それに色付けすることで、様々な気持ちと触れ合える。

他の子のひとりごとを通して、自分のひとりごとやその色も見えるようになる絵本です。

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