ざしきわらしのおとちゃん(4歳~)

絵本

作:飯野和好 出版:小学館

座敷童の住む古い家。

そこに新たな家族が引っ越してきて・・・。

座敷童の奔放な暮らしぶりがよくわかる妖怪絵本です。

あらすじ

朝になり、丘の上の古い家で、座敷童のおとちゃんは目を覚ましました。

おとちゃんが歩いていると、くさたばくんと会いました。

くさたばくんは、あぜ道に種をまきに行くところみたいです。

おとちゃんとくさたばくんが歩いていると、つちぐりくんと会いました。

つちぐりくんは、山にキノコの畑を作りに行くところみたいです。

おとちゃんは、くさたばくんとつちぐりくんに、もうすぐおとちゃん家に新しい家族が引っ越してくるのだと話しました。

そして、おとちゃんがその家の守り神になるのだと。

こうして、おとちゃんが家の屋根裏のクモの巣払いなどをして過ごしていると、ついに新しい家族が引っ越してくる日になりました。

引っ越しの様子を見守るおとちゃん。

と、その時、トラックの荷台から、荷物が落ち男の子が下敷きに・・・なる寸前、おとちゃんが飛んでいき、男の子を助けてくれました。

男の子がおとちゃんにお礼を言うと、おとちゃんは自分が座敷童だと伝え、このことは内緒にするよう言ったのでした。

そして、その夜・・・。

『ざしきわらしのおとちゃん』の素敵なところ

  • のんびりと楽しそうな座敷童の暮らし
  • 楽しく癒される特徴的な絵と文章
  • いたずら好きの守り神

のんびりと楽しそうな座敷童の暮らし

この絵本から感じることは、のんびりとした幸せな雰囲気です。

きっと、山と田んぼに囲まれたのどかな風景の中で、おとちゃんとくさたばくん、つちぐりくんののんびり楽しそうな暮らしぶりをみているからかもしれません。

読んでいると、夏休みなどに田舎のおばあちゃんの家で過ごしているような、ゆっくりとした時間の流れを感じるのです。

そんな3人は、やらなければいけないことはありません。

その日、やりたいことをやるのです。

くさたばくんは種まきを、つちぐりくんはキノコ畑を増やそうと、おとちゃんは大切な家のクモの巣払いを・・・と、それぞれその時に必要だと思うことをしています。

そして、それを「いいね~」と言ってくれる友だちがいる。

この空気感が、とっても癒されるのです。

楽しく癒される特徴的な絵と文章

また、この空気感は、特徴的な絵と文章のおかげでもあります。

登場人物たちののほほんとした表情を始め、その仕草もなんだか独特の脱力感があり、見ているだけで癒されます。

感覚としては、ちびまる子ちゃんの幸せな雰囲気かもしれません。

合わせて文章も、

おとちゃんが「すっこすっこ」と歩いてきたり、

「うん、きょうはね、やねうらのくものすはらい、えーいっ」「はっはっはっはっはっ」と、みんなで万歳のポーズをしたり、

独特の空気感を醸し出しています。

この他にも、言葉の端々に、この絵本ならではののんびり楽しそうな雰囲気が感じられ、絵本全体をほんわか温かいものにしているのです。

いたずら好きの守り神

さて、そんなおとちゃんの住む家に、新しい家族が引っ越して来ます。

ここでいよいよ座敷童の本領が発揮されます。

これまでは、普通の女の子と変わらない様子だったおとちゃん。

ですが、男の子のピンチに、さっそく座敷童としての力を使います。

自由に空を飛び、男の子を抱える力を見せるおとちゃん。

その姿は、やはり人智を越えたもの。

改めて、妖怪だということを感じさせられます。

ただ、いつも守ってくれる、かっこいい姿だけではないのも、座敷童の魅力です。

この絵本では最後の場面で、座敷童の子どもらしさや、守る以外のもう一つの仕事もしっかり描かれます。

この姿がまた、座敷童らしさや、親近感を感じさせ、「友だちになってみたいな」という気持ちを思い起こさせてくれるのです。

「こんな座敷童なら、会ってみたいな」「おじいちゃんちにもいるかな?」という気持ちにさせてくれるのが、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

山に囲まれた田舎での、のんびりとした空気感にとっても癒される。

座敷童の守り神としての頼もしさと、子どもらしい一面の両方を見ることで、座敷童に会ってみたくなる妖怪絵本です。

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