作:かんのゆきこ 出版:岩崎書店
動物たちがホットケーキを作ります。
材料と動物が増えていく繰り返しと、
そのたび賑やかになる掛け声が、かわいくおもしろい絵本です。
あらすじ
みんなでホットケーキを作ります。
最初に来たのは長い耳。
一体誰でしょう?
これはウサギさんの耳でした。
ウサギさんはたまごを持ってきて、ボールにパカッと割り入れます。
次に来たのは、水かきのついた鳥のような足。
一体誰でしょう?
ぺったんぺったん歩いてきたのは、ペンギンさんの足でした、
ペンギンさんはミルクを持ってきて、ボールに注いでくれました。
その次に来たのは、まん丸なお腹。
一体誰でしょう?
それはタヌキさんのお腹でした。
タヌキさんは粉を持ってきて、ボールの中に入れました。
最後に来たのは、ピンクの大きな鼻。
一体誰でしょう?
それはブタさんの鼻でした。
ブタさんは砂糖を持ってきて、ボールの中に入れました。
力を合わせて、ホットケーキの元が出来、いよいよフライパンで焼き上げます。
動物たちのホットケーキは、美味しく完成するのでしょうか?
『だいすきほっとけーき』の素敵なところ
- クイズ形式で出てくる動物たち
- 動物と一緒に増えていくかけ声
- 大盛り上がりの焼き上がり
クイズ形式で出てくる動物たち
この絵本のおもしろいところは、クイズ形式で出てくる動物たち。
耳や足など、特徴的な部分だけ出てきて、「だれの耳?」と問いかけます。
クイズは子どもたちの大好物。
これだけで、「うさぎさん!」「ぴょんぴょん!」と大盛り上がりです。
しかも、その動物がそれぞれ材料を持ってくるので、
「うさぎさん、卵持ってる」
「ペンギンさんは牛乳だ!」
など、さらに盛り上がります。
動物クイズとあいまって、「次はなんの動物が出てくるんだろう?」と一緒に「なにを持ってくるんだろう?」とワクワク。
クイズは簡単にわかる大きな子も、材料の予想で楽しめていました。
この動物+材料の組み合わせのワクワク感が、この絵本のおもしろいところです。
動物と一緒に増えていくかけ声
また、動物が材料を入れる時のかけ声も楽しいポイント。
ボールに材料を入れる時、
「ぴょんぴょん、たまごを、ぱかっ」
と、動物に合わせた音がついてきます。
これが、動物が増えるたび、
「ぴょんぴょん、ぺったん、みるくを、とぽとぽー」
「ぴょんぴょん、ぺったん、ぽんぽこぽん、こなを、さらさらー」
というように、かけ声も増えていくのです。
このリズミカルに増えていくかけ声が、なんともおもしろくて心地いい。
特に最後のブタさんがいい味を出していて、ふわっとした感じをいい具合に締めてくれ、なんだか「ちちんぷいぷい」の呪文みたいで、つい言いたくなってしまうのです。
この増えていくかけ声のおもしろさも、動物と材料が増えていく繰り返しの中の変化として、とても楽しく、心地よいところです。
大盛り上がりの焼き上がり
さて、そんなホットケーキ作りも、いよいよ大詰め。
ついにフライパンで焼く時が来ます。
フライパンにホットケーキの元を入れ、フライパンを見つめる動物たち。
待っている間も、「ぴょんぴょん、ぺったん・・・」とかけ声とともに見守ります。
と、のんびりみていたら、そこからの急な変化にみんなびっくり。
ホットケーキには欠かせない山場と、かけ声が見事にリンクして、
「おー!」
「すごい!」
「おいしそう!」
と、子どもたちから歓声が上がりました。
この一体感がなんとも素敵でおもしろいところ。
かけ声のテンポ感とも相まって、ものすごく盛り上がります。
さらに、繰り返し読んでいくと、子どもたちがタイミングやかけ声を覚えてきて、一緒に合わせて言うように。
こうなってくると、『おおきなかぶ』の「うんとこしょどっこいしょ」のようなおもしろさも加わって、より一体感のある絵本になるのも、この絵本のとても楽しいところです。
二言まとめ
動物が材料を持ってくるシンプルな繰り返しと、動物と一緒に増えていくかけ声の変化がおもしろい。
かけ声のおもしろさと心地よさが癖になり、何度も読みたくなってしまう絵本です。
コメント