みんな星のかけらから(4歳~)

絵本

文:ジーン・ウィリス 絵:ブライオニー・メイ・スミス 訳:石井睦美 出版:フレーベル館

生命は地球から生まれ、地球は星の欠片から生まれた。

つまり、人も元を辿ると星の欠片から出来ている。

だから、全てのものは輝いているのです。

あらすじ

ある女の子がいた。

その子は小さい頃、キラキラ光る星のようなスターになりたかった。

女の子にはお姉ちゃんがいた。

お姉ちゃんにはみんなが「スターだ」って言ってくれたけど、

女の子には誰もいってくれなかった。

なにをやっても、お姉ちゃんのほうがうまく出来た。

ママの大切な結婚指輪がなくなった時、先に見つけたのはお姉ちゃん。

マフラーを上手に編むのも、仮装コンテストでスター賞をもらったのも。

仮装コンテストの夜、女の子は一人で夜空を見ながら、星にお願いをしていた。

「私も、あなたたちみたいなスターになれますように」と。

すると、それを聞いていたおじいちゃんが「お前もスターなんだよ」と答えた。

そして、ある話をしてくれた。

それは、この世界に太陽も月も何もないほど昔の話だった。

ただ暗闇だけがある世界に、大きな爆発が起こり、最初の星が生まれた。

星は大きくなっては、何度も爆発を繰り返し、たくさんの星の欠片が散らばっていった。

明るくてたくさんの星が生まれるまで。

その中の一つに山ができ、海ができ、海の生き物たちが生まれていった。

さらに木ができ、地上の生き物たちが生まれ、お姉ちゃんと妹たちも生まれた。

だから、すべてのものは星の欠片で出来ていて、どんなものでもキラキラ光るのだと。

女の子が、「いつか私もキラキラ光る?」と聞くと、おじいちゃんは「もう光っているさ」と言ってくれた。

「お姉ちゃんだけがスターじゃなく、だれもがみんな違うやり方で光るのだ」ということも。

女の子は、この時の話を忘れなかった。

そして、女の子は大きくなり・・・。

『みんな星のかけらから』の素敵なところ

  • 誰もが通る、自分の輝きを忘れてしまう時
  • すべてのものは星の欠片でできている
  • 女の子だけの輝き方

誰もが通る、自分の輝きを忘れてしまう時

この絵本の主人公は、自分の輝きを見失ってしまった女の子です。

なんでもできるお姉ちゃんと比較して、「自分なんて」と卑下します。

お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる子には、とても身近な悩みでしょう。

対抗するけれど、やっぱりお姉ちゃんほど上手には出来ない自分。

きっと、これは形を変えて誰もが通る道だと思います。

友だちと比較して・・・。

芸能人と比較して・・・。

今ならSNSと比較して・・・。

「自分なんて」と思ってしまうことが。

そんな悩みを持つ人に、この女の子の姿はとても共感できるものでしょう。

気持ちを代弁してくれて、悩みをわかちあってくれる。

この悩んでいる人の拠り所になってくれていることが、この物語のとても優しく温かな雰囲気を作っているのだと思います。

すべてのものは星の欠片でできている

ですが、あることがきっかけで、女の子は人と比べることをやめます。

そのきっかけが、おじいちゃんからの言葉。

この言葉がとてもロマンチックで本当に素敵です。

宇宙の始まりビッグバンから、全てのものは星の欠片でできているというお話。

このお話のなんと説得力のあることでしょう。

ビッグバンから星が生まれ、たくさんの星になり、山が、海が、木々が、生命が生まれ、人間に辿り着く。

順を辿って行けば、確かに人のルーツは宇宙と星へたどり着いてしまいます。

その説得力があるからこそ、「誰もがみんな違うやり方で光るんだよ」という言葉がとても心に響くのだと思います。

同時に、これを人にだけ当てはめていないのも、この絵本の本当に素敵なところです。

このお話は、宇宙も含めたすべてのものに当てはまります。

おじいちゃんは言います。

「雨が降った後、一番ちっぽけな石だって、きらきら光るだろ?それは石ころも星の欠片でできているからなんだよ」と。

そこには、人も含めた、世界のすべてのものが愛おしく、輝いているのだという気持ちが込められているのでしょう。

この話からは、「自分の輝きを信じて大切にすること」と一緒に「すべてのものを大切にすること」という気持ちが感じられるのです。

このおじいちゃんの星の欠片のお話も、この絵本のとてもとても素敵なところです。

女の子だけの輝き方

さて、この話を小さい頃に聞いた女の子。

この話を忘れずに、自分自身の輝きを信じて行動して、大きくなっていきました。

そして、最後の場面でこの女の子の光り方がしっかりと描かれているのも、この絵本の素敵なところ。

最初に目指したスターとは全然違う意外なものでしたが、この女の子にぴったりな光り方です。

きっとこの姿は、最初の方で女の子の悩みに共感を覚えた人ほど勇気をもらえることでしょう。

比べることをやめ、自分の輝きを見つめ直し、進んでいく姿の美しさに。

目線をどこに置くかで、こんなにも光り方が変わるのかということに。

ぜひそんな悩みを持つ人たちや、妹、弟たちに読んで欲しい絵本です。

二言まとめ

宇宙の始まりから、人間へと繋がっていく壮大でロマンチックな物語通して、自分が輝けると信じさせてくれる。

女の子が光り輝いていく姿から、前に進む勇気をもらえる優しくて、温かな絵本です。

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