作:たけうちちひろ 出版:出版ワークス
探し物が中々見つからない。
探せば探すほど見つからない。
でも、見つかってみると「そこか!」と思うことあると思います。
そんなお話です。
あらすじ
ある朝目が覚めたら、ロボットの腕がなくなっていた。
家の中を探してみた。
「これは腕?」と小さなロボットがフォークを持って来た。
「フォークは腕じゃない」とロボットは言う。
ほうき、えんぴつ、はさみ、かさと」色々持ってくるが全部腕じゃない。
外に探しに出かけることにした。
枝、葉っぱ、骨など見つけるけれど、どれも腕じゃない。
どんどん探しに行ってみるけれど、やっぱり腕は見つからない。
一体ロボットの腕はどこに行ってしまったのでしょう。
『ぼくのさがしもの』の素敵なところ
- 機会の世界が細かく描き込まれた切り絵
- 思わずツッコみたくなる繰り返し
- 灯台下暗しなオチ
表紙だけでもわかるように、切り絵とは思えないほど1ページ1ページが細かく描きこまれています。
水族館では大量の魚の中から魚探しが楽しめたり、遊園地には色々なアトラクションや乗り物が描き込まれています。
これがただ細かいだけではありません。
全部機械化されたロボットの世界なのです。
さりげなくゼンマイがついていたり、魚の中に歯車が入っていたり。
よく見ると機械仕掛けで、独特の世界観が広がっているのです。
魚探しなどの遊び心も相まって、ページを見ているだけでもかなり楽しめ、その世界観に引き込まれます。
そして、次々に腕を持ってくる繰り返しも癖になります。
小さいロボットが腕を持ってくるたびに一言コメントを言うのです。
キャンディを持ってくる時は「甘くておいしいよ」
葉っぱを持ってくる時は「緑もかわいいよ」などなど。
子どもたちも段々繰り返しの流れがわかってくると、「それじゃ溶けちゃうでしょ!」などツッコミが始まります。
たまに変化球も投げてくるので飽きません。
中々見つからない腕ですが、最後のページで明かされます。
探し物をしている時によくある灯台下暗し。
「そういうことあるよね」と思わず納得してしまいます。
また、どうしてなのかなど語られないのも素敵なところ。
なんでそこにあるのかというストーリーの想像がふくらむ終わりになっているのです。
ありそうでない、機械仕掛けの世界観が癖になる絵本です。
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