作:岩田明子 出版:佼成出版社
グラスの底に残ったソーダくん。
美味しそうなものを見つけては、ストローで吸い込み量を増やします。
でも、ネコに見つかってしまい・・・。
あらすじ
グラスの底に少し残った緑色のソーダくん。
あんまり元気がありません。
当たりを見てみると、レモンが置いてあることに気が付きました。
ソーダくんは、ストローをレモンの方へ「にょろ~」っと伸ばすと・・・。
「じゅる~」とまるごと吸い込んでしまいました。
すると、ソーダくんの底に黄色いソーダがたまり、量が少し増えました。
次に見つけたのはブドウ。
ソーダくんは、ストローを「にょろ~」っと伸ばし・・・。
「じゅるじゅる~」とまるごと吸い込み始めます。
そして、今度は紫色のソーダが増えました。
これでグラスは半分くらいに。
さらに見つけたのはスイカです。
ソーダくんはストローを「にょろ~」っと伸ばして・・・。
「じゅるじゅるじゅる~」っと吸い込みます。
種はきちんと吐き出します。
こうして赤いソーダもグラスにたまり、ソーダくんはグラス一杯になりました。
けれど、それを見つけたのがネコ。
ストローへ口を近づけると・・・。
『はらぺこソーダくん』の素敵なところ
- 果物をを吸い込むたび綺麗になっていくソーダくん
- 果物の大きさに合わせて変わる効果音
- ある意味ホラーな驚きの展開
果物をを吸い込むたび綺麗になっていくソーダくん
この絵本のまず楽しいところは、ソーダくんがストローで果物を吸い込んでい行くところでしょう。
普通だったら座れる側のソーダくんですが、この絵本では反対です。
さらに、ストローで果物を吸い込むと、その果物の色のソーダが緑のソーダの下に層になってたまっていきます。
これがなんとも美しい。
最初はレモンの黄色。
次にブドウの紫の層。
そして、スイカは皮の緑の薄い層まで出来るので、本当にきれい。
まるで、美しいカクテルのような見た目になって行くのです。
これには子どもたちも、
「うわ~、黄色になった!きれ~い♪」
「虹みたいだね!」
「このソーダ、飲んでみた~い!」
と、美しく、美味しそうな見た目にうっとり。
すっかりソーダくんの虜になっていました。
果物の大きさに合わせて変わる効果音
また、この果物を吸い込む繰り返しを、よりおもしろくしているのが、吸い込む時の効果音です。
ソーダくんは「じゅる~」っと吸い込んでいくのですが、繰り返すたび、果物が大きくなって行くので、吸い込む音にも力が入ります。
レモンは「じゅる~」。
ブドウは「じゅるじゅる~」。
スイカは「じゅるじゅるじゅる~」。
さらに音だけでなく、ソーダくんの表情や身震いからも、その頑張りが伝わってきてて、力いっぱい吸い込んでいるのがわかるのです。
これには読む方にも、見る方にも、思わず力が入ってしまい、吸い込んだ後には不思議な達成感を味わえます。
この、「じゅる~」っと読んでいる時の一体感も、この絵本のとても楽しいところです。
ある意味ホラーな驚きの展開
さて、そんな美味しそうなソーダくんの前へ、最後に現れたのが一匹のネコでした。
ネコを見て「あ~飲まれちゃうよ・・・」とがっかりする子どもたち。
ですが、そこで信じられないことが起こります。
子どもたちも、「え~!?」と驚きにプチパニックを起こすほどの事態です。
これがある意味ホラーで、中々の戦慄。
ちょっと、どちらを応援していいものかわからなくなってしまいます。
読み終わった後、「飲まない方がいいかも・・・」と子どもたちがつぶやくのも納得の衝撃展開。
この、序盤の平和さと、終盤の戦慄のアンバランスさも、この絵本のとてもおもしろいところです。
二言まとめ
楽しく平和な絵本かと安心してみていたら、終盤のホラーな展開に戦慄する。
読んだら、ソーダくんの印象が180度変わってしまう、怖おもしろい絵本です。
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