ないしょのかくれんぼ(4歳~)

絵本

文:ビバリー・ドノフリオ 絵:バーバラ・マクリントック 訳:福本友美子 出版:ほるぷ出版

女の子とネズミは、両親には内緒のお友だち。

ある日、二人のママがいなくなって家中を探し回ります。

これは、『ないしょのおともだち』のその後の物語です。

あらすじ

あるところに大きな家があって、マリアという女の子が住んでいました。

マリアには同じ家に住んでいる、ネズミのネズネズという友だちがいましたが、人間とネズミは互いを嫌い合っているので、2人だけの内緒でした。

ある晩、寝る時間になったので二人ともパジャマに着替え、それぞれのママを呼びますが、返事がありません。

家中、探し回ってもいません。

それぞれパパに聞いてみましたが、知りません。

不思議なのは、パパはママのことを心配していないようなところ。

あちこち探した後、思いついたのは庭の物置でした。

マリアもネズネズも物置に走って来たので、物置の前で2人はぶつかりそうになりました。

偶然にも合流した二人が、物置の中で見たものとは・・・?

『ないしょのかくれんぼ』の素敵なところ

  • 友だちになった、その後がわかる物語
  • 前作を知っているとニヤリとしてしまう場面の数々
  • 内緒じゃなくなるお友だち

友だちになった、その後がわかる物語

この絵本のなにより素敵で待ち遠しかったところは、前作『ないしょのおともだち』のその後を見られるところでしょう。

前作はマリアとネズネズが、初めて話しかけたところで終わりました。

今作はその後の、友だちになったマリアとネズネズの姿を見せてくれます。

部屋の隅で、みんなには内緒でネズネズと本を読む姿を見ていると、日常的に一緒に遊んでいることが伝わってきて、とても嬉しい気分に。

そんなネズネズとの関係性の他にも、前作では少ししかわからなかった、新しい家の様子やマリアたちの暮らしがよくわかるのも、またおもしろいところです。

ママを探しに行く途中に、前作では話すことがなかった、赤ちゃんやお兄ちゃん・お姉ちゃん、お父さんと話す場面があったり、新しい家の中の様子が細かく描かれていたりと、もう少し知りたかったこと見たかったことが、叶えられているのです。

前作が大好きだからこそ、嬉しい要素が詰っているところ。

本作を見ることで前作がもっと好きになり、読み返したくなるところが、この絵本のとても素敵なところです。

前作を知っているとニヤリとしてしまう場面の数々

また、前作を知っているとニヤリとできる場面がたくさんあるのも、続編ならではおもしろいところでしょう。

まず、マリアとネズネズが内緒の友だちだというところ。

前作を知っていると、

「ママもネズミと友だちなのに」

「ママたちには教えてもいいのにね」

と内緒にしているマリアとネズネズに教えてあげたくなってしまいます。

さらに、2人のママが同時にいなくなっているところ。

ここには子どもたちもワクワクします。

なぜなら、新しい家に引っ越してきた後の、ママたちのことは前作で語られていないからです。

マリアとネズネズが友だちになったことは語られましたが、ママたちはお互いを知らないまま終わっていたのです。

だからこそ、

「2人で会ってるのかな?」

「家にいるって気付いたのかな?」

と、想像と期待が膨らむのです。

一緒に遊ぶくらい仲良くなっていて欲しいというのは、前作からのみんなの願いですから。

さらにもう一つあるのが、お父さんの言動です。

ママの行き先を教えてはくれないけれど、心配もしていない様子。

これは明らかにママたちがなにをしているのか知っているのでしょう。

この言葉を聞くまでは、ママがネズミと友だちだとしても、パパはネズミのことをどう思っているかわからないという不安がありました。

だって、ママはネズミをよく思っていても、パパがそうではなかったら打ち明けられるはずがないからです。

でも、この様子を見るとどうやら知っていそうです。

だとしたら、「家族ぐるみで仲良くできるかもしれない」そんな嬉しい未来が想像できてしまうのです。

こんな風に、前作を知っていて、ママたちが叶えられなかったことが、新しい家では叶いそうなワクワク感が随所に散りばめられていて、前作を好きであればあるほどニヤリとしてしまうのです。

内緒じゃなくなるお友だち

さて、そんな物語の結末は、きっと誰もが望んだ最高のものでした。

お互いに内緒だった友だちが、内緒じゃなくなる瞬間です。

前作で、交わりそうで交わらなかった二つの世代のお話が交わる瞬間の感動が、この場面にはありました。

この結末を見ると、次の日からの人間の家族と、ネズミの家族の関わりを想像しないわけにはいきません。

家の中で一緒に遊ぶこともできるのかな?

兄弟は仲良くなれるかな?

パパ同士も仲良くなるかもしれない。

そんなたくさんのワクワクした想像が膨らみますが、残念ながらこの絵本は「おやすみなさい」で終わってしまいます。

この、内緒のお友だちが、内緒ではなくなる、みんなが待ち望んだ結末も、この絵本のとても素敵なところです。

読み終わった後で、子どもたちから、

「続きのお話あるかな?」

「今度は一緒に遊ぶおはなしかも!」

と、目をキラキラさせながら期待を膨らませていたのも、この絵本のとても印象的なところでした。

二言まとめ

マリアとネズネズが友だちになったあとの姿や、ママたちのその後を知ることができるのが本当に嬉しい。

前作を好きなら好きなほど楽しめる、2冊セットで読みたい内緒が内緒じゃなくなる物語です。

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