じめんのしたはマンモスのくに(4歳~)

絵本

作:まつおかたつひで 出版:童心社

ある日、雨上がりの道を歩いていると、割れない水たまりが。

それはなんと地下世界への入り口でした。

降っていくと、そこには1万5千年前のマンモスの国があったのです。

あらすじ

カッパを着た男の子だいすけが、水たまりを踏んで歩いていると、固い水たまりがありました。

覗き込んでみると、大きな穴が空いていて、向こうからも覗き込む人がいます。

彼は水たまりのようなふたを開けて出てくると、イカルだと名乗りました。

イカルは地面の上の国を見に来たが、自分たちの地面の下の国の方がいいと言います。

そして、地面の下の国に遊びに来ないかと、だいすけに言いました。

いつでも地面の上の国に戻れるということで、だいすけは飼いネコと一緒に地面の下の国へ行くことに。

長い洞窟をやっとのことで抜けるとそこには・・・1万5千年前のアメリカ大陸が広がっていました。

絶滅したはずのマンモスも悠々と歩いています。

イカルが友だちのマンモス、アムースを呼び、2人はマンモスの背中に乗ってイカルの集落へと向かいました。

その途中、マンモスの群れや、パイソンの群れ、群れを襲おうとするサーベルタイガーなど、様々なものを目にします、

そうこうして、集落へと進んでいく2人は、途中でイカルの父さんたちと出会いました。

ちょうど、川で魚を獲っているところです。

みんな槍を使って魚を獲っています。

イカルの父さんが獲れたての魚を石のナイフでさばいてくれたのですが、だいすけは、そのナイフの切れ味にビックリ。

すると、イカルの父さんは、石の削り方や、それを使った槍の作り方を教えてくれました。

と、その時、サーベルタイガーの姿が。

イカルの友だちのオオナマケモノが襲われそうになっています。

だいすけは力いっぱいサーベルタイガーに槍を投げます。

その槍が命中し、無事サーベルタイガーを撃退することに成功したのでした。

こうして、オオナマケモノのペレも一緒に集落へとついてくることに。

またしばらくアムースの背に乗り歩いていくと、ついにイカルの集落へと到着したのでした。

1万5千年前の人々。

その暮らしぶりは、一体どんなものだったのでしょう?

『じめんのしたはマンモスのくに』の素敵なところ

  • 原始時代を旅するワクワク感
  • わかりやすくリアルに描かれる原始の世界
  • 夢じゃなかったと思える小さな仕掛け

原始時代を旅するワクワク感

この絵本のなにより素敵なところは、原始時代を旅できるところでしょう。

しかもおもしろいのは時代設定で、原始時代を題材にすると大体出てくる恐竜が出てきません。

マンモスを中心に描いているので、他の原始時代を描いたものとはかなり雰囲気が違うのです。

そこはまるでサバンナの様。

出会う生き物たちは、マンモスを始め、サーベルタイガーなど憧れの生き物たちがたくさん出てきます。

中には、今の時代にも生きているシマウマやバイソンなどもいて、色々な発見がありおもしろい。

子どもたちも、

「フラミンゴってこんなに昔からいたんだね」

「サーベルタイガーだ!」

「赤ちゃんのゾウは、今のゾウとそっくりなんだね」

と、ページを見るたび、たくさんの発見に驚いていました。

どこか今と似ている風景、全然違う古代の風景が入り混じり、歩いていくたび、ページをめくるたびに、次は何が出てくるのかとドキドキワクワク。

これは自分の住んでいる世界と違う世界を旅するからこそのワクワク感なのでしょう。

この、自分たちの知らない広大な世界を、マンモスの背に乗って見て回れるところが、この絵本のとても素敵なところです。

わかりやすくリアルに描かれる原始の世界

こうして、見て回る古代の世界は、とてもわかりやすく、かつリアルに描かれています。

動物や人物、自然や建造物などは本物そっくりで、肌の質感や動きの躍動感まで、まるで本当に生きているみたい。

群れで走るバイソンや、それを追うサーベルタイガーなどは、サバンナでライオンが狩りをしている映像のよう。

この世界の生き生きとした息遣いが感じ取れるのです。

それに合わせて、原始時代の人々の暮らしもリアルに描かれます。

魚を槍でとったり、石を削って刃物にしたり。

今とは違う生活の仕方に子どもたちもびっくり。

「釣り竿使わないんだ」

「石ってそんなに切れるの!?」

「今度公園でやってみよう!」

などなど、昔と今の違いに衝撃を受けている様でした。

また、原始的な所と併せて、現代と共通するところにも驚きがあり、

集落にはいけすで魚を飼っていたり、果物が採れる木があったり、ラクダからミルクを搾っていたりと、狩りをするだけのイメージとは大きく異なる生活を目の当たりにします。

この物語性があり、わかりやすくも、当時のリアルな世界を知ることができるところ。

原始の動物たちだけでなく、人々の暮らしや生き方を知ることができるところも、この絵本のとてもおもしろく、知的好奇心をくすぐられるところです。

夢じゃなかったと思える小さな仕掛け

さて、このとてもおもしろく、不思議な物語ですが、とても現実離れしたものでもあります。

「もしかして、夢だったのかな?」

「頭の中で考えていたのかも」

と思っても不思議ではありません。

ですが、これが本当のことだったと思わせてくれる小さくて、にくい演出が仕掛けられているのも、この絵本の素敵なところ。

その仕掛けがあるのは、絵本を閉じた後。

裏表紙を見てみると、子どもたちから「あっ!」と声が上がります。

これを見たら、現実だと信じざるを得ないでしょう。

この最後にさり気なく仕掛けられている、原始時代と現代とを繋ぐ、にくい仕掛けもこの絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

マンモスの生きた時代を、原始人とマンモスの背に乗って旅することができる。

原始時代の生き生きとした生態系や、原始人たちのリアルな暮らしぶりを体験できる絵本です。

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