ふしぎなかばんやさん(3歳~)

絵本

作:もとしたいづみ 絵:田中六大 出版:すずき出版

露店を出しているかばん屋さん。

注文とまったく違うかばんをおススメしてきます。

ですが、バッグを開くと・・・。

あらすじ

かばん屋さんが道にお店を広げました。

色々なかばんが並びます。

最初にやってきたのは、たくさんの荷物を抱えたおばさんです。

買い物をし過ぎたので荷物が全部入る、軽くて大きなカバンを注文しました。

すると、かばん屋さんが勧めてきたのは小さなピンクのハンドバッグ。

どう見ても、荷物が入りそうにありません。

ところが、ハンドバッグを開けると、中から大きな布が出てきて荷物を風呂敷のように包んでしまったではありませんか。

さらには、バッグが浮き上がり、軽々と荷物を運べます。

おばさんは大喜びでそのハンドバッグを買いました。

次にやってきたのは、たくさんの子どもたち。

遠足に行きたいから、自分たちにぴったりの小さなバッグが欲しいと言います。

そこでかばん屋さんが勧めたのが、パッチワークでできたとても大きなリュックサック。

子どもたちが「大きすぎて持てない」と文句を言うと、かばん屋さんはリュックサックの口を開けました。

すると、中からたくさんの小さなリュックサックが飛び出しました。

しかも、水筒、お弁当、おやつまで。

さらに、大きなリュックサックはほどけて、子どもたちの敷物になりました。

子どもたちは大喜びで、遠足に出かけていきました。

今度のお客さんは女の子。

お父さんとお母さんも連れています。

今日が誕生日なので、ハート型のポシェットが欲しいと、自分で描いた絵を見せて注文しました。

そこでかばん屋さんが取り出したのは大きな黒のボストンバッグ。

なんと、ボストンバッグを開けると、中から誕生日ケーキや、飾りが飛び出し、誕生会が始まったのです。

さらに、プレゼントの箱からは、女の子が描いた絵とうり二つのハートのポシェットまで。

女の子は大喜びで帰っていきました。

さて、次のお客さんは・・・?

『ふしぎなかばんやさん』の素敵なところ

  • 魔法のような不思議なかばん
  • 次のページでこっそり描かれるお客さんの帰り道
  • かばん屋さんの正体とは・・・

魔法のような不思議なかばん

この絵本のなによりおもしろいところは、不思議なかばんの数々でしょう。

見た目は普通のかばんばかりですが、開いてみると、どのかばんもまるで魔法のような力を持っています。

そのどれもが予想もつかない素敵なことばかり。

子どもたちも、

「大きいリュックが、小さいリュックになるんじゃない?」

「中からポシェットが出てくるんだよ」

など予想をしているみたいですが、その予想を超えてくる素敵さに思わず「わ~!」っと感嘆の声を上げてしまいます。

まさか、お弁当やおやつが出てきたり、ケーキが飛び出してくるなんて!?

中にはバッグの域を超えた、まさに魔法の道具のようなバッグもあり、「ドラえもんの道具みたい!」と目をキラキラさせていたのが印象的でした。

この、バリエーション豊富過ぎる、まったく予想のつかないかばんたちが、この絵本のなによりおもしろく夢中になってしまうところです。

次のページでこっそり描かれるお客さんの帰り道

こうして、かばんを気に入り買って帰るお客さん。

そして、次のページで新しいお客さんがやってくる、繰り返しの作りになっています。

この時、新しいお客さんの後ろで、かばんを買っていったお客さんの姿が見られるのも、この絵本の楽しいところになっています。

あまりに不思議なバッグなので、どんな感じで持って帰っているのかはけっこう気になるところ。

子どもたちも、

おばさんの買ったものが包まれるのを見て「重くて持てないんじゃない?」

誕生会が始まったのを見て「こんなに大きいケーキ食べきれるのかな?」

など、疑問が生まれていました。

でも、次のページを見ると、

おばさんのバッグは浮き上がって、おばさんの後をついていく姿が描かれていたり、

お父さんがケーキとボストンバッグを持って歩く姿が描かれる、

など、子どもの疑問にさり気なく答えてくれているのです。

これには子どもたちも納得。

スッキリした気分で、次のお客さんに気持ちを切り替えていました。

この、子どもたちならではの好奇心や疑問に、さり気なく丁寧に答えてくれる作りも、この絵本のとても素敵で、背景までしっかりと見たくなってしまうところです。

かばん屋さんの正体とは・・・

さて、そんなかばん屋さんも夕暮れ時には店じまいとなります。

かばん屋さんが座っているかばんの中に、吸い込まれていく売り物のかばんたち。

ただ、これまで不思議な物語を見てきた子どもたちには、もうそれほどの驚きにはなりません。

ですが、一番最後に衝撃的な場面が待っていたのです。

最後の最後に「え!?それも!?」というものが吸い込まれ、帰路につくかばん屋さん。

てっきりおじさんがかばん屋さんだと思っていましたが、この衝撃的な場面と、帰路につくかばん屋さんの姿を組み合わせて考えると・・・。

この一番最後に特大の不思議と謎を残していくところも、この絵本のとてもおもしろいところとなっています。

気分は「世にも奇妙な物語」を見た後のようになることでしょう。

きっと、読み終わった後に考察大会が始まりますよ。

二言まとめ

不思議なかばんたちの、素敵すぎる魔法のような力に、心をワクワク、目をキラキラさせられる。

でも、一番不思議なのはかばん屋さんだという、衝撃の結末が待っている驚かされっぱなしの絵本です。

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