【絵本】めざめのもりのいちだいじ(4歳~)

絵本

作:ふくざわゆみこ 出版:福音館書店

春の匂いを感じ冬眠から目覚めたヤマネくん。

ですが、森では大変なことが起こっていました。

急いでクマさんを起こしに行きますが、中々起きず・・・。

あらすじ

森の雪が溶け始めた頃、ヤマネくんが冬眠から目を覚ましました。

匂いをかぐと、春の匂いがしてきます。

嬉しくなって、森へと駆け出したヤマネくん。

すると、崖の方からブーンという音が聞こえてきました。

ヤマネくんは音のする方へ行ってみてビックリ。

ミツバチさんが家にしている木が、雪解け水でがけが崩れ、今にも崖から落ちそうになっていたのです。

ヤマネくんは、森一番の力持ちのクマさんに助けを求めることにしました。

クマさんの家に行きクマさんを呼びますが返事がありません。

ヤマネくんはポストから家の中に入ってみました。

家の中に入ると、クマさんはまだ寝ています。

ヤマネくんは春が来たことを伝えましたが、クマさんは起きる様子がありません。

仕方なく、ヤマネくんは春の印を探し、クマさんに見せ、春が来たと気付かせることにしました。

ヤマネくんは見晴らしのいい所に行き春を探してみましたが、辺りは一面雪景色。

春はまだ来ていないのかと思いかけた時、水の流れる音が聞こえてきました。

ヤマネくんが雪の割れ目をのぞいてみると、雪解け水が川になって流れています。

それは春の印でしたが、クマさんのところには持っていけません。

そのまま川を下っていくと、今度はフキノトウを見つけました。

これなら持っていけますが、摘むのがかわいそうで、やっぱり持っていけませんでした。

さらに川を下っていくと、友だちのカエルくんが岩の上に座っていました。

あいさつすると、カエルくんは「みんな揃ってどうしたの?」と奇妙なことを言ってきます。

驚いて、ヤマネくんが振り返ってみると・・・。

そこには、森の動物たちが。

ヤマネくんが忙しそうに走り回っていたので、気になってついて来ていたのです。

ヤマネくんは、みんなにミツバチの木のことを伝えました。

みんながいれば、木を引き上げられるかもしれません。

ツタのロープを木に巻き付け、力を合わせて木を引っ張ります。

ところが、木は少しも動きませんでした。

やはりクマさんの力が必要です。

そこで再び、みんなでクマさんの家に行くことに。

果たしてぐっすり眠っているクマさんを起こすことはできるのでしょうか?

『めざめのもりのいちだいじ』の素敵なところ

  • 大慌てだけど見つけるたび嬉しくなる春の印
  • クマさんらしい、起こすために必要なもの
  • 春の温かさや華やかさを思いっきり味わえる最後の場面

大慌てだけど見つけるたび嬉しくなる春の印

この絵本のとても素敵なところは、春を見つけるたび、嬉しくなってしまうところでしょう。

春の印を見つけるたびに、寒い冬が終わり温かな春が訪れる予感がし、嬉しくなってくるのです。

ただ、そんな春探しはのんびりできるわけではありません。

ミツバチの木を救うため、クマさんを起こすのに春の印を持って帰らなければならないのです。

ということはわかっているのですが、やっぱり春が見つかるたび嬉しくなってしまうもの。

雪解け水で出来た川。

雪の下から顔をのぞかせるフキノトウ。

冬眠から目覚めたカエルくん。

そんな春の印を見つけたら、心が躍ってしまいます。

特に2~3月に読んだら、なおさら春を待ち遠しくなることでしょう。

きっと、身近な春の印も探したくなってしまいます。

この大慌てで森を走りながらも、ひとつひとつの春の印を丁寧に見つけ、見つけるたびに喜びを感じられるゆとりがある。

それが、この絵本のとても素敵なところです。

クマさんらしい、起こすために必要なもの

こうして森を走り回りますが持って帰れる春の印は見つかりません。

仲間は集まるのですが、力を合わせてもミツバチの木を助けることはできません。

やっぱりクマさんの力が必要だと気付かされます。

みんなでクマさんの家に行き、声をかけますがやっぱり起きないクマさん。

春の印もないし、完全に八方ふさがりとなってしまいます。

ところが、あることがきっかけでクマさんは目を覚まします。

このきっかけというのが、本当にクマさんらしいおっとりとしたもの。

しかも、聞き間違いから勘違いして目覚めるのです。

動物たちの緊迫感と、対照的なクマさんののんびり感。

これもまたクマさんらくて、なんとも憎めない。

そんなクマさんを見ていると、見ているこちらも脱力してしまいます。

このなんともクマさんらしい、起きるためのきっかけと展開も、この絵本のとてもほっこりするところです。

春の温かさや華やかさを思いっきり味わえる最後の場面

ただ、事情を知ったクマさんは、おっとりとは正反対。

森一番の力持ちっぷりを遺憾なく発揮します。

その姿は本当に頼もしく、一瞬で問題を解決してしまうのです。

クマさんのおっとり感に脱力していた子どもたちも、あっという間にクマさんを見直します。

でも、ミツバチの木が落ちないようにしただけでは終わりません。

ミツバチの木を、安全な場所へ引っ越しすることになるのです。

この最後の場面もまた、この絵本のとても素敵なところ。

引っ越した場所というのが、冬にはなにもないのですが、春になると・・・。

最後の場面を見て、この絵本を読んだのが春ならば、この場面を見て春が来た嬉しさを思いきり感じることでしょう。

読んだのが冬ならば、春がさらに待ち遠しくなるでしょう。

それくらい、真っ白な冬から華やかな春への移り変わりが、思いきり感じられる光景が見開きいっぱい広がるのです。

このめいっぱい春を感じられる、最後の場面の美しさと華やかさも、この絵本のとても素敵でうっとりしてしまうところです。

二言まとめ

一大事のドキドキした緊迫感と、森に来た春の印を見つけるワクワクとした嬉しさを、同時に味わうことができる。

見れば、春の訪れが待ち遠しくなる、春の印を探しに行きたくなる絵本です。

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