文:山田慶太 絵:田口麻由 出版:ポプラ社
言葉に点々をつけると意味が変わってしまう言葉。
そんな言葉をてんてん兄弟と探します。
全ての言葉が濁音になっている、癖になる言葉遊び絵本です。
あらすじ
あるところにてんてん兄弟がいました。
てんてん兄弟は、言葉に点々をつけるのが大好きです。
今日も、
「おどうど~」
「にいぢゃ~ん」
「ぎょうもづげるがでんでん」
「づげるづげる!でんでんづげる!」
と、点々をつけようと張り切っていました。
最初に選んだのは「か(蚊)」。
これに点々をつけると・・・
「が(蛾)」になりました。
次は「はね(羽)」です。
点々をつけると・・・
「バネ」になりました。
点々をつけるのを楽しんでいる2人でしたが、ここで弟も点々をつけてみたいと言ってきました。
心配する兄をよそに、やる気満々の弟。
ひとまずやってみることになりましたが、弟が選んできた言葉は・・・「ラーメン」。
これに点々はつけられるのでしょうか・・・?
『てんてんきょうだい』の素敵なところ
- 全て濁音になっているセリフのおもしろさ
- 濁音にすると意味が変わる言葉遊び
- 濁音にならない言葉を濁音にしてみる遊び
全て濁音になっているセリフのおもしろさ
この絵本の特徴的なところは、ほとんどの文章が濁音で作られていることでしょう。
たまにあるナレーションだけは、普通の文章なのですが、てんてん兄弟のセリフは、濁音にできる文字を全て濁音になっています。
特に印象部会のは、「にいじゃん」と「おどうど」。
なんて言っているかはわかるけどなんか変という、むず痒いようなおもしろさをこの濁音からは感じます。
子どもたちも思わず、
「にいじゃんだって、変なの!」
「おどうど~」
と、一緒に言いながらニヤニヤ笑ってしまっていました。
いつも使っている言葉が、全部濁音になってしまう不思議なおもしろさ。
それが、この絵本の大きな魅力の一つです。
濁音にすると意味が変わる言葉遊び
そんな濁音を使って、てんてん兄弟は言葉遊びをしていきます。
ある言葉に、点々を足して、違う言葉に変える遊びです。
これが言葉遊びをよくしている子にも新鮮でおもしろい。
ダジャレや回文、反対語などは流行りやすいのですが、濁音をつけるというのはみんな意外とやっていません。
そこに新たな世界を見せてくれます。
「蚊」が「蛾」になったり、「羽」が「バネ」になったり、すごく簡単なのにおもしろい。
しかも、考えてみると身近にもたくさんあることに気付きます。
こうして、新たな濁音という言葉遊びに気付かせてくれるのも、この絵本のおもしろいところです。
変化する言葉だけじゃなく、自分の名前に濁音をつけてみたりと、色々な濁音遊びに広がりますよ。
濁音にならない言葉を濁音にしてみる遊び
また、濁音をつける遊びの中で、濁音がつかない言葉があることに気付かせてくれるのも、この絵本のおもしろいところなんです。
絵本の中では「ラーメン」が題材になっているのですが、ちゃんと濁音がついた「ラーメン」という文字が出てきます。
この違和感が凄い。
年中・年長組だと、大人ほどは「点々がつかない文字」という認識は薄いのですが、それでも感じる違和感。
これは、たぶん日常生活の中には存在しないという、感覚的なものなのでしょう。
この感覚的な変な感じがなんともおもしろいのです。
さらにおもしろいのが、頑張れば意外と発音できてしまうということ。
そして、濁音をつけたラーメンの発音が、とても奇妙でおもしろい。
子どもたちも大爆笑でした。
この濁音がつかない言葉に濁音をつけてみるという遊びは、普通の言葉に濁音をつける遊び以上に、やっている子は少ないでしょう。
この濁音遊びの新たな扉を開いてくれるのも、この絵本のとてもおもしろくて素敵なところです。
二言まとめ
濁音をつけると意味が変わる言葉、濁音をつけられない言葉など、色々な言葉に点々をつける濁音遊びがおもしろ過ぎる。
見れば、身近なものにとりあえず、濁音をつけてみたくなる言葉遊び絵本です。
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