作:元永定正 出版:福音館書店
音を絵にするとどんな感じ?
振動音、破裂音、細かい音、大きい音・・・。
色んな音を目で見ることができる絵本です。
あらすじ
細長いジグザグの棒が散らばって、がちゃがちゃ。
大きな楕円が地面に触れて、どんどん。
稲妻みたいな黄色い線が上下に走り、かーんかーん。
細長ーい三角の先端が折れて、ちんちん。
丸が揺れて、りんりん。
細長い茶色いものが落ちてきて、どさん。
丸が軌跡を描きながら弾んで、ぽんぽん。
大きなピンクの塊が揺らぎ、ぐにゃぐにゃ。
棒が折れて、ぽきん。
まだまだ出てくる色んな音。
次はどんな音でしょう?
『がちゃんがちゃどんどん』の素敵なところ
- 音がそのまま形になったような動きのある絵
- 多種多様な楽しい音
- 子どもの心を掴んで離さない最後の音
音がそのまま形になったような動きのある絵
この絵本のなによりおもしろいところは、音がそのまま絵になって、目で見えるようになっているところでしょう。
ブロックを手でかき混ぜて「がちゃがちゃ」と音がなったり、
足を踏み鳴らして「どんどん」と音を立てたり、
鈴を揺らすと「りんりん」と鳴ったり・・・。
そんな日常の音を、丸や三角、棒などのカラフルな形の絵が再現します。
これがものすごく直感的で、イメージ通り。
さらに効果線や軌跡を使い、動きもあることで、より音に臨場感が加わります。
これにより、見ていて、絵と音が一体化しているように思えるのです。
この一体感が、子どもを引き付けるのでしょう。
読む声に合わせて、軌跡を指でなぞったり。
自分で出せる音は、足を鳴らしたり、手を叩いて表現します。
そう、この絵本は音のおもしろさを伝えてくれると同時に、自分も体を動かして、音の世界に飛び込みたくなるのです。
多種多様な楽しい音
また、このおもしろさを支えているのが、たくさんの音。
この絵本には、本当に多種多様な音が登場します。
落下音、楽器から出るような音、反射音、弾む音・・・のような実際に聞く音。
「ぐにゃぐにゃ」「ぶわぁ」などの、状態を表した音。
「とん ちん かん」などの、なんだか聞いていて楽しい音。
などなど、音の種類だけじゃなく、属性から多様なのです。
ページをめくるたび目の前に現れる、目に見える新しい音。
子どもたちが釘付けにならないはずがありません。
「太鼓みたい!」
「雷が上に行ったりしたに行ったりしてるんじゃない!?」
「川の音かな?」
など、その音から連想できるものを想像して楽しんでいる子もたくさん。
想像力をとても刺激されている様でした。
子どもの心を掴んで離さない最後の音
さて、そんな絵本の最後に選ばれた音。
これが子どもたちの大好物な音なのも、この絵本のとても素敵で楽しいところです。
子どもたちも、この音を聞いて大爆笑。
「だれだれ~?」
と、楽しい犯人捜しが始まります。
具体的になんの音かは言及されていないのに、音と絵の組み合わせが「あれ」にしか見えないのです。
色んな音を楽しんだ後の、オチがまさかこの音だとは。
なんとも、子どもの楽しいポイントをおさえた絵本だと思います。
この、興味津々で音の世界に浸った後に、お馴染みかつ大爆笑の音で、現実世界に連れ戻されるのも、この絵本のとてもおもしろいく、子どもに大人気なところです。
二言まとめ
目で見えるようになった多種多様な音たちが、子どもたちを惹きつけて離さない。
音と動きのある絵の一体感に、思わず自分も体を動かし音を出したくなる絵本です。
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