作:高畠那生 出版:講談社
日中は立って歩いて生活し、夜は疲れて横になる。
こんな当たり前のことですが、もしそうではない世界が存在したら・・・。
例えば、一日中ゴロゴロしながら暮らしている世界があったなら・・・。
そんなお話です。
あらすじ
みんな一日中ゴロゴロして生活している島、ゴロゴロ島。
ゴロゴロ島に朝がやってきました。
ゴロゴロ町の布団屋さんゴロン・ゴロゴロスキーさんの家でも、忙しい朝の支度が始まりました。
みんな急いでゴロゴロしています。
子どもたちは学校へ、お父さんとお母さんは車に乗って布団工場へ、ゴロゴロしながら向かいます。
駅ではみんなゴロゴロしながら電車に乗り込みます。
学校では先生も生徒もゴロゴロしながらゴロゴロ島の歴史について勉強しています。
その昔、昼も夜寝る時もゴロゴロしていた人々はまったく疲れが取れないと困っていました。
そんな中、ゴロンさんのお爺さんユックリーノさんが大発明をしたのです。
それがユックリーノ布団。
「疲れが取れて元気になる」と大人気になりました。
そして、人が集まってゴロゴロ村がゴロゴロ町になったのだそうです。
学校も終わり夜になると、ゴロンさん一家は人気スポーツプロゴロゴロの観戦にやってきました。
スタジアムでは熱い試合が展開されました。
帰り道は大渋滞。
みんな帰り着いたころにはクタクタです。
みんなユックリーノ布団に入って眠ります。
ずっとゴロゴロしている人たちの疲れが取れるユックリーノ布団。
一体どうやって使うのでしょうか。
『たとえば、せかいがゴロゴロだったら』の素敵なところ
- 独特過ぎる世界観とそれを再現し尽くしている絵
- オチのために張り巡らされた伏線
- 「なんでやねん!」と思わずツッコんでしまうオチ
何を置いても、全員ゴロゴロしている独特の世界観がたまりません。
読み始めたばかりの頃は「急いでゴロゴロとは・・・?」と色々戸惑いますが、段々と馴染んできます。
子どもたちもゴロゴロしていること自体は受け入れ始めるのか、ゴロゴロしているだけではツッコまなくなってきます。
それは完成され過ぎた設定と、それを表現し尽くしている絵のためでしょう。
人々の表情や仕草など、ゴロゴロしているのが当たり前というのが伝わってきます。
そして、そんな暮らしに寄り添った町の風景や道具の数々。
テレビや車、駅のホームなど不自由なくゴロゴロ出来るようになっています。
そんな中、主人公のゴロンさんが布団屋さんだったり、町の歴史としてユックリーノ布団が紹介されたりと、物語の色々なところに伏線が張り巡らされています。
それも全てユックリーノ布団で寝ると言うオチにつなげるため。
布団の絵を先に見せておくなどのミスリードまで使い繋げたオチには思わず「えー!」「なんでやねん!」とツッコミを入れることでしょう。
実際見た子は絵にかいたようなツッコミをしていました。
そんなオチのために全力で世界観を作ったようなゆる~い絵本です。
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