作:三浦太郎 出版:童心社
目覚ましの音で目覚める野菜の家族。
「おはよう」の挨拶とともに、お目めパッチリ!
楽しく、気持ちよく「おはよう」がたくさん言える絵本です。
あらすじ
ジャガイモの赤ちゃんが寝ています。
鳥が鳴いたら・・・
目を覚まして「おはよう」。
ニンジンの母さんが寝ています。
時計がなったら・・・
目を覚まして「おはよう」。
大根の父さんが寝ています。
時計がなったら・・・
目を覚まして「おはよう」。
サツマイモのじいさんが寝ています。
時計がなったら・・・
目を覚まして「おはよう」。
枝豆の兄妹が寝ています。
あれ?時計も一緒に寝ています。
これじゃあ、起きられません・・・。
どうしよう?
『あさだおはよう』の素敵なところ
- 「おはよう」を元気いっぱいに言う気持ちよさ
- 寝る→起きるのシンプルな繰り返しが楽しい
- とても身近な最後の目覚まし
「おはよう」を元気いっぱいに言う気持ちよさ
この絵本のなにより楽しいところは、「おはよう」を思いっきり言えるところでしょう。
寝ている野菜たちは、とても気持ちよさそうに寝ています。
でも、音がなってページをめくると、気持ちいいくらい目がぱっちり開いて、すっきりとした表情。
そこからの「あさだ、おはよう」の決まり文句は、まさに爽やかな朝そのものです。
この表情を見ていたら、子どもたちも自然と「おはよう!」と元気いっぱい挨拶してしまいます。
これが絵のスッキリ感と相まって、とても楽しく心地いい。
繰り返しの中で、色々な野菜たちに何度も「おはよう!」と言いつつ、それが読み手や子ども同士の気持ちのいいコミュニケーションになるのが、この絵本のとても素敵なところです。
寝る→起きるのシンプルな繰り返しが楽しい
また、「おはよう」を言うだけでなく、寝る→起きるという繰り返しも、この絵本の楽しいシチュエーションです。
絵本を始めると、さっそく思いっきり寝ているジャガイモの赤ちゃん。
子どもたちは「ねんねしてる・・・」と、不思議そうな顔をします。
でも、ページをめくると「おはよう」っと目が覚めて「起きた!」と嬉しそう。
けれど、またページをめくると寝ているニンジン。
「また、ねんねしてる」と言いつつ、今度は起きることがわかっているのか、ワクワクした表情です。
さらに繰り返すたび
「朝だよー!」
「起きるかな?」
「起きて―!」
など、色々な言葉やアプローチが出てきます。
これがとてもおもしろい。
きっと、寝る→起きるというシンプル過ぎる繰り返しだからこそ、子どもたちも見通しを持ちつつ、絵本の世界に関わることができるのでしょう。
寝ていたら起こしたくなるという、子どもの気持ちを思いっきりくすぐってくれる、寝る→起きるという繰り返しも、この絵本のとても楽しいところです。
とても身近な最後の目覚まし
さて、目覚ましの音とともにきちんと起きてくる野菜たち。
ですが、最後に出てくる枝豆の兄妹だけは様子が違います。
目覚まし時計も一緒に寝てしまっているのです。
これには子どもたちも大慌て。
「起きれるかな・・・」と心配そう。
ですが、大丈夫!
子どもたちにとって、目覚まし時計よりも、はるかに身近な目覚ましがやってきます。
これがなんとも家庭的で、ほっとするのも、この絵本の素敵なところ。
その後、作者紹介のページでさり気なく描かれる、おはようの後の一コマもこの安心感をより感じさせてくれることでしょう。
この最後の場面でのこれまでとは違う目覚ましの、一日が始まるワクワク感をより感じさせてくれるところも、より気持ちよく、元気いっぱい「おはよう」と言いたくさせてくれる、とても素敵なところです。
二言まとめ
お目めパッチリで気持ちよく起きる野菜たちに、元気いっぱい「おはよう!」と言いたくなる。
野菜たちと、子どもたちと、大人の「おはよう」コミュニケーションが、とても楽しい絵本です。
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