文:たかどのほうこ 絵:夏目ちさ 出版:福音館書店
クマさんが誰かの家にやってきた。
「誰かいますか?」と呼びかけると・・・?
呼びかけるたび、「はーい」と答えてくれるのが、とても嬉しい絵本です。
あらすじ
クマさんが、大きな家にやってきました。
外から「だれかいますかぁー」と呼びかけると・・・
「はーい」と窓が開いて、中からタヌキが顔を出しました。
さらにクマさんが「もっとだれかいますかぁー」と呼びかけると・・・
「はーい」とドアが開いて、カバが顔を出しました。
またクマさんが「もっとだれかいますかぁー」と呼びかけると・・・
「はーい」と窓が開いて、カエルが顔を出しました。
さらにさらにクマさんは呼びかけます。
残る窓はあと三つ。
そこにも誰か住んでいるのでしょうか?
『だれかいますか』の素敵なところ
- 答えてもらえる楽しさと嬉しさ
- 次々と出てくる色々な生き物たち
- すぐには開かない期待膨らむ最後の窓
答えてもらえる楽しさと嬉しさ
この絵本のなにより楽しいところは、「だれかいますかぁー」と聞けば、必ず答えてくれるところでしょう。
クマさんが聞くと、「はーい、いますよ。こんにちは」と生き物たちが答えて顔を出してくれます。
これがとても心地いい。
子どもたちも「いた!」と手を叩いたり、指をさしたりして大喜び。
呼びかけるたびに、誰かが必ず答えてくれるので、安心して呼びかけることができます。
この応答の楽しさと嬉しさを、思う存分楽しめるのが、この絵本のとても素敵なところです。
次々と出てくる色々な生き物たち
また、毎回出てくる生き物が違うのも、子ども達をワクワクさせてくれるポイントです。
「だれかいますかぁー」と聞くたびに、違う生き物が出てくると、自然とページめくりがワクワクします。
「次はだれが出てくるんだろう」と心の声が聞こえてきそうなほど、ワクワクした視線を送る子どもたち。
そして生き物が「はーい、いますよ。こんにちは」と出てくると、
「あ!」と指さしたり、
こちらを見て目で訴えたり、
「タヌキさん!」と言葉で伝えたり、
年齢によって様々な反応を見せてくれます。
でも、そのどれもに共通するのは、驚きや嬉しさを誰かに伝えようとしていること。
それだけワクワクしながら見ているということでしょう。
ページをめくるたび、新たな生き物に出会える発見や驚きの楽しさも、この絵本のとても楽しくて素敵なところです。
すぐには開かない期待膨らむ最後の窓
さて、そんな繰り返しが楽しい絵本ですが、最後の窓だけはこれまで通りに開きません。
「はーい、いますよ。ちょっと待ってください」
と、答えてくれつつ、窓は閉まったままなのです。
これには子どもたちも「あれ?」と首を傾げ、「開かないねー?」と心配そうな表情。
でも、この1ページの溜めが、子どものワクワク感に火をつけます。
さらに、窓が開く場面でも、3つの窓が一斉に開く演出で、その膨らんだ期待にしっかりと応えてくれるのも嬉しいところ。
最後に最大限の驚きと嬉しさを感じさせてくれるのです。
この最後のよりワクワクさせてくれる変化球も、この絵本のとても楽しいところです。
実は、もう一人隠れているのですけどね・・・。
二言まとめ
「だれかいますかぁー」の呼びかけに、色々な生き物が答えてくれるやりとりがとても楽しい。
絵本を通して、読んでいる人とも自然にやり取りが生まれる、応答の楽しさが詰った絵本です。
コメント