作:恒川光太郎 絵:大畑いくの 編:東雅夫 出版:岩崎書店
幽霊たちの住む町。
もし近くに現れたら行ってみたいですか?
大人でも子どもでも「ちょっとだけ」と好奇心が勝ってしまうかもしれません。
でも、実際に行ってみたら・・・。
あらすじ
真夜中に友だちが窓をノックした。
今晩、森の向こうに幽霊の町が現れるから行こうと言う。
家を抜け出し幽霊の町に着いたが、何もいない。
そして、広場を覗き込んだら幽霊たちがいた。
二人は見つかり、幽霊たちに追いかけられた。
友だちはぐんぐん先へ行ってしまう。
ぼくは捕まった。
幽霊の町で暮らすことになった。
日が経つにつれ、少しずつ忘れていった。
人間の町に戻れる日は来るのだろうか。
『ゆうれいのまち』の素敵なところ
- 不気味な絵
- 幽霊の町を見に行くドキドキ感、見つかった時の絶望感が臨場感たっぷりに味わえる。
- よく考えると怖い友だちの存在
暗めの色使いと、歪んで見える絵。
この絵本は全編通して不気味な雰囲気が漂っています。
出てくる幽霊も、「怖い」のではなく「不気味」。
特に、お母さんを名乗る幽霊は心から「嫌だな」と思うことでしょう。
そんな不気味な雰囲気の中、友だちと夜中に家を抜け出して探検に行くと言うのはワクワクするシチュエーションです。
幽霊が待っているとわかっていても、怖いというよりワクワクします。
たくさん歩き、やっと着いた幽霊の町。
そこでも、中々幽霊と出会わずドキドキ感が高まります。
そして、ついに幽霊を見つけるのですが見つかり追いかけられることに。
ワクワクドキドキが一気に絶望へと変わります。
友だちは先に行ってしまい、一人残される絶望感はすごいです。
これらが臨場感たっぷりに描かれ、自分が主人公になって捕まってしまったように思えます。
そのきっかけを作った友だちですが、最後の場面にも出てきます。
最初は薄情なただの友だちかと思いきや、最後の場面をみると「もしかして・・・」と色々な説が浮かんできます。
最初から最後まで不気味で怖い怪談えほんです。
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