作:みやにしたつや 出版:アリス館
「はーい!」という大きな返事は元気の印。
そんな返事を、色々な生き物たちがしてくれます。
中には手じゃない所をあげる生き物も・・・。
あらすじ
ネコに「ネコさんですか?」と聞きました。
すると・・・
「はーい!」と手を挙げ、元気な返事。
イヌに「イヌさんですか?」と聞きました。
すると・・・
「はーい!」と耳を挙げて、元気な返事。
カニに「カニさんですか?」と聞きました。
すると・・・
ハサミを大きく挙げて、元気な返事。
ゾウに「ゾウさんですか?」と聞きました。
すると・・・
「はーい!」と鼻を挙げて、元気な返事。
カタツムリにオバケなど、まだまだ呼んで欲しい生き物がいるみたいですよ。
『はーい!』の素敵なところ
- 個性的な「はーい!」が楽しい
- 縦開きで迫力のある「はーい!」
- 小さい子も一緒に言いたくなる言葉が盛りだくさん
個性的な「はーい!」が楽しい
この絵本のなにより楽しいところは、生き物それぞれに個性的な手(?)の挙げ方でしょう。
一般的な手を挙げる「はーい!」を筆頭に、大きな耳のイヌならば耳、長い鼻のゾウなら鼻、大きなハサミのカニならハサミなど、それぞれの特徴的なところを挙げて返事をします。
これが予想や驚きを生んでおもしろいのです。
流れ的に手を挙げると思っていたイヌが耳を挙げると、
「手じゃないの!?」
「おみみー!」
と、驚いたり、耳を触ったりとビックリする子どもたち。
俄然、絵本への集中力が上がります。
それからは、なにを挙げるのか注意深く観察。
ゾウなら「鼻を挙げそうだな~」と予想する子も。
しかし、その予想をはるかに超えてくる、カタツムリやオバケという変わり種もいることで、最後まで驚きと笑いが途絶えません。
この、生き物の特徴に合わせた、予想外で個性的な返事の仕方のおもしろさと驚きが、この絵本のとても素敵なところです。
縦開きで迫力のある「はーい!」
そんな返事をよりおもしろく、注目しやすくするために、この絵本にはある仕掛けがしてあります。
それがページの縦開きです。
生き物に呼びかける時には、ページの下半分に生き物が描かれます。
そして、ページをめくると、上のページへ大きく手(など)が伸びるようになっているのです。
これは実際に見ると、とても大きく手(など)を挙げているように感じられ、絵本の長さが3倍くらいになったように思えるから不思議。
大きく手を挙げて返事をする、元気いっぱいな様子がとてもダイナミックに表現されています。
これは見て楽しいだけじゃなく、子どもの行動を引き出す力も持っています。
絵本の中の力強い「はーい!」につられ、自分も自然と手を挙げてしまうのです。
この、目の前で本当に手(など)をを挙げているようにみえるダイナミックな絵本の作りと、それによる一緒に手を挙げたくなってしまう引力もまた、この絵本のとても素敵なところです。
小さい子も一緒に言いたくなる言葉が盛りだくさん
さらに、「はーい!」以外にも、この絵本には一緒に言いたくなる言葉が散りばめられていたりします。
それも、この絵本のとても楽しいところ。
ネコに呼びかける時は「にゃんにゃん、ねこさんですか?」
カニに呼びかける時は「ちょきちょき、かにさんですか?」
のように、その生き物に特徴的な言葉が添えられているのです。
これにより、「にゃんにゃん」「わんわん」など、一緒に言いたくなったり、言葉を知るきっかけにもなることでしょう。
きっと、純粋に、聞いていて、言っていて心地いいリズム感だから、自然と自分も口を動かしてしまうのだと思います。
この、生き物の特徴をあらわした、小さい子にも言いやすい、言うと楽しい言葉が散りばめられているのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
生き物によって全然違う手(?)の挙げ方がおもしろい。
元気いっぱいの「はーい!」という返事に、自分も思わず「はーい!」と手を挙げてしまう絵本です。
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