作:長沼毅 絵:吉田尚令 出版:金の星社
「宇宙人っているのかな?」「いるならどんな姿をしているのかな?」
そんなことを考えたことが一度はあるのではないでしょうか。
そんな疑問に少し科学的な具体性を与えてくれる。
一歩進んだ絵本です。
あらすじ
宇宙には200垓もの星がある。
地球があるのは天の川銀河で、その中の半分は地球と似た惑星らしい。
ということはこの宇宙のどこかには宇宙人がいるかもしれない。
地球には200万種類の生き物がいる。
その中には砂漠や極寒、深海などの厳しい条件下で生息しているものもいる。
深海には海底火山があり、その近くではチューブワームという動物が生息している。
この海底火山は他の星にもある。
地球は天の川銀河の中の太陽系に属している。
太陽系は太陽を中心に8つの惑星が回っている。
その惑星のまわりを回っている星を衛星という。
木星の衛星エウロパと土星の衛星エンケラドスには海底火山がある。
エウロパは氷に覆われた寒い星。
氷の下には海が広がっていて、生物に必要な水がたくさんある。
しかも、氷の中には酸素が含まれていると言われている。
エンケラドスもエウロパと一緒で氷に覆われた惑星だが、約500㎞とエウロパよりかなり小さい。
太陽系の外には色々な環境の星がある。
かなり暑い海だけの惑星グリーゼ581gには陸地がないから空を飛び続ける生き物がいるかもしれない。
油の海が広がる惑星では油を栄養に変える生き物がいるかもしれない。
そんな中には頭脳が発達した宇宙人もいるかもしれない。
そして、宇宙人もその星の環境に合わせて色々な姿をしているだろう。
声や音ではなく電波で会話をしているかもしれない。
地球ではまだ宇宙人を見つけられていないけれど、宇宙人はもしかしたら地球人を見つけているかもしれません。
『宇宙人っているの?』の素敵なところ
- 地球と宇宙の不思議の両方を知ることができる
- 地球や宇宙、生物がとてもリアルな絵で描かれる
- その環境に合わせた生物の姿を想像出来る作りになっている
宇宙を考えることで、地球で当たり前だと思っている環境はとても奇跡的なことなんだと考えるきっかけをくれます。
そして、地球と一言で言っても、様々な環境があることも教えてくれます。
そこに生きる生き物はそこに適応した合理的な姿であることも。
それをもとに宇宙に目を向けると、地球を見ているだけでは想像できないような環境の星々があります。
でも、地球上の過酷な環境にいる生物を参考にすると、そこに適応した生き物の姿も想像出来てきます。
この絵本では実際にいる生き物だけでなく、想像した宇宙の生物がとてもリアルに描かれていて、その想像の根拠も科学的なのが魅力です。
本当に実在するようなリアルさが子どもたちの目を惹きつけます。
そして、自分だったらこう考えるという思考力にも繋がります。
宇宙やそこに生きる生物へ想像やロマンが広がる科学絵本です。
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