作:関根知未 出版:アリス館
車好きならみんな持っているミニカー。
そんなミニカーたちが家の中を探検します。
見慣れた家が、まるで秘境に見えてくることでしょう。
あらすじ
パトカーやゴミ収集車、スポーツカーにトラックまで。
たくさんのミニカーが探検に出発します。
探検するのは家の中。
最初に出会ったのはイヌでした。
イヌの足の下にあるワンワントンネルをくぐります。
ドアを抜けて隣の部屋へ。
イスの足坂道を登っていき、テーブルの上へ到着です。
テーブルの上にあったのはブドウとリンゴ。
クレーン車はブドウを釣り上げダンプカーへ、
ショベルカーがリンゴを掘って、車の荷台に積み込みます。
ブドウとリンゴを積み込んで、ミニカー探検隊が走って行くと、壁の穴を発見。
パトカーが中をライトで照らしてみると、中かネズミが出てきます。
ミニカーたちは、ネズミにブドウとリンゴを渡すとまた出発。
子ども部屋へと進みます。
ベッドの山へ登ると、フカフカ過ぎてなかなか前に進みません。
なんとかベッドを抜け、今度はピアノの上を走ります。
走るたびにピアノからは楽しい音が。
探検隊は音楽隊に早変わりです。
ピアノの先は勉強机。
絵の具が入ったパレットと、ちょうどいい紙が置いてありました。
ミニカーたちはさっそく、絵の具を使ってお絵描き遊び。
ミニカーならではの、素敵な絵ができました。
でも、ミニカーたちは絵の具だらけになってしまい、ネズミの元へ。
ネズミとミニカーたちが向かった先は・・・?
『ミニカーたんけんたい』の素敵なところ
- 大好きなミニカーが勝手に動き大冒険
- 自分でも再現できる慣れ親しんだ場所での探検
- 車の特徴を活かした活躍や動きがたまらない
大好きなミニカーが勝手に動き大冒険
この絵本のなによりワクワクするところは、ミニカーたちが勝手に動き出し探検するというところでしょう。
自分も持っている大好きなミニカーが、自分で動かさなくても勝手に動き遊びだす。
こんなに夢のあるシチュエーションがあるでしょうか?
しかも、それが一台だけではなく、多種多様なミニカーたちが行列を作って走って行くのですからたまりません。
そんなミニカーたちを見て、
「これ持ってる!」
「パトカー!」
「これかっこいいなー!」
などなど、子ども達も色々な目線で大盛り上がり。
特に車種に関しては、盛り上がり過ぎて中々ページをめくれないほど。
メジャーどころから、マニアックなものまで揃っているので、ライトユーザーからヘビーユーザーまで盛り上がれるのも素敵なところです。
また、表紙をめくったところに、箱に入ったミニカーがずらっと並んでいるのも、地味にワクワクするポイント。
物語が始まる前に、箱に入ったミニカーを見ることで、買って来たばかりのミニカーを開けるワクワク感と、ミニカーの物語が始まるワクワク感がリンクして、とりあえずテンションがあがるのです。
そして、箱のパッケージに描かれていたミニカーが、物語の中で箱から飛び出し走り始めるのですから盛り上がらない訳がないのです。
この、ミニカーを持っている子なら、誰もが夢見るシチュエーションを、あますところなく楽しめるのがこの絵本のとても素敵なところです。
自分でも再現できる慣れ親しんだ場所での探検
ミニカーが勝手に走り出すだけでも、楽しいこの絵本ですが、さらに楽しいのは探検する場所が家の中だということでしょう。
慣れ親しんだ家の景色も、ミニカーを通して見ると、全然違う景色に見えてくるから不思議です。
家具やイヌなど色々なものが大きく見えてくるし、イスの足など様々なものが道路や橋に見えてきます。
ネズミの穴も、ミニカーの視点だからこそ見つけられたものでしょう。
こんな風に、絵本の中でミニカーの視点を体験すると、自分のミニカーでも探検したくなるのも当然です。
この時に、舞台が見慣れた家の中だということが、とても大きな意味を持ってきます。
なぜなら、自分でもすぐに再現できるから。
イスの足を登らせたり、布団の上を走ったりと、ミニカーさえ持ってくれば、前準備やお出かけなど必要なし。
すぐに絵本と同じ探検が味わえるのです。
ピアノがあれば、絵本の中の音が実際に聞こえるという、おもしろい体験になるでしょう。
同時に、絵本の中に出てこなかった、自分の家の中にあるものへも興味が湧くことでしょう。
切り立った崖のようなタンスの上を探検するかもしれないし、ブドウよりもいいものを見つけるかもしれません。
この、絵本の中の探検を、自分でも気軽に再現でき、再現している中で、家の中での新しい発見にも繋がるという、絵本から遊びへの広がりも、この絵本のとても素敵なところです。
車の特徴を活かした活躍や動きがたまらない
さて、こうして色々な場所を探検するミニカーたち。
その探検の中で、車種ごとの特徴が場面場面に活かされているのも、たまらなくおもしろいところとなっています。
ブドウを釣り上げるクレーン車や、リンゴを掘るショベルカー。
絵の具で絵を描く時には、ダンプカーが絵の具を紙の反対側へ運んだり、
フォークリフトが絵の具のチューブを持ち上げたり、
それぞれの車の特徴を活かした動きをしているのです。
これには子どもたちも、
「ショベルカーでリンゴ掘ってる!固そうだよ・・・」
「クレーンでお絵描きしてる!」
「ダンプカーがブドウ運んでる!力持ちだもんね!」
などなど、その動きと働きに深々と納得。
その活躍っぷりにとても満足そうでした。
このミニカーとは思えない、本物の車顔負けの動きっぷりと、活躍っぷりも、この絵本のたまらなく楽しいところです。
二言まとめ
大好きなミニカーたちが勝手に動き、家の中を探検するという夢のようなシチュエーションに心が躍る。
見たら、自分のミニカーで家の中を探検して回りたくなる、乗り物絵本です。
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