作:きむらゆういち 絵:エムナマエ 出版:新日本出版社
イヌのわんくんが、船に乗って出発します。
船、車、汽車と乗り継いでいくわんくんの旅。
一体どこに行くのでしょう?
あらすじ
イヌのわんくんが、船に乗って出発します。
一体どこへ行くのでしょう?
船で海を進んでいくと、空から雨が降ってきました。
船もだんだん揺れてきます。
さらに大波も来てわんくんびっくり。
なんとか港に辿りつき、わんくんは船を降りました。
今度は車に乗って出発です。
走って行くと、ガタガタ道にクネクネ道。
車が大きく揺れる中、なんとか駅に着きました。
車から降りたわんくんは、汽車に乗って出発します。
鉄橋を渡ると、大きく揺れる汽車。
鉄橋を渡りきると、向こうにトンネルが見えてきました。
汽車はトンネルに入っていきましたが、トンネルの中は真っ暗です。
そして、トンネルを抜けると・・・。
わんくんの目的地とは一体?
『しゅっぱーつ』の素敵なところ
- 次々出てくる楽しい乗り物
- ガタガタ揺れるおもしろさ
- みんな大好きなわんくんの目的地
次々出てくる楽しい乗り物
この絵本の子どもたちが釘付けになってしまうところは、大好きな乗り物が次々に出てくるところでしょう。
最初は船に乗るので、船旅の絵本かと思いきや、車に乗り換えるわんくん。
ここで車好きのテンションが上がり、
「赤いブーブだ!」
「車あったね!」
と、大喜び。
車で走り出すと嬉しそうに見つめます。
流石にこれで到着かと思いきや、さらに汽車に乗り換えるサプライズ。
これには電車好きのテンションが上がります。
「ポッポ!」
「電車だよ!」
と、立ち上がったり、手をぶんぶんさせ、嬉しさを体で表現せずにはいられません。
この、一冊で色々な乗り物に乗れてしまう欲張りセットな内容が、この絵本のとても楽しくて嬉しいところです。
ガタガタ揺れるおもしろさ
こうして、色々な乗り物に乗るわんくん。
ですが、どの乗り物も平坦な道を行きません。
絶対に揺れるのです!
これもまた、この絵本の醍醐味。
とても盛り上がるところです。
船は雨で海が荒れ、波にもまれます。
車ではガタガタ道にクネクネ道。
汽車は鉄橋でガタゴトガタゴト。
どれも絵本を揺らしながら思いきりガタゴトすると、
「わー!大波だー!」
「倒れる―!」
と、大盛り上がりの大爆笑。
自分も体を揺すりながら、絵本と連動していました。
この、絵本を揺れと物語が連動するという体験型の仕掛けもまた、この絵本のとてもおもしろく盛り上がる素敵なところです。
みんな大好きなわんくんの目的地
さて、そんなこんなでやっと辿りついた目的地。
そこは、わんくんも、見ている子どもたちも大好きな場所でした。
しかも、子ども達もきっと行ったことがある場所です。
だからこそ、たどり着いた時の嬉しさが、子ども達と共有できるのでしょう。
大好きな場所にいる大好きな人との再会。
見ている子どもたちも、自分たちのその場所やその人を思い出しながら見ているのだと思います。
また、わんくんがそこまで1人で行くというのも、子ども達が驚くところ。
子ども達がそこへ行った時はお父さん、お母さんと一緒だったはず。
それを、わんくんは1人で乗り継いで、目的地にたどり着いたのです。
最後の場面の「ひとりでこれたよ」という言葉からも、やり遂げたという気持ちが伝わってきます。
子どもたちも、
「わんくんすごいね!」
「私じゃできないかも・・・」
と、純粋に驚き褒めていました。
これは、大きな子の方が感じ取るところかもしれません。
この、わんくんが、子どもたちも大好きな場所へたどり着くことで、到着した嬉しさを共有できるところ。
さらに、それを1人で成し遂げたわんくんのすごさが伝わってくるところも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
船、車、汽車と、子ども達が大好きな乗り物をどんどん乗り継いでいくのが、とっても楽しい。
絵本を揺らす仕掛けで、一緒に乗り物に乗っている気分が味わえる絵本です。
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