作:とりごえまり 出版:アリス館
ブタさんがおやつに選んだのは、かわいいくまさんアイス。
帰り道、たくさんの美味しい誘惑がありますが、惑わされません。
でも、あちこち寄り道していたら・・・。
あらすじ
子ブタのプリンくんが、町へ買い物に出かけていきました。
今日は家に友だちが遊びに来るので、そのおやつを買いに来たのです。
プリンくんは、クマの顔をしたくまさんアイスに決めました。
10個買うと、袋を抱えて帰り道を急ぎます。
と、その時、ケーキ屋のお姉さんがプリンくんを呼び止めました。
ちょうど新しいケーキが焼けたというので、お店の中に入ってみると、大きなお日さまリンゴケーキがありました。
おやつに勧められましたが、プリンくんにはくまさんアイスがあるので、断りました。
また歩いていくと、パン屋のおじさんに「手伝ってくれ」と声をかけられました。
お店に入ると、そこにはたくさんのハリネズミチョコパンが。
たくさん焼き過ぎてしまい、1人で運べなかったのです。
手伝ってくれたお礼に、ハリネズミチョコパンをあげると言われたけれど、プリンくんにはくまさんアイスがあるので、断りました。
プリンくんが歩いていくと、今度はウサギさんの家から悲鳴が。
様子を見に行くと、ホットケーキがウサギのお母さんの顔にくっついています。
どうやら、ホットケーキを焼く練習をしていたら、顔にくっついてしまったみたい。
プリンくんがとってあげると、お礼に焼き過ぎたホットケーキをあげると言われました。
けれど、今日のおやつはくまさんアイス。
プリンくんは、この誘いも断りました。
やっとのことで家に帰ると、さっそくくまさんアイスをお母さんに見せます。
ところが、あちこち寄り道していたので、アイスは溶けてクマの形ではなくなってしまっていました。
がっかりして泣き出すプリンくん。
すると、お母さんはいくつかの容器を持ってきて・・・。
一体溶けたアイスをどうするのでしょうか?
『くまさんアイス』の素敵なところ
- 美味しそうなおやつが盛りだくさんで、全部食べたくなってしまう
- どんな誘惑にも負けないくまさんアイスへの強い思い
- アイスならではの嬉しい変身
美味しそうなおやつが盛りだくさんで、全部食べたくなってしまう
この絵本のなにより楽しいところは、たくさんのおいしそうなおやつに出会えることでしょう。
かわいいくまさんアイスを始めとして、お日さまリンゴケーキに、ハリネズミチョコパン、塔のように積み上げられたホットケーキと、よだれが出てきそうなおやつが次々出てきます。
しかも、そのどれもが焼き立てで、今にもいい匂いがしてきそう。
これにはたまらず、
「おいしそう~」
「アイスよりこっちがいい~」
「食べちゃおう!」
と、誘惑に負けたり、すぐに食べ始めてしまう子もちらほら。
あまりに、魅力的なおやつの数々に、お腹が鳴ってしまいます。
この、魅力的なおやつが目白押しなのが、この絵本のとても素敵でおいしそうなところです。
シンプルゆえに味が想像しやすいのも、思わずよだれが出てきてしまうポイントでしょう。
おいしさとかわいさの両方を思う存分楽しめます。
どんな誘惑にも負けないくまさんアイスへの強い思い
こうして、様々なおやつと出会うプリンくん。
ですが、プリンくんのくまさんアイスへの思いは揺らぎません。
この強い思いが、わかりやすく伝わってくるのも、この絵本の素敵なところ。
プリンくんが誘惑を断り歩き出すたび、
「おひさまのリンゴケーキもいいけど、やっぱりくまさんアイスが一番だな」
「ハリネズミチョコパンもいいけど・・・。やっぱりやっぱりくまさんアイスが一番だな」
「ホットケーキもおいしそうだったなあ。でも・・・、やっぱりやっぱりくまさんアイスが一番さ」
と、袋を大切そうに抱えながら、くまさんアイスへの思いを口に出すのです。
これを見ていると、自然にくまさんアイスへの期待感が高まります。
いつの間にか、プリンくんに共鳴し、くまさんアイスを食べるのがとても楽しみにウキウキしてくる子どもたち。
この、プリンくんの言葉と一緒に高まっていく、くまさんアイスへの期待感もまたこの絵本のとても心躍ることろでしょう。
同時に、これだけ楽しみにしていたからこそ、くまさんアイスが溶けてしまった時の、がっかり感にも強く共感できたのだと思います。
アイスならではの嬉しい変身
さて、くまさんアイスを楽しみに帰ってきたプリンくん。
ですが、袋を変えると、すっかり変わり果てた姿になり、クマの面影が微塵もないくまさんアイス。
プリンくんは泣き出してしまいます。
それを見たお母さんは「大丈夫」と、笑顔で容器を取り出してきて、なにやら作業を始めます。
こうして、友だちがやってきた頃に出来上がるサプライズも、この絵本のとても素敵で嬉しいところ。
溶けてがっかりした分、その嬉しさもひとしおです。
この嬉しさの共感もまた、プリンくんと一緒にくまさんアイスへの思いれが強くなっていたからこそでしょう。
「おっきいね!」
「美味しそう!」
「一緒に食べたいな~」
と、子ども達からも喜びの声があがります。
きっと、この時の子ども達とプリンくんは、まったく同じ気持ちだったことでしょう。
また、このサプライズの作り方がとても簡単で、家ですぐに再現できるのも、この絵本の素敵なところ。
絵本の最後に、このサプライズの作り方が載っていて、本当に簡単。
絵本を飛び出して、家で自分もくまさんアイスが食べられるというのは、まるで夢のようでしょう。
ぜひ読んだ後は、クッキングも楽しんでほしいところです。
二言まとめ
次々と出てくる魅力的なおやつに、思わずよだれが出てしまう・・・。
おいしそうなくまさんアイスを、見るだけじゃなく本当に作って食べられる絵本です。
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