文:木坂涼 絵:大塚いちお 出版:講談社
自分のおとなりさんってどこのこと?
そんな疑問に楽しく美味しく答えてくれる絵本です。
さらに、おとなりさんがみんな集まると・・・。
あらすじ
かわいいクマさんのぬいぐるみ。
クマさんのとなりにはピンク色が見えています。
おとなりさんは・・・
ウサギさんのぬいぐるみでした。
ウサギさんのとなりには、赤くてまるみのあるものが見えています。
おとなりさんは・・・
リンゴちゃん。
と、思ったら、リンゴが切れてウサギリンゴちゃんになりました。
ウサギリンゴちゃんのとなりには、尖ったものが見えています。
おとなりさんは・・・
フォークちゃん。
フォークちゃんのとなりには、フォークに似た丸いものが見えています。
おとなりさんは・・・
スプーンちゃん。
スプーンちゃんのとなりには、黄色い山みたいなものが見えています。
おとなりさんは・・・
プリンちゃん。
では、プリンちゃんのおとなりさんは誰でしょう?
プリンちゃんが悩んでいると、たくさんの声が聞こえてきました。
キウイ、アイス、ミカン、クリーム、メロンにサクランボ。
そんなおとなりさんが、みんなそろうと・・・。
『おとなりさん』の素敵なところ
- おとなりさんの場所が楽しくおいしくわかっちゃう
- おとなりさんを当てるクイズのようなおもしろさ
- おとなりさんが集まってできる、うっとりするほどおいしそうなもの
おとなりさんの場所が楽しくおいしくわかっちゃう
この絵本のおもしろいところは、「おとなりさん」という言葉に出会えるところでしょう。
聞いたことはあっても、実際どこを指すのかわからない子もけっこういます。
そんな「おとなりさん」がどういうことか、直感的に伝えてくれるのがこの絵本。
どんどん出てくるおとなりさんと、
「クマさんのおとなりさんはだあれ?」
という、おとなりさんを聞く繰り返しで、横にいる人がおとなりさんだとわかってきます。
しかも、わかるだけじゃなく、段々とおとなりさん同士が、関係性の強いものになっていくからおもしろい。
リンゴとフォーク、フォークとスプーン、スプーンとプリンなど、普段食べる時におとなりさんになるセットになっています。
きっと、実際に食べる時に、この絵本を思い出し、おとなりさんであることに気付くこともあるでしょう。
「おとなりさん」という言葉を通して、モノとモノの関係性のおもしろさに気付くきっかけになるのです。
この、「おとなりさん」という言葉を、知ったり、使えるようになるきっかけをくれるのが、この絵本のとても素敵なところです。
きっと、見た後には、自分のおとなりさんは誰か、わかるようになっていると思いますよ。
おとなりさんを当てるクイズのようなおもしろさ
こうして、おとなりさんがたくさん出てくるこの絵本。
その話の作り方にも、子どもが夢中になる秘密が隠されています。
それが、クイズ形式で話が進んでいくこと。
一つのモノが出てくると、そのページの端におとなりさんが少し顔を出しています。
このヒントを元に「おとなりさんだあれ?」の問いに答えていく形式になっています。
これが、簡単だけれどおもしろい。
聞かれたら、答えたくなってしまうのが子ども心というものです。
このクイズ形式により、出てきたものも、おとなりさんの特徴も、とてもよく観察します。
なにより、クイズに答えること自体が楽しいので、夢中になって見てしまうのです。
この、クイズ形式で、楽しく自然に、たくさんのおとなりさんに出会えるのも、この絵本のとてもおもしろいところです。
おとなりさんが集まってできる、うっとりするほどおいしそうなもの
さて、たくさんのおとなりさんが出てきましたが、プリンちゃんだけおとなりさんが中々出てきません。
なぜなら、このプリンちゃん、そんじょそこらのプリンちゃんではなかったから。
特別なプリンちゃんには、おとなりさんがものすごくたくさんいたのです。
どんどん出てくるおとなりさんに子どもたちもびっくり。
これまで、1つのものにおとなりさんは1つだと思っていたのに・・・。
でも、みんなそろって、おとなりに立った姿を見て納得。
確かにこれはおとなりさんがたくさん必要です。
同時に、
「おいしそ~」
「こんなの食べたことない!」
「パクッ!あま~い♪」
と、見惚れてうっとり。
夢のようなおとなりさんのコレボレーションが目の前に現れるのです。
もうこれが、本物じゃないのが悔やまれるくらい美味しそう。
この、おとなりさんの集大成として、最後の最後に見惚れてしまうほどおいしそうなものが出てくるのも、この絵本のとても盛り上がる、素敵でお腹が空いてしまうところです。
二言まとめ
「おとなりさん」という言葉の意味を、クイズ形式で楽しくおいしく実感できる。
最終的にはプリンが食べたくて、お腹が空いてしまう絵本です。
コメント