【絵本】ぷぅ(4歳~)

絵本

作:舟崎克彦 絵:中田弘司 出版:ポプラ社

お風呂でオナラをするとプクプク泡が浮かんできます。

いつもは、すぐに割れる泡。

だけど、この日は泡が割れずに形が変わって・・・。

あらすじ

あるお風呂に入る時。

男の子は、初めて1人でお風呂に入ることになった。

ママが大事な電話をしなくてはいけないからだ。

なんだか落ち着かず、緊張からオナラが出た。

水面に浮かんでくる大きなあぶく。

パチンと弾けるかと思いきや・・・

なんと、あぶくはヘルメットの形になり、ヘルメットの下からフロ野球選手が現れたのだ。

選手は洗い場に飛び出し、ボールを投げて来いという。

男の子は困ってしまい、湯船の隅っこに逃げ出すと、またオナラが出た。

嫌な予感がして、あぶくを眺めていると・・・

あぶくはみるみるマスクになって、フロレスラーが飛び出した。

すると、フロ野球選手と、フロレスラーのケンカが始まった。

野球をするというフロ野球選手。

ここはフロレスのリングだというフロレスラー。

2人が取っ組み合いを始めたので、男の子は風呂場から逃げ出し、ママに助けを求めた。

その声を聞いて、大慌てでやってきたママ。

一緒に風呂場を見に行くと、そこには誰もいなくなっていた。

ママは寂しくなって、呼びに来たんだと思っている。

翌日、ママが一緒にお風呂に入ろうかと言ったけど、男の子は断った。

だって、1人じゃなくちゃだめだから。

こうして、男の子が風呂場に行くと・・・。

『ぷぅ』の素敵なところ

  • みんな大好きなオナラ
  • あぶくが他のものに変化するおもしろさ
  • 風呂をかけた言葉遊び

みんな大好きなオナラ

この絵本のまず子どもを惹きつけるところは、オナラという題材でしょう。

タイトルを見た時点で、「オナラかな!?」と、子どもの目がキラキラ。

読み始める前から、テンションが上がり、笑いが起こります。

そして、お風呂の中で「ぷぅ」とオナラをした瞬間、予想通りの大爆笑。

「くさ~い」

「だれかオナラした!?」

「ぼくしてないよ!」

と、子ども達は大盛り上がり。

オナラというのは、その存在だけで、子ども達を楽しく幸せにするのでしょう。

このオナラを、タイトルだけで直感的にわかるほど、前面に押し出しているのが、この絵本のおもしろく、一瞬で子どもの心を掴んでしまうところです。

ある男の子は楽しみ過ぎて、タイトルを見て以来毎日「今日、オナラの絵本読む!?」と聞いていました。

オナラとは、すごい吸引力です・・・。

あぶくが他のものに変化するおもしろさ

ただ、もちろんオナラのおもしろさだけでは終わりません。

このオナラが、色々なものに変化するところが、この絵本の醍醐味ですから。

いつもはすぐに弾けるオナラのあぶく。

ですが、この日は違いました。

あぶくが段々と違うものに変化するのです。

この変化の過程が、とても自然でおもしろい。

あぶくに段々色が着き、つばがつき、ヘルメットに変わります。

マスクの時も、徐々に赤いラインが現れ、目や口の穴が見えてきて、レスラーの顔が現れます。

これを見ていると、突拍子もないように見えつつも、あぶくとの類似性に納得できてしまうから不思議です。

でも、そんなのんきなことも言っていられません。

だって、それを被った人まで出てきてしまうのですから。

これには、子ども達もびっくり。

「人が出てきた!」

「ここじゃ野球できないでしょ!」

「筋肉ムキムキー!?」

と、大騒ぎ。

このカオスな状況がなんともおもしろく、まるでドタバタコメディーを見ているよう。

わーきゃー言いながら楽しんでいます。

この、あぶくの見立てから生まれる、おもしろくもカオスな展開が、この絵本のなんともおもしろいところ。

脈絡があるようなないような、絶妙に子どもが喜ぶカオスっぷりなのです。

きっと、「えー!?」「なんで!?」という、子ども達の楽しい声が聞こえ続けることでしょう。

風呂をかけた言葉遊び

さて、そんなあぶくからのカオスがおもしろいこの絵本。

ですが、忘れてはいけない楽しい要素がもう一つあります。

それが、風呂を使った言葉遊びのおもしろさです。

野球選手やレスラーが出てきたのには、あぶくにヘルメットやマスクが似ているからという理由の他に、もう一つ選ばれた理由があります。

それが、「プロ」と「フロ」が似ているからです。

風呂から出てくるのは「フロ野球選手」に「フロレスラー」。

まさに風呂から出てくるのにピッタリでしょう。

これには子どもたちも、

「プロが風呂になってる!」

「お風呂から出てきたからだ!」

「おもしろ~い」

と、大盛り上がり。

「フロ」と「プロ」の類似性に気付き、改めて言葉遊びのおもしろさを楽しんでいる様でした。

ただ、プロ選手は野球選手とレスラーだけではありません。

ということは、フロ選手も無数に存在しています。

それを最後の場面でこれでもかと見せてくれるのも、この絵本の楽しいところ。

子どもたちも男の子と一緒にその多さにびっくり。

見終わった後、色々な場面で目にする「プロ」が「フロ」に見え、色々な想像がふくらむようになっていることでしょう・・・。

二言まとめ

子どもたちの大好きなオナラと言葉遊びを組み合わせた、笑いと驚きが止まらない。

見たら、自分のしたオナラのあぶくが、なにか別のものに見えてくる・・・かもしれないお風呂絵本です。

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