作:はたこうしろう 出版:ほるぷ出版
まっくらな夜の部屋。
怖がる弟のため、懐中電灯でまっくら遊びを始めます。
色々なものに懐中電灯を向けてみると・・・。
あらすじ
おばあちゃんの家に遊びに来ている2人の兄弟。
夜は屋根裏部屋のベッドで寝ます。
電気を消すと辺りはまっくら。
その暗さに、弟は怖くて中々眠れません。
そんな弟の姿を見て、お兄ちゃんは懐中電灯を取り出しました。
懐中電灯の明かりをつけて、まっくら遊びの始まりです。
まずはおもちゃに明かりを当ててみると、壁に大きな影が映ります。
懐中電灯を遠ざけると影が小さく・・・
懐中電灯を近づけると影が大きく変化します。
今度はおもちゃや文房具を使って影を作ってみることに。
色々な影を作っていると、お兄ちゃんがカメラを取り出しました。
必要なのは、懐中電灯と色のついたセロハン紙。
お兄ちゃんがカメラをセットし、シャッターを押し、弟はカメラの前で懐中電灯をグルグルと回します。
しばらく回したら、お兄ちゃんがもう一度シャッターをカシャ!
カメラの写真を見てみると、そこにはグルグル回したライトの軌跡が映っていました。
まるで光のお絵描きです。
次は、お兄ちゃんが懐中電灯を動かす番。
赤と青のセロハン紙を、それぞれ懐中電灯につけ動かします。
どうやらなにかの絵を描いているみたい。
一体どんな絵ができるのでしょうか?
『まっくらあそびしようよ!』の素敵なところ
- 懐中電灯を使ったまっくらならではの遊び方
- デジタル機器を使った新しいまっくら遊び
- 解説付きで、すぐに家で試せちゃう
懐中電灯を使ったまっくらならではの遊び方
この絵本のなによりおもしろいところは、暗闇ならではの遊び方を楽しめるところでしょう。
普段は怖い真っ暗闇。
でも、懐中電灯を使うことで、そこはこれ以上ないほどおもしろい遊び場になってしまいます。
懐中電灯で部屋を移すだけで、そこは光と影の別世界。
いつものおもちゃや家具も、全然違って見えてきます。
光と影の性質もおもしろく。
影を大きくしたり小さくしたり。
こうなってくると、自分で影を作りたくなるのは当然の流れです。
辺りにあるものを使って、自由に影を形作るのはまるでアート。
粘土などの造形遊びとはまた違った、感覚が求められる遊びです。
こんな風に、懐中電灯を使った、真っ暗だからこその楽しい遊びを見せてくれるのがこの絵本の、とてもおもしろいところです。
デジタル機器を使った新しいまっくら遊び
ですが、この絵本は昔ながらのアナログな遊びだけでは終わらないのがすごいところ。
お父さんのカメラを取り出し、デジタル機器を使ったまっくら遊びが展開されます。
それが光のお絵描き。
シャッタースピードを遅くして、懐中電灯の光の軌跡を一枚の写真に写す遊びです。
ただ、懐中電灯を動かすだけでも美しく、
「すごーい!」
「おもしろいね!」
「どうやってるんだろう!?」
と、子ども達も感動しますが、さらにカラーセロハンで色を付けるとより美しく幻想的に。
「うわ~きれ~い・・・」
「色が光ってる!」
「やってみたーい!」
と、より子ども達の目をキラキラさせていました。
この、デジタル機器を使った、より不思議でおもしろく、魅力的なまっくら遊びが紹介されているのも、この絵本のとても魅力的なところです。
解説付きで、すぐに家で試せちゃう
さて、こうして色々なまっくら遊びを見てきましたが、必ず子ども達から出てくる言葉があります。
それが、「うちにはこんなカメラないからできないよ」という言葉。
確かに、光のお絵描きを見ていると、とても簡単には出来なそうに見えてきます。
けれど、そこのフォローもしてくれているのがこの絵本の素敵なところ。
巻末に、光のお絵描きのやり方が動画付きで載っています。
特に、スマホでの撮影の仕方が載っているのが大きなポイント。
懐中電灯とスマホがあれば、すぐに試すことができてしまうのです。
このとても魅力的ながら、「自分にはできなそう」と思ってしまいがちなところを、しっかりフォローして、好奇心を実際の体験へ繋げてくれるのも、この絵本のとてもとても素敵なところ。
きっと見たら、子どもも大人もすぐにやってみたくなることでしょう。
二言まとめ
真っ暗だからこそできる光を使った遊びが、美しく、幻想的でおもしろい。
そんな魅力的なまっくら遊びを、解説付きで、すぐに試すことができる、試したくなる科学遊び絵本です。
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