【絵本】みどりのホース(3歳~)

絵本

文:安江リエ 絵:やぎゅうげんいちろう 出版:福音館書店

ある日、ベランダのホースが遊びに行こうと声をかけてきた。

男の子が、ホースとブラシを持って出かけると・・・。

ホースで水を出す気持ちよさが、思いきり楽しめる絵本です。

あらすじ

とても熱いある日。

男の子けんたがベランダに出ていると、誰かがけんたのことを呼びました。

それは、ベランダの端に置かれた、緑のホースの声でした。

ホースは「この家に引っ越してきてから出番がなくて退屈だったから、一緒に遊びに行こう」と誘ってきます。

けんたは、ホースと遊びに行くことにしました。

ホースを肩にかけ、ブラシを持って早速外へ。

家を出ると、ほこりだらけの車がありました。

ホースはけんたに、その車を洗おうと言いいます。

けんたもその話に乗り、ホースで水をかけ、ブラシで車を綺麗にっていると・・・。

おじさんがやってきて、「勝手に水なんかかけてはダメだ」と怒られてしまいました。

けんたがおじさんに謝ったあと、ホースに文句を言うと、ホースはまったく気に留めず、「次は公園に行こう」と言ってきました。

2人が公園へ行くと、砂場で4人の男の子が遊んでいました。

けんたのホースを見て、砂場に水を流してくれと言ってきます。

けんたが、水道にホースをつなぎ水を流すと、男の子たちは大喜び。

泥まんじゅうをたくさん作って遊びました。

けんたがその様子を見ていると、ホースが「次に行こう」と声をかけてきたので、公園を後にすることに。

2人が歩いていくと、コンクリートの塀に声をかけられました。

落書きされてしまいかゆいから、ブラシで綺麗にしてほしいと言うのです。

けんたとホースはすぐに掃除にとりかかり、コンクリートの塀はすっかりきれいになりました。

コンクリートの塀は、笑顔になり2人にお礼を言いました。

その時、今度は上の方から「ぼくに水をかけてくれないか」という声が。

見上げて見ると、それはケヤキの木からの声でした。

ケヤキの木は、暑くて喉がからからに乾いていたのです。

2人は快諾すると、思いきり手を伸ばし、ホースも伸ばし、高い梢へ水をかけました。

気持ちよさそうに梢を揺するケヤキの木。

すると、そこから降ってくる飛沫につられ、女の子と犬がやってきて・・・。

『みどりのホース』の素敵なところ

  • ホースを使ったダイナミックで気持ちのいい水遊び
  • けんたとホースの息の合った相棒感
  • ホースが繋ぐ素敵な出会い

ホースを使ったダイナミックで気持ちのいい水遊び

この絵本のまず楽しいと思うところは、ホースを使ったダイナミックな水遊びでしょう。

水道に繋げば無限に勢いよく水が出てくるホース。

中々、子どもが水遊びで使う機会はありません。

そんなホースを好きなように使えるけんたは、まさにヒーローのよう。

楽しくて、羨ましくて、一緒に遊びたくてたまらないでしょう。

このホースを使い、車や塀の掃除から、砂場での泥遊び、思いきり高く水を噴き上げるなど、やってみたい遊びが目白押し。

この中のどれか、もしくは全ての遊びに、ワクワク・ウズウズさせられてしまいます。

同時にこれらは、ホースがないとできない遊びでもあります。

普段は、「水がもったいない」と言われがちですが、そんなことを気にせず、思いきり好きなだけ水を使って遊べるところが、この絵本のとても素敵で楽しく、子どもの心を惹きつけてやまないところです。

ぜひ、呼んだ後はホースでの水遊びを試してみてください。

大人も子どもも夢中で楽しめると思いますよ。

けんたとホースの息の合った相棒感

こうして、水遊びを楽しむけんたとホース。

この2人の、ニヤリとしてしまう関係性の深まりも、この絵本のおもしろいところです。

最初は、声をかけられ驚くけんた。

楽しく出発しますが、ホースの言うことを聞いて車を洗うと、おじさんに怒られてしまいます。

ホースに文句言うけんた。

でも、ホースは素知らぬ顔。

物語の序盤は、

「さあ、行こうぜ、ブラシを持って。な、けんた」

「まあ、気にするな。それより公園に行こうぜ。な、けんた」

泥遊びの誘いにも「ああ、いいよ」とホースが答え、

コンクリートの塀にも「おやすいごようだ。な、けんた」と了承。

こんな風に、ホース主導で話が進んでいきます。

けれど、そんなやり取りを繰り返すうち、けんたとホースの関係性は段々と深まっていくのです。

それが強く感じられるのが、ケヤキに水をかける場面。

ケヤキの頼みに、ホースより先にけんたが「いいよ。な、ホース」と言うのです。

それに対してホースも「いいよ。な、けんた」と返します。

この場面で、2人が対等な相棒になったよな雰囲気がとても素敵。

子どもたちも、

「な、ホースだって」

「同じこと言ってるね」

と、ニヤニヤ。

このなんとも言えない仲の良さと信頼感に、嬉しいような気恥しいような気持ちを感じいるようでした。

さらに最後の場面での、けんたがホースに語り掛ける言葉も素敵。

最初にホースから声をかけられた時の関係性と、大きく変わっていることがわかるのです。

この、たくさんの水遊びを通して、けんたとホースが相棒のようになっていく関係性の変化も、この絵本のとても素敵でニヤニヤしてしまうところです。

ホースが繋ぐ素敵な出会い

さて、こうしてけんたとホースの絆が強くなっていくのですが、絆が生まれたのは実はホースとだけではありませんでした。

ホースとの水遊びが、けんたと地域の子ども達も繋げてくれていたのです。

まずは、泥遊びをしていた4人の男の子。

けんたがホースで水をかけると、4人は夢中で泥まんじゅうを作りますが、けんたは遊び加わっていません。

でも、最後の場面で、4人からとても嬉しい言葉が投げかけられます。

次に、ケヤキの木に水をかけている時。

梢からの水しぶきに誘われて女の子がやってきます。

この女の子ともホースを通して仲良くなっていくのです。

どの繋がりも、明日からの楽しい日々を予想させるセリフがあり、見ている方もなんとも嬉しい気持ちになります。

もしかしたら、冒頭に「引っ越してきた」というホースのセリフがあることから、けんたは引っ越してきたばかりで友だちがいなかったのかもしれません。

そう考えると、この繋がりは、けんたにとってとても大切なものになっているのでしょう。

この、ただ水遊びが楽しいだけじゃなく、友だちと遊ぶ楽しさや友だちができる嬉しさを味あわせてくれるのも、この絵本のとても素敵で楽しいところです。

二言まとめ

ホースを使った、思いきり水を使ったダイナミックな水遊びが、楽しくって気持ちいい。

水遊びだけじゃなく、ホースや友だちと一緒に遊ぶ楽しさも目一杯味あわせてくれる絵本です。

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