作:矢野アケミ 出版:大日本図書
甘くておいしいバナナ。
そんなバナナを、もっとおいしくするおまじないを知っていますか?
さっそく、おまじないをかけると・・・ソーセージになった!?
あらすじ
バナナが1本ありました。
このバナナに、おいしくなるおまじないをかけましょう。
バナンチョ、バナンチョ、おいしくな~れ~。
おまじないをかけながら皮をむくと・・・
なんと出てきたのはこんがり焼けたソーセージ。
バナナじゃないけど食べちゃいます。
気を取り直して、次のバナナにおまじない。
バナンチョ、バナンチョ、おいしくな~れ~。
おまじないをかけながら皮をむくと・・・
出てきたのはソフトクリーム。
おいしそうだから食べちゃいます。
さらに、次のバナナにおまじない。
バナンチョ、バナンチョ、おいしくな~れ~。
おまじないをかけながら皮をむくと、見えてきたものは緑色。
緑で細長くてイボイボなこれはまさか・・・。
『バナナおいしくなーれ』の素敵なところ
- バナナの皮から全然違うものが出てくるおもしろさ
- 一緒に言いたくなるおまじない
- 一緒に食べて盛り上がる楽しい雰囲気
バナナの皮から全然違うものが出てくるおもしろさ
この絵本のなによりおもしろいところは、バナナの皮をむいたら、全然違うものが出てくるところでしょう。
バナナをおいしくするおまじないなのに、バナナではなくなるパラドックス。
これがおもしろくないはずありません。
しかも、おまじないをかけるページで、皮をむく前のバナナから、少しだけ中が見えるのがにくい演出。
特に最初のソーセージでは、バナナであると信じている子どもたちから、
「茶色いからチョコバナナじゃない!?」
「おまじないをかけたからかな!」
と、バナナ前提の嬉しそうな声が上がります。
そこからの、こんがり焼けたソーセージ。
「え!?ソーセージ!?」
「バナナじゃないじゃん!」
と、これには驚きつつも大笑い。
予想の斜め上を行く展開に、笑わずにはいられません。
こうなると、次は皮から何が出てくるのかドキドキワクワク。
一気に絵本にのめりこんでしまいます。
この、バナナだと思ったら、全然違うものが出てくる驚きとおもしろさが、この絵本のとても楽しいところです。
一緒に言いたくなるおまじない
そんな、バナナじゃないものが出てくるおまじない。
このおまじないの決まり文句が、つい一緒に言いたくなってしまうおもしろいものになっているのも、またこの絵本の楽しいところです。
それが、
「バナンチョ、バナンチョ、おいしくな~れ~」
というもの。
言いやすいのもそうですが、個人的には「チョ」がポイントだと思います。
「チョ」が最後につくと、なんだかおもしろい言葉に聞こえてくることありませんか?
「サンチョ」はおもしろく陽気な人物であることが多いなど、「チョ」にはおもしろくて明るい空気感があるように思います。
このおまじないも例にもれず、子ども達に大人気。
おまじないの場面が来ると、笑いながら一緒に「バナンチョバナンチョ」の大合唱。
中には、指をくるくる回し、魔法のようにおまじないをかける子も。
特徴的で覚えやすいこともあり、あっという間に使いこなしてしまいます。
この、楽しく言いたくなってしまうおまじないの言葉も、この絵本のとても楽しくおもしろいところです。
一緒に食べて盛り上がる楽しい雰囲気
さて、こんな風に、楽しいおまじないをかけ、出てきたものにアッと驚くこの絵本。
驚いた後にすることは、一つしかありません。
そう、出てきたものをおいしく食べることです。
ここもまた、この絵本のとても楽しいところなのです。
皮から出てきたソーセージや、ソフトクリーム。
子どもたちは驚きつつも、
「ソーセージおいしそ~」
「バナナよりソフトクリームがいい!」
など、バナナ関係なく食べたくなってしまいます。
もちろんみんなでいただきます。
独り占めして「バクバク!」と両手で食べる子。
おいしそうに「パクッ」と一口食べ「おいし~」と笑顔になる子。
絵本に合わせて食べる子・・・。
など、食べ方は様々。
ですが、どの子にも共通しているのは、楽しそうでおいしそうなこと。
この、みんなで驚き、みんなで一緒に食べるというシンクロ感も、この絵本のとても楽しいところでしょう。
絵本の流れに乗って、みんなで食べる時に流れる雰囲気や一体感が、とても楽しく心地いい。
ぜひ、読み聞かせをして味わってみてください。
二言まとめ
バナナの皮から、全然バナナじゃないものが出てくるという驚きがシンプルにおもしろい。
一緒におまじないをかけ、出てきたものに驚き笑い、みんなで食べる一体感が、楽しくて心地よい絵本です。
コメント