【絵本】お化けの真夏日(4歳~)

絵本

作:川端誠 出版:BL出版

お化け屋敷に住むオバケたち。

そんなオバケたちは、この暑い夏をどう乗り切っているのでしょう?

意外に人間と変わらないかも?

あらすじ

あるところに、色々なオバケが一緒に暮らすお化け屋敷がありました。

夏の暑い日のこと。

お化け屋敷からろくろっ首が、買い物に出かけていきました。

お化け屋敷の中では、あまりの暑さに三つ目の大入道と、一つ目の青ぼうずがうちわを仰ぎうなっています。

外で遊んでいるのは一つ目小僧の3人組。

朝早起きして、雑木林へ虫取りに来ているのです。

その頃ろくろっ首は、スイカを買いに来ていました。

ろくろっ首が美人なので、八百屋のおじさんがまけてくれます。

でも、嬉しいと首が伸びてしまうので要注意。

一つ目小僧は雑木林からの帰り道に、かき氷を食べ、花火を買います。

人間の店に行く時は、二つ目メガネをかけて、人間に化けて入ります。

一つ目小僧たちは、お化け屋敷に帰ってくると、勉強を始めます。

三つ目の大入道は昼寝中。

しばらくして、ろくろっ首がスイカを切ってくれたので、みんなで食べることに。

その冷たくって美味しいこと。

スイカを食べたら、一つ目小僧たちはまた一仕事。

庭に水をまいたり、風呂を沸かしたりと大忙しです。

風呂を上がったら、一つ目小僧たちは浴衣に着替え、三つ目の大入道はビールを飲みます。

さて、そろそろ夕ご飯の時間。

砂かけばばあがそうめんを茹でている間に、一つ目小僧たちが竹を用意します。

今日の晩ごはんは、流しそうめん。

オバケたちみんなで、そうめんをすすります。

そこへ、大雪山の雪女から、暑中お見舞いが届きました。

とても大きなクール便の箱。

中から出てきたのは?

『お化けたちの真夏日』の素敵なところ

  • 意外に人間と変わらない真夏日の過ごし方
  • オバケならではの工夫がおもしろい
  • 古き良き夏ならではの楽しさが詰っている

意外に人間と変わらない真夏日の過ごし方

この絵本のおもしろいところは、オバケなのにものすごく人間らしい真夏日の過ごし方を見せてくれるところでしょう。

オバケだから暑さを感じないのかと思いきや、汗だくでうちわを仰ぐ大入道。

雑木林へ虫取りに行き、クワガタを見つけて喜ぶ一つ目小僧たち。

スイカやそうめんを用意する砂かけばばあにろくろっ首。

その姿は、まったく自分たちと変わりません。

大入道はお父さん。

一つ目小僧は子どもたち。

砂かけばばあとろくろっ首は、おばあちゃんにお母さん。

きっとどこかは、自分たちの家族に当てはまり、親近感が湧くことでしょう。

この、親近感がこの絵本の特徴と言っても過言ではないかもしれません。

「このオバケたちとなら、一緒に過ごせるんだろうな」

「お化け屋敷に行ってみたいな」

「驚かされずに、スイカをわけてくれそう」

そんな、友だちやご近所付き合いが当たり前にできそうなオバケたちがとても魅力的なのです。

この、オバケらしいことは何一つせず、普通に人間と交流を持ち、お化け屋敷で仲良く暮らすオバケたちの人間らしさがこの絵本のとても素敵なところです。

オバケならではの工夫がおもしろい

ただ、人間らしくてもオバケはオバケ。

人間の町で暮らすには、工夫をしないといけません。

このそれぞれのオバケならではな工夫の仕方も、この絵本のオバケ絵本らしいおもしろいところです。

ろくろっ首は嬉しいと首が伸びるので、気を抜かないように買い物をしないといけません。

一つ目小僧は、人前に出る時は、二つ目に見える二つ目メガネが必要です。

暑中お見舞いも、雪女だからこそなものが届きます。

中には、人間に怪しまれる場面も・・・。

こんな風に、人間臭さの中に時折出てくるオバケらしさがおもしろい。

オバケとして人間の町に溶け込んでいることを改めて感じられ、

「楽しそうだけど、大変なんだな~」

と思わせられます。

他にも、一つ目小僧が勉強している教科書や、大入道の飲んでいるビールの銘柄など、細かいところにもオバケ要素が盛りだくさん。

そんなオバケならではの要素を見つけるのも、この絵本の楽しいところです。

古き良き夏ならではの楽しさが詰っている

さて、このように、オバケらしさと人間臭さの融合が魅力的なこの絵本。

けれど、そんなことが些細に思えてしまうような大きな魅力がもう一つあります。

それは、古き良き日本の夏ならではの楽しさが詰っているというところ。

「おじいちゃんの家で過ごす夏と言えばこれ!」の決定版のような体験が詰っているのです。

井戸で冷やしたスイカ(ぼくの田舎では風呂に浮かべていました)。

早朝の虫取り。

かき氷に、そうめん。

居間での宿題に、昼寝しているお父さん(大入道)。

そして、夜の花火。

まさに、夏らしさがぎゅーっと凝縮された幸せ過ぎる一日です。

今は、ここまで田舎ならではの夏を過ごせる子は少なくなってしまったかもしれませんが、それでもこの魅力は変わりません。

「スイカおいしそうだな~」

「あ!クワガタムシいたよ!」

「流しそうめんやってみたーい!」

などなど、それぞれの場面で子どもたちから「やったことある」や「やってみたい」の声。

時代が移り変わっても、夏の風物詩の魅力は変わっていないようでした。

この、今も昔も変わらない、古き良き日本の夏ならではの楽しさを、オバケたちと一緒に楽しめるのもこの絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

オバケたちの真夏日の過ごし方が、とても人間らしくて親近感が湧いてしまう。

古き良き日本の夏ならではの楽しさや魅力が、これでもかと詰まったオバケ絵本です。

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