作:オームラトモコ 出版:ポプラ社
長い鳥の行列ができています。
一体何の行列なのでしょう?
最後尾から順々に行列を追っていくと、その先には・・・。
あらすじ
ハチドリが飛んでいると、なにかを案内する看板がありました。
看板を見てると、案内係のキュウカンチョウが列へ案内してくれます。
列にはすでにたくさんの鳥たちが並んでいて、なにかの順番を待っていました。
メジロ、スズメ、ツバメ、カナリア・・・。
色々な鳥たちが、おしゃべりしながら並んでいます。
列が進むと、キツツキがポールを突いて、周囲の鳥が大迷惑していました。
慌ててキュウカンチョウが止めに行きます。
さらに進むと、オウムが声真似をして、他の鳥を楽しませています。
と、そうこうしていると、列の前の方から転がってくる卵。
ニワトリが卵を産み、後ろに転がっていったのです。
周囲の鳥がそれを教え、祝福しています。
その先では、ワシの爪がロープに引っかかって大騒ぎ。
みんなでポールを押さえ、キュウカンチョウが爪をはずします。
大騒ぎの先では、待ちすぎて眠るサイチョウ、グンカンドリ、シチメンチョウが。
こちらはとても静かです。
さらに列が進んでいくと、コウノトリが巣を作っていたり、ツルとハクチョウがダンスをしていたり・・・。
そしていよいよ辿り着いた行列の先頭には、なにかの入り口がありました。
鳥たちが行列を作ってまで楽しみにしていたものとは?
『とりさんなんのぎょうれつ?』の素敵なところ
- なにを待っているのか気になる行列
- 行列に並ぶ中で起こる様々なドラマ
- 行列の先に待つあっと驚く素敵な体験
なにを待っているのか気になる行列
この絵本のなにより気になるところは、長い行列の先になにがあるのかということでしょう。
ページをめくってもめくっても続く行列。
子どもたちは、
「まだ続いてる!」
「なにを待ってるんだろうね」
「もうそろそろじゃない!?」
と、ページをめくるたび、その行列の長さに驚いたり、その先にあるものを考えてワクワクしてしまいます。
また、このワクワクをさらに高めてくれる工夫がしてあるのも、この絵本のおもしろいところ。
鳥たちの行列には、鳥の名前と何番目かが書かれているのです。
一番後ろのハチドリは50番目。
それだけで、この行列の長さがわかります。
これがページをめくるごとに、カウントダウンのように減っていき、段々と先頭へ近づいているのを感じられるのです。
特に10番目を切った辺りからの盛り上がりはすごく、
「あと、10人だ!」
「もうすぐ先頭だね!」
と、大喜び。
でも、1ページに何羽いるかはランダムなので、次のページで先頭に辿り着くという保証はありません。
これもまた、行列を辿るワクワク感をより高めてくれています。
この、ページをめくってもひたすら続く長い行列を、カウントダウンのように先頭へ追っていくワクワク感が、この絵本のとてもおもしろいところです。
行列に並ぶ中で起こる様々なドラマ
こんな風に、行列を追っているだけでもおもしろいこの絵本。
ですが、待っている鳥たちにドラマがあり、それを見るのがおもしろいのもこの絵本の魅力です。
鳥たちは、それぞれに関わりを持ちながら楽しく待っています。
小鳥たちがおしゃべりや毛づくろいをしていたり、
キツツキがポールを突いてへこませていたり、
声真似をしているオウムに歓声を送ったり・・・。
その鳥らしい、特徴的な過ごし方をしていて、それにより待っている間にも色々なドラマが起こっているのです。
これが50羽分あるのだから、待ち時間が長くても飽きません。
子どもたちも、ドラマが起こったり、知っている鳥が出てくるたび、
「キツツキがポール突いてる!」
「ペンギンかわいいね」
「ワシは爪が尖ってるから・・・」
と、大盛り上がり。
この、全然待っている感を感じさせない、楽しい行列もまた、この絵本のとても楽しいところです。
行列の先に待つあっと驚く素敵な体験
さて、こうして行列を進んだ先には、あっと驚くものが待っていました。
それは自分で飛べる鳥ならば、利用しなさそうなもの。
ですが、向かった先を知って、「これは鳥たちでも夢見る体験だろうな」と納得。
そこには、予想をはるかに超える素晴らしい体験が待っていました。
この、長い行列を待っただけあると思える、ワクワクドキドキの体験もまた、この絵本のとても素敵なところです。
しかも、その中で50羽すべての鳥が、大切に扱われているのも驚くべきところ。
端折られている鳥などおらず、全ての鳥が楽しそうにワクワク感をはじけさせているのです。
子どもたちも、鳥たちと一緒にワクワクすること間違いなしの最後の場面。
ぜひ、一緒に行列に並び、確かめてみてください。
二言まとめ
鳥たちのながーい行列を、カウントダウンしながら辿っていくのがなんとも楽しい。
行列の先に辿り着いた時、アッと驚くドキドキワクワクの体験が待っている、行列に並ぶかいがある絵本です。
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