【絵本】おふろひえてます(2歳~)

絵本

作:とよたかずひこ 出版:ひさかたチャイルド

クマの親子が、池へ泳ぐ練習にやってきました。

そこへ、他の生き物もやてきて、みんなで泳ぎを楽しみます。

さて、泳ぎ終わって、みんなが帰ったその後に、池が突然揺れ出して・・・。

あらすじ

ある日、クマの親子が池へやってきて、泳ぐ練習を始めました。

少しして、親子が休憩していると、5匹のペンギンがやってきて、池に飛び込み泳ぎ始めました。

その泳ぎのうまいこと。

ペンギンが帰っていくと、3匹のカッパがやってきて、池で泳ぎ始めます。

クマの子も、カッパと一緒に泳ぐ練習。

しばらく一緒に泳ぎました。

カッパたちが帰っていくと、人間の子ども達がやってきて、泳ぎ始めました。

その泳ぎのうまいこと。

まるで、カッパやペンギンのように泳いでいます。

それを見ていたクマの子は、一緒に泳ぐ練習を始めます。

そしてついに、子ども達が帰っていく頃には、自分で泳げるようになりました。

クマの親子が嬉しそうに、池から帰っていきます。

と、その後ろで、誰もいなくなった池が揺れ始めました。

そうして地面から顔を出したのは・・・。

『おふろひえてます』の素敵なところ

  • 次々、出てくる生き物たちの、楽しくて気持ちよさそうな泳ぎ
  • 生き物たちを見て、少しずつ上達していくクマの子
  • 最後にまさかのタイトル回収

次々、出てくる生き物たちの、楽しくて気持ちよさそうな泳ぎ

この絵本のまずおもしろいところは、色々な生き物がやってきて、泳ぎを披露してくれるところでしょう。

ペンギンにカッパ、人間の子ども達と、次々出てきて池で泳いでいきます。

しかも、それぞれの場面も特徴的に描かれているのも楽しいところ。

ペンギンなら、よちよちとたどたどしく歩いてくるのに、水に入ったとたん自由自在なのびのびとした動きに。

カッパなら「へっへっへっへっへのカッパ」という、独特かつ、妙に頭に残るフレーズをしゃべりながら泳いでいきます。

こんな風に、登場から泳いでいる時まで、それぞれとても特徴的。

カッパなどは、子ども達も真似して「へっへっへっへっへのカッパ」と、楽しそうに合唱していました。

ただ、共通して言えるのは、みんな泳ぎがとてもうまく、気持ちよさそうだということ。

その生き物特有の、泳ぎ方で気持ちよさそうに、クマの子の目の前を泳いでいくのです。

この、次々出てくる生き物たちが、見ているだけで楽しく気持ちいい、個性的な泳ぎっぷりを見せてくれるのが、この絵本のとてもおもしろいところです。

生き物たちを見て、少しずつ上達していくクマの子

そんな中、泳ぎの練習をしているクマの子が、他の生き物たちの姿を見て、より頑張り上達していくのも、この絵本のとても素敵なところとなっています。

最初は、浮き輪に水中眼鏡、さらにお母さんに手を繋いでもらいバタ足をするという、安全性100%で練習するクマの子。

このクマの子の頑張ろうとする気持ちが、言葉がないのに伝わってくるのがすごい。

休憩中に目の前で泳ぐペンギンを見て、水中眼鏡をかけ直し練習に向かおうとするクマの子からは、ひしひしと「自分も泳げるようになりたい」という意思を感じますし、

人間の子ども達が泳いでいる姿を見るクマの子からは、憧れの視線を感じます。

さらに、人間の子ども達に触発され、浮き輪も水中眼鏡も手放し、親に手を繋いでもらわず泳ぎの練習まで。

まだ、手足をばたつかせるたどたどしいものですが、とても大きな前進です。

そして、人間の子ども達が帰る頃には、なんとクロールで泳げるように。

このように、ただ泳ぎがうまくなるだけでなく、それまでの「悔しさ」「憧れ」など、クマの子の気持ちの成長まで含めて描かれているのが、この絵本の本当に素敵なところ。

きっと、絵を見ないと伝わらないと思うので、ぜひクマの子の雄姿を実際に手の取って見てみてください。

その、心の機微まで見事に表現されていることに、驚くことでしょう。

それと一緒に、親クマの表情もぜひ見てみてください。

クマの子と同じくらい、我が子の心の動きを見逃さず、成長を喜ぶ親心が表現されていますので。

最後にまさかのタイトル回収

さて、こうしてめでたしめでたしで終わるかと思っていた矢先、まさかの展開が起こります。

この衝撃的な最後の場面も、この絵本のとてもおもしろいところです。

最初『おふろひえてます』のタイトルと、表紙の池を見て、「お風呂じゃないじゃん!」と言っていた子ども達。

ですが、クマの子の頑張りや、次々出てくる生き物たちを見ているうちに、そんなことはどこかに放り出されます。

子どもたちも、クマの子が泳げるようになったところを見て、

「すごい!」

「1人で泳げるようになってる!」

「ママも喜んでるね!」

と、大満足。

ところが、誰もいなくなった後に、揺れ始める池。

まだ、続くことに驚く子ども達。

まさか、ここでタイトル回収がなされるとは、

「そう言えばお風呂の話だった!」

と、誰もが『おふろひえてます』という、忘れ去られていたタイトルを思い出すことでしょう。

この、少しもお風呂の片鱗を見せずにクマの子の話として進んでいたのに、最後の最後にタイトル回収とともに思い出させてくるサプライズも、この絵本のとてもおもしろい度肝を抜かれるところです。

二言まとめ

クマの子が、他の生き物たちの泳ぎを見ながら、少しずつ気持ちを高め、泳げるようになっていく成長物語に感動する。

みんな忘れているけれど、実はお風呂のお話だと最後に思い出させてくれる絵本です。

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