作:視覚デザイン研究所 絵:高原美和 出版:視覚デザイン研究所
甘いパンから総菜パン。
色々なパンが次々と出てきます。
どれも本物そっくりで、見てるだけでほっぺたが落ちてしまいそう・・・。
あらすじ
最初のパンは、トーストです。
目玉焼きにウィンナープチトマトも添えてボリュームたっぷり。
もちろん、バターと牛乳も忘れずに。
次に出てきたのはメロンパンと、チョコメロンパン。
飲み物にはメロンソーダがぴったりです。
あんぱんも召し上がれ。
あんぱんにはやっぱり緑茶。
今度のパンはホットドッグにナポリタンドッグ。
食べ応え抜群です。
飲み物にはオレンジジュースを選びました。
箱に入った蒸しパンは、動物の顔がついたかわいい蒸しパン。
ブタ、クマ、ウサギと、色んな動物蒸しパンが箱から顔をのぞかせます。
ホイップクリームをつけて召し上がれ。
この後も、フルーツデニッシュ、ハンバーガー、クロワッサン・・・
と、まだまだ出てくる色んなパン。
あなたはどれを食べますか?
『パンめしあがれ』の素敵なところ
- 本物にしか見えないおいしそうなパン
- パンのおいしさを引き立たせるトータルコーディネイト
- 読んだらパン屋に行きたくなって、パンを食べたら読みたくなる
本物にしか見えないおいしそうなパン
この絵本のなにより素敵なところは、驚く程のリアルさでしょう。
まるで、パン屋さんでパンを見ているかのように、本物そっくりに描き出されるパンたち。
質感、つや感、存在感、そのすべてがまるで本物のパンなのです。
触れないのが不思議なくらい。
なんなら匂いくらいは感じ取れそうなほど。
さらに、このリアルさで描かれたパンのラインナップも魅力的。
トースト、あんぱん、メロンパンなどの、定番人気メニューから、
フルーツデニッシュ、チーズトースト、蒸しパンなどの、こだわりメニューまで様々です。
そのどれもが、見ただけでおいしいことが視覚から目一杯伝わってくるのです。
子どもたちも、見た瞬間、
「私の大好きなメロンパンだ!」
「ぼく、今日の朝これ食べてきたよ!」
「食べちゃおう!」
と、すぐ絵本に手を伸ばして食べていました。
この、驚く程のリアルさで描き出された、魅力的なパンのラインナップに、思わず絵本へ手が出てパクリとしてしまうのが、この絵本のとても素敵なところです。
パンのおいしさを引き立たせるトータルコーディネイト
ただ、この絵本でおいしそうなのは、実はパンだけではありません。
そのトータルコーディネイトすべてがおいしそうに描かれているのです。
例えば、トーストなら、目玉焼きにウィンナー、プチトマトが添えられ、飲み物は牛乳です。
メロンパンにはクリームソーダで、クロワッサンにはラテアートの施されたかわいいココアが用意されています。
これがまた、パンとの相乗効果でおいしそうなことこの上ない。
プリプリのウィンナーを食べた時のパリッとした食感。
クリームソーダを飲んだ時の爽やかなシュワシュワ感。
ホットココアの温かな甘み。
それが、パンのおいしさと合わさって押し寄せてくるのです。
さらさらに、パンのおいしさを引き立たせるのは、一緒に添えられた飲み物だけでもありません。
そのパンに合わせたこだわりの雰囲気づくりもまた、パンのおいしさを際立たせます。
メロンパンならかわいさ重視で、ハートを散りばめたテーブルクロスに、お皿もハートのかわいいものにレース状の紙を敷いてメロンパンを盛り付けます。
あんぱんなら、桜の花びらが舞い落ちる原っぱに、風呂敷を敷いて木のお皿の上にあんぱんを。
添えられた緑茶の中には、桜の花びらが一枚浮かぶ。
こんな風に、そのパンのイメージに合わせた小物や場所や季節感が選ばれて、パンの魅力をより引き立ててくれています。
これにより、ただでさえおいしそうなパンが、何倍にも魅力的に。
この、雰囲気や小物、飲み物などにこだわった、パンをよりおいしく魅力的に見せてくれるトータルコーディネイトの素晴らしさも、この絵本のとても素敵なところです。
きっと、パンのおいしさだけではなく、その美しさにも心奪われることでしょう。
読んだらパン屋に行きたくなって、パンを食べたら読みたくなる
さて、こんなおいしそうなパンを見続けていたら、自分もパン屋さんに行き、本物のパンを食べたくなるというものです。
もう食べたことのあるパンを食べ、そのおいしさを再確認したり、
絵本で初めて知ったパンを食べ、そのおいしさに感動したり、
色々な出会いがあることと思います。
では、食べたら、子どもはどんな行動を取るでしょう?
そう、自分の食べたパンが出てくるこの絵本をまた読みたくなるのです。
そして、新たに食べたことがある状態で読むこの絵本は、前回とは見え方が違います。
なぜなら、そのパンの味を知っている状態で見るからです。
前回は「おいしそう・・・」で終わっていたのが、今は頭の中にあの味が浮かび上がってきます。
すると、よりそのパンがリアルに絵本から飛び出してくるのです。
この、現実のパンと、絵本のパンの往復が起こるのも、この絵本のとても素敵なところになっています。
ぜひ、絵本を見たらパン屋に出かけてみてください。
きっと、いつもと違うパンにも目が向くようになっていて、新たなパンとの出会いが待っていると思いますよ。
二言まとめ
とてもおいしそうに描かれたリアルなパンを、こだわりのトータルコーディネイトでさらにおいしそうに見せてくれる。
見たら、絵本へ思わず手が伸び、みんなモグモグしながら続きを見ている、おいしいパンの絵本です。
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