作:多田ヒロシ 出版:こぐま社
「あったらいいな」という楽しい想像。
それを形にしてくれた夢のような絵本です。
あなたはどんなことがあったらいいなと思いますか?
あらすじ
あったらいいね。
色んな模様のシャボン玉。
割れると模様も弾けて花火みたい。
あったらいいね。
サイの角や耳を使った輪投げ。
あったらいいね。
サドルが伸びる自転車。
これで、高い木にも簡単に届きます。
あったらいいね。
階段がエスカレーターになっているすべり台。
あったらいいね。
動物の先生が遊んでくれる保育園。
あったらいいね・・・。
まだまだ盛りだくさんのあったらいいね。
次はどんなあったらいいねが出てくるのでしょうか?
『あったらいいね』の素敵なところ
- 見ているだけでおもしろい「あったらいいね」
- 想像の世界を広げてくれる「あったらいいね」
- 自分でも考えたくなる「あったらいいね」
見ているだけでおもしろい「あったらいいね」
この絵本のなにより楽しいところは「あったらいいね」という、自由な想像の世界がたくさん広がっているところでしょう。
絵を描く時に「きれいだな」と思って描くような虹色のシャボン玉が、絵本の中では実際に飛ばされていたり、
サイとの輪投げで憧れの動物と遊べたり、
動物の先生がいる保育園では、力持ちのゴリラ先生に持ち上げてもらったり、ライオン先生のたてがみにリボンをつけたり・・・。
思わず「あったらいいな~」と言ってしまうような想像の世界が広がっています。
そんな楽しい想像の世界が、ページをめくるたびに飛び出してくるのです。
これが楽しくないはずがありません。
しかも、そのどれもが子どもたちの琴線を見事に刺激するものばかり。
ちょうど、子どもの目線にピッタリ合った「あったらいいね」が集まっているのです。
子どもたちも、
「こんなシャボン玉飛ばしてみたい!」
「私は、ゴリラ先生がいいな~」
「サドルが伸びたら木に引っかかった凧も取れるじゃん!」
と、大盛り上がり。
楽しい想像の世界が現実になった時のことを考え、夢を膨らませているようでした。
この、どのページをめくっても魅力的過ぎて、子どもたちを釘付けにしてしまう、夢がいっぱいの「あったらいいね」が、この絵本のなにより素敵なところです。
想像の世界を広げてくれる「あったらいいね」
また、この「あったらいいね」が、そこからさらに想像の世界を広げてくれるのも、おもしろいところ。
子どもたちは、それぞれの「あったらいいね」を見た後に、想像を連鎖させていきます。
シャボン玉なら、
「シャボン玉、自分の好きなように模様作れるのかな?」
「絵の具で描けるんじゃない?」
「じゃあ、お花の絵を描いてみたいな。」
サイの輪投げなら、
「でも、角で突っつかれないかな?」
「仲良しだから大丈夫じゃない?」
「桃太郎印のきび団子をあげたんだよ!」
「輪投げの後は背中に乗せてもらおう!」
というように。
「あったらいいね」から、「もっとこうだったらいいね」に繋がっていくのがおもしろい。
きっと、それだけ「あったらいいね」を心の底から、「あったらいいな」と思えているのでしょう。
見開き一ページの「あったらいいね」から、想像力がどんどん広がり、その子たちだけの物語や設定ができていくのも、この絵本のとてもおもしろいところになっています。
自分でも考えたくなる「あったらいいね」
さて、こうして絵本の中で色々な「あったらいいね」を見てきたら、自分たちの「あったらいいね」を考えたくなるのも当然の流れです。
見終わって、想像力が溢れだしている子どもたちからは、
「わたあめの雲があったらいいな」
「じゃあ、それを取りに行けるように、ブロックの飛行機で空を飛ぼう!」
「恐竜の動物園ともあったらいい!」
など、色々な「あったらいいね」が出てきます。
それに対して、「あ、それいい!」と賛同したり、「それなら・・・」とイメージを共有して想像をさらに広げたり。
こんなにも、子どもたちの想像力を自然に開放してしまうとは驚きでした。
この、色々な「あったらいいね」を見てきたことで、自然と自分の「あったらいいね」が頭に浮かんでくるところもとても素敵でおもしろいところです。
1対1で読むのも楽しいですが、多人数への読み聞かせで読むと、色々なアイデアが飛び交い、さらに想像の世界が広がりとてもおもしろいので、ぜひ試してみてください。
二言まとめ
次々出てくる夢のような「あったらいいね」な出来事に、想像の世界が無限に広がってゆく。
見れば、自然と自分の中の「あったらいいね」が、どんどん溢れだしてくる絵本です。
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