作:きくちちき 出版:福音館書店
駅で電車を待つ男の子と動物たち。
「くるかな?くるかな?」
からの、「きたー!」が楽しすぎる絵本です。
あらすじ
動物たちと男の子が、駅のホームで電車を待っています。
「くるかな?くるかな?」と、見ていると・・・
ピンクの電車がやってきました。
みんな「きたー!」と大喜び。
でも、ピンクの電車には乗らずに、「ばいばーい」と見送ります。
みんなは次の電車を待ちます。
「くるかな?また、くるかな?」と見ていると・・・
青い電車がやってきました。
みんな「きたきたー!」と大喜び。
でも、青い電車にも乗らずに、「ばいばーい」と見送ります。
また、みんなで電車を待ちます。
「くるかな?くるかな?くるかな?」と見ていると・・・
次はどんな電車やってくるでしょう?
『でんしゃくるかな?』の素敵なところ
- 「くるかな?」から「きたー!」の楽しすぎる繰り返し
- 次々来る色とりどりの電車
- 最後の電車は「ばいばーい」せずに・・・
「くるかな?」から「きたー!」の楽しすぎる繰り返し
この絵本のなによりおもしろいところは、「くるかな?」にしっかりと電車がやってきて応えてくれる繰り返しにあるでしょう。
それはまるで、ホームで電車を待つ子どもの気分そのものです。
ワクワクしながら、線路の両側をキョロキョロ見て、電車が見えた瞬間に「電車きたよ!」と言ってしまうあの感覚。
その嬉しさが、そのまま絵本になったような内容に、子どもたちが盛り上がらないはずありません。
さらに、この楽しさを盛り上げてくれるのが、動物たちと男の子のリアクション。
「くるかな?くるかな?」とページをめくると、勢いよく走ってくる電車を見て「きたー!」と、体が飛んでいくかと思えるほどの万歳をして叫びます。
なんなら、最後は本当に飛び上がって喜んでいます。
このオーバー過ぎるリアクションと「きたー!」の叫びが、ただシンプルにおもしろい。
子どもたちも、「くるかな?くるかな?」でワクワクニヤニヤ。
そして、ページをめくると「きたー!」と一緒に叫びます。
このただただ盛り上がって楽しい空気感が広がる、繰り返しならではのおもしろさが、この絵本のなによりおもしろいところです。
乳児から幼児まで、楽しく盛り上がること間違いなしですよ。
次々来る色とりどりの電車
こうして、次々にやってくる電車。
この電車のカラフルな色どりも、特に小さな子どもへ楽しいところとなっています。
この絵本の電車は、シンプルに1色で塗られています。
最初はピンク。
2台目は青。
3台目は黄色。
という風に、子どもたちに馴染みある色のシンプルな電車がやってきます。
これには色へ興味津々なお年頃の子どもたちが大喜び。
電車が来るたび、
「ピンク!かわいいね!」
「青だよ!」
「きいろー!」
と、大興奮で指差ししながら教えてくれます。
きっと、シンプルなデザインだからこそ、「電車」と「色」という、二つの要素だけに集中できるのでしょう。
言葉遊びと電車に加え、色を楽しめるところも、この絵本の小さな子に嬉しいところです。
最後の電車は「ばいばーい」せずに・・・
さて、こうして、色々な電車がやってきますが乗りはせず「ばいばーい」と見送る動物たちと男の子。
子どもたちも繰り返しに慣れてくると、「ばいばーい」と絵本の中に入り込んで見送ります。
ですが、最後の電車だけは「ばいばーい」の繰り返しに変化がありました。
目の前でドアが開いたのです。
ドアが開いたとなれば・・・。
この最後の変化もまた、この絵本の楽しいところ。
これまで電車を見ることを楽しんでいましたが、やっぱり電車を見たらやってみたいことは一つのはず。
その願いを、最後の場面では叶えてくれます。
さっきまで「きたー!」で大盛り上がりだった子たちですが、最後の場面の展開にとても満足そう。
やっぱり、電車は乗り物なのだなぁと改めて実感させられます。
この、電車を見るだけでは終わらない、最後の繰り返しの変化もまた、この絵本のとても素敵で嬉しいところです。
二言まとめ
「くるかな?くるかな?」からの「きたー!」という、一緒に言いたくなること間違いなしな繰り返しがただただ楽しい。
小さい子から大きい子、電車好きからそうじゃない子まで、大盛り上がり間違いなしの乗り物絵本です。
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