文:大塚健太 絵:山村浩二 出版:岩崎書店
動物たちが、いないいないばあをして遊びます。
でも、「いないいない」から出てくるのは・・・
全部ゾウ!?
あらすじ
ゾウが目を隠しています。
いないいない・・・ゾウ!
手を開いて出てきたのはゾウでした。
ネコが目を隠しています。
いないいない・・・ゾウ!
横から飛び出してきたのはゾウでした。
カエルが池で蓮の葉に乗り目を隠しています。
いないいない・・・ゾウ!
池から飛び出してきたのはゾウでした。
空に花火が上がります。
いないいない・・・ドーン!ドーン!
空に大きな花火が輝きました。
そして・・・ゾーウ!
ゾウの形の花火もあがりました。
フライパンでトウモロコシを炒めています。
いないいない・・・
さあ、次はどこからゾウ?
『いないいないぞう!』の素敵なところ
- 出てくるのは全部ゾウ
- バリエーション豊富な登場の仕方で飽きさせない
- 一緒に言いたくなっちゃう「ゾウ!」
出てくるのは全部ゾウ
この絵本のなによりおもしろいところは、「いないいないばあ」で出てくるのが、全部ゾウだというところでしょう。
顔を隠しているのが、ネコでも、カエルでも、花火でも、全部ゾウが出てきます。
このシンプルなおもしろさがうけないはずありません。
ネコからゾウが出てきたとたん、
「えー!?ゾウなの!?」
「ゾウ出てきた!w」
「ネコじゃないのかーい!」
と、驚きと笑いとツッコミが止まりません。
もちろんカエルの時も、
「そんなところにいたの!?」
「カエル驚いてるじゃーん!」
とツッコミを入れますが、さっきより笑いが優勢に。
流れがわかってくると、じわじわおもしろさが増してくるのでしょう。
ページを経るごとに、どんどん笑いが大きくなっていきます。
この、必ずゾウが出てくる安心感と、それがシンプルにおもしろいところが、この絵本のとても楽しいところ。
子どもの笑いのツボを完全に熟知している絵本です。
バリエーション豊富な登場の仕方で飽きさせない
こうして必ずゾウが出てくるという安定したおもしろさを提供しつつ、意外性も忘れないのがこの絵本の素敵なところ。
手を変え品を変え、バリエーション豊富に驚かせ笑わせてくれます。
最初は動物が顔を隠すという「いないいないばあ」の原型をとどめていたこの絵本。
ですが、後半は花火やポップコーンなど「いないいないばあ」の常識を覆してくるのです。
特に、ポップコーンは、みんな腹を抱えて大爆笑。
お腹がよじれるほど笑っていました。
この変化球も、子どもたちを飽きさせず、ページをめくるたびにワクワクさせてくれるところ。
徐々に予想がつくようになってきた子の、常に斜め上を行く登場の仕方をするので、ずっと驚き笑いっぱなしです。
この、バリエーション豊富な予想外過ぎる、登場の仕方もこの絵本のたまらなくおもしろいところです。
一緒に言いたくなっちゃう「ゾウ!」
さて、こうして読み進めていくと、子どもたちが自然と口にする言葉が出てきます。
それが「ゾウ!」。
全部ゾウだという流れがつかめてくると「いないいない・・・」から、子どもたちも「ゾウ!」と合わせて言ってくるようになります。
この一体感も、この絵本のおもしろいところ。
こちらで合わせなくても、ページめくりに合わせて「ゾウ!」と声が合う一体感を味わえます。
また、自分で言うことで、おもしろさが倍増するのか、自分の声に笑う子どもたち。
花火の場面で「ゾーウ!」と、花火の音に寄せてみたり、全力で叫んだり、
ポップコーンの場面で、息切れするほど言い続けてみたり・・・
自分の声にもバリエーションをつけ、より絵本をおもしろく。
絵本の中のゾウの動きと、子どもたちの声の相乗効果で、より大きな笑いが生まれるという笑いの渦が出来上がっているのでした。
この、つい言いたくなってしまう「ゾウ!」というキーワードが、子どもたちをより大きな笑いの世界へ連れて行ってくれるのも、この絵本のとても素敵でおもしろいところです。
二言まとめ
誰が「いないいないばあ」をしても、絶対ゾウが出てくるというシンプルなおもしろさに、驚きと笑いが止まらない。
バリエーション豊富過ぎる登場の仕方に、子どもたちを全く飽きさせない絵本です。
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