【絵本】でんしゃごっこ(1歳~)

絵本

作:山口マオ 出版:福音館書店

ネコが電車ごっこを始めると、次々乗ってくる動物たち。

ネコと党物たちの「のりませんかあ」「のりま~す」

のやりとりが楽しく心地よい絵本です。

あらすじ

ネコが紐を使って電車ごっこを始めました。

「のりまえんかあ」と声をかけると、「のりま~す」とイヌが手を挙げました。

こうして2匹になりました。

2匹が「のりませんかあ」と進んでいくと、「のりま~す」とクマが手を挙げました。

こうして3匹になりました。

3匹が「のりませんかあ」と進んでいくと、「のりま~す」とウサギが手を挙げました。

こうして4匹になりました。

4匹が「のりませんかあ」と進んでいくと、「のりま~す」とキリンが手を挙げました。

こうして5匹になり、電車は満員になりました。

けれど、そこへ「のせてくださ~い」と、小鳥が飛んできました。

もう電車は満員です。

一体どうするのでしょうか?

『でんしゃごっこ』の素敵なところ

  • 動物がどんどん増えていくおもしろさ
  • 「のりませんかあ」「のりま~す」「どうぞ~」の楽しいやり取り
  • もう電車は満員だけど・・・

動物がどんどん増えていくおもしろさ

この絵本のまずおもしろいところは、電車ごっこという身近な遊びの中で、どんどん動物たちが乗ってくるところでしょう。

ページをめくるたび出てくる新しい動物たちに、ワクワクと嬉しさが止まりません。

「次はなにかな?」

「ワンワン!」

「クマさん!」

と、まるで友だちを見つけたように、指をさし嬉しそう。

さらに、電車に乗り込み増えていくお客さんを見ると、

「乗れた~」

「ワンワン来たね~」

と、これまた乗客が増えたことに嬉しそう。

この繰り返しがどんどん続き、ページをめくるごとにお客さんが増えて、電車が長くなっていくのだからおもしろくないはずがありません。

さらに、動物の大きさもおもしろいポイントで、小さなウサギや、高いキリンなど、動物間の大きさの対比がわかりやすいことで、

「ウサギさんちっちゃいね!」

「かわいい!」

「キリンさんおーっきいね!」

と、登場する動物ごとの、大きさの変化もとても楽しんでいました。

この、ページをめくるごとに、どんな動物が出てくるのかワクワクし、その動物が電車に乗り込んでどんどん長くなっていくところが、この絵本のとてもおもしろいところです。

「のりませんかあ」「のりま~す」「どうぞ~」の楽しいやり取り

そんな動物が増えていく繰り返しには、ある合言葉があります。

それが、

「でんしゃで~す。のりませんかあ」

「のりま~す。のせてくださ~い」

「はい、どうぞ~」

というやり取り。

実はこの絵本の物語は99%、この言葉だけで進んでいくのです。

イヌも、クマも、ウサギもみんなしゃべる内容は変わりません。

だからこそ、心地よく耳に残り、一緒に言いたくなったり答えたくなるのでしょう。

「のりませんかあ」という言葉に、

「はーい!」と自分も手を挙げたり、

「のりま~す」と動物に合わせたり、

「どうぞ~」と答えてあげる子どもたち。

繰り返しの中で、そのやり取りをすっかり覚えてしまったみたいです。

この、変化がないからこそ安心してやり取りに参加できる楽しさも、この絵本のとても素敵なところ。

誰かとやり取りする楽しさを感じられる絵本となっています。

ぜひ、読み終わった後は、このやり取りのフレーズを使って、電車ごっこを楽しんでみてください。

きっと、自然に言葉が出てくると思いますよ。

もう電車は満員だけど・・・

さて、そんな楽しい電車遊びですが、最後のお客さんがやってきた時には満員になっています。

子どもたちも、

「もう乗れないよ~」

「どうしよう・・・」

と、心配そうな顔。

その解決策が、なんとも微笑ましい小鳥らしいものになっているのも、この絵本の素敵なところ。

満員だからと断るのではなく、一緒に乗るための心温かい工夫を見ることができますよ。

「そこならちょうどいいね!」

「みんな嬉しそう」

と、子どもたちの心もほっこりと温まり笑顔で絵本の終わりを迎えていました。

この、最後の最後で繰り返しが崩される予想外で心配な展開と、その平和で優しい解決策に心が温まるところも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

次々と動物たちが電車に乗ってきて、どんどん電車が長くなっていくのがおもしろい。

「のりませんかあ」「のせてくださ~い」の楽しいやり取りに、気付けば自分も参加している乗り物絵本です。

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