【絵本】ごぶごぶごぼごぼ(0歳~)

絵本

作:駒形克己 出版:福音館書店

不思議な音と形と色の世界が始まります。

どこかで見たことがあるようで、始めて見るような不思議な形。

ページを繋ぐ、穴の開いた仕掛けも楽しいナンセンス絵本です。

あらすじ

真っ青なページに「ぷーん」と漂う、黄色い円。

中心には穴が空き、水色が見えています。

次は小さな丸が4つ「ぷく ぷく ぷくん」と浮いています。

さっきの穴は、青い丸へと早変わり。

お次は6つの丸が「ぷ ぷ ぷ ぷぷ ぷ」と並びます。

今度は小・中・大の三つの丸。

「ど ど どぉーん」と、堂々たる登場です。

ページをめくると、「ごぶ ごぶ ごぼ ごぼ」。

煙のような人魂のような、不思議な形が揺らめきます。

まだまだ出てくる、色々な色の不思議な形に、不思議な音。

次に出てくるのは・・・?

『ごぶごぶごぼごぼ』の素敵なところ

  • 穴を使った仕掛けがおもしろい、不思議な形と色
  • 一緒に言いたくなってしまうどこか身近で楽しい音
  • 全体的に水を連想させる不思議な統一感

穴を使った仕掛けがおもしろい、不思議な形と色

この絵本のおもしろいところは、次々出てくる不思議な形と色でしょう。

基本的に出てくるのは、丸なのですが、色合いと配置によって、違うものに見えてきます。

例えば水色の背景に、青と赤と黄色の丸が出てくるページでは、背景との組み合わせで丸が水の中に浮いている泡のように見えてきます。

他にも、小・中・大の丸が「ど ど どぉーん」と並ぶページでは、音と相まって小さな丸がどんどん大きくなっていくように見えてきたりします。

こんな風に、ただの丸でも、不思議となにかの絵のように見えてくるのがこの絵本のおもしろいところ。

「泡みたい」

「風船みたいだね」

など、子どもたちも自然となにかに見立てながら楽しんでいました。

もちろん、見立てる以外にも、もっとシンプルな楽しさが目白押しのこの絵本。

そもそも、言葉では表現しにくいとても不思議な形をしていて「なんだこれ!?」と驚いたり、

大小さまざまな丸に「おっきい!」「小さい!」と、大きさ比べをしたり、

ほぼ原色で描かれる背景や形に、「青!」「黄色!」と、嬉しそうに叫んだり。

特に色は、ページに穴が空いている仕掛けと相まって、とてもおもしろいものなっています。

ページをめくる前の穴は水色だったのに、ページをめくると青い丸に。

これには、

「青になった!」

「色変わったよ!」

と、子どもたちも大盛り上がり。

ページをめくったり戻したりしながら色が変化する穴を研究していました。

さらに、増えたり減ったり大きさが変わったりと、子どもたちを飽きさせない穴。

穴を通して、形や色や大きさを味わうのも、この絵本のとても楽しい遊び方です。

この、視覚でも触覚でも、色や形の不思議を味わえるところが、この絵本のとてもおもしろいところです。

一緒に言いたくなってしまうどこか身近で楽しい音

そんな、色や形を思いきり楽しめるこの絵本。

それらと組み合わさった音がおもしろいのも、この絵本の楽しいところとなっています。

「ぷーん」

「ぷ ぷ ぷ ぷぷ ぷ」

「さわさわ さわ さわ」

など、どれもどこかで聞いたことがあるようなものばかり。

口に出しても言いやすく、小さい子ならつい口をついて、大きい子なら一緒に合わせてその音を出していることでしょう。

さらに、これが音を出すだけで終わらないのも、この絵本の魅力です。

そのページの絵と合わさって、その音が目に見える感覚になるのです。

例えば、「ぷく ぷく ぷくん」であれば、水の中に泡が浮かぶ時の少しこもった音として。

「ぷ ぷ ぷ ぷぷ ぷ」だったら、お風呂の中でオナラをする時の音のように。

「ざぶ ざぶ ざぶん」なら、打ち寄せる波のように力強く。

その音がする情景がイメージされ、それに合わせて音が言葉通りの音ではなく、リアルな音として再生される感覚とでもいうのでしょうか。

きっと、これは、絵がとても抽象的なので、その分見ている人が持つ音へのイメージを、それぞれが具体的に思い浮かべられるからかもしれません。

この、どこか身近で親しみのある音をみんなで一緒に口に出す楽しさと、その音が聞こえてくる情景が自然と頭に浮かんでくるおもしろさも、この絵本のとても素敵なところです。

全体的に水を連想させる不思議な統一感

さて、そんな風に、色々な場面や情景が頭に浮かんでくるこの絵本ですが、なんとなくみんなが想像することに統一感があるように思えます。

それが、「水」のイメージ。

背景や形の色、音のニュアンスなど、絵本の随所から水の中にいる感覚を味わえるのです。

例えば「ぷく ぷく ぷくん」の泡。

「ごぶごぶ ごぼごぼ」の水の中で息を吐いた時の感覚。

「ざぶ ざぶ ざぶん」の波に揺られる感じ。

どれも直感的に感じるのは「水」というイメージでした。

子どもたちも、同じような感覚を持ったらしく、見立てる情景は大体一緒。

その中に「ど ど どぉーん」を太鼓みたいだね。

「さわさわ さわ さわ」を風が吹いてるみたいという子がいる感じ。

他の部分は、ほとんどの子が水のイメージで統一されていました。

この、なにも説明なく、ただ色と音と形だけで表現された世界に、たくさんの子が「水」という統一のイメージを持つところも、この絵本のとても不思議でおもしろいところです。

この絵本を読んだらきっと、色や音の持つイメージを引き出す力に驚くと思いますよ。

二言まとめ

色と形と穴と音によって、視覚と聴覚と触覚のすべてで色・音・形を感じることができる。

そこで感じたものが、自然と「水」というイメージへ統一されていくのが、とても不思議でおもしろいナンセンス絵本です。

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